にほんブログ村2

« ◎名古屋大賞典(2020年)穴馬予想&結果 | トップページ | ◎阪神スプリングJ&ファルコンS&中山牝馬S(2020年)穴馬予想&結果 »

2020年3月13日 (金)

『アンデッドガール・マーダーファルス2』 青崎有吾 > 「このミス」完全読破 No.1114

「このミステリーがすごい!」完全読破 No.1114

 『アンデッドガール・マーダーファルス2』 青崎有吾

   「このミス」2017年版 : 49位

   受賞(候補) :

   総合ランキング :

   年度ランキング :

   読了日 : 2020年2月2日

   読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"後"

   読んだ版 : 文庫本 <2016年10月>

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 No.1113「アンデッドガール・マーダーファルス1」に続く、“輪堂鴉夜シリーズ”の2作目です。

 シリーズ前作から1年もしないうちに発売された第2巻でして、その巻末に次の第3巻の予告が掲載されていたこともあってまたすぐに新刊が出るのかと思いきや、「このミス」の“私の隠し玉”にも毎年のように名前が挙がっていながら(本作発売から3年以上経った)2020年3月になっても具体的な刊行予定は出ていないので、新作の発売が待ち遠しいシリーズとなっています。

 それでこのシリーズ2作目は、ミステリランキング等での実績はなかったものの、「本格ミステリ・ベスト10(本ミス)」2位&「このミス」初ランクインのNo.934「図書館の殺人」、「本ミス」17位&日本推理作家協会賞候補のNo.1111「ノッキンオン・ロックドドア」、そして「本ミス」20位のシリーズ前作と、同期間内において他に3作も青崎作品が発売され、いずれもが高い評価を受けていました。

 その中で本作は、同じ期間内に1作目も発売されているシリーズ続編、しかも締切ギリギリの10月発売ということで4作品の中では一番不利な要素が多かったですし、発売日が一月後ろにズレていれば(翌年版対象になっていれば)また結果も異なっていたのではないでしょうかね。

 そんな本作(2作目)から読んでも問題なく楽しめると思いますが、ただ探偵一行の秘密が前作の第一章の中で効果的に明かされるのでまずそこを前知識なく楽しむべきだと思いますし、1作目の時点でナンバリングが付いているシリーズなので、前作から順に読むことをお薦めします。

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 前作での第一・二章に続く形で、本作では第三・四章から成っていまして、前作では章によって事件(登場する怪物)が違ったのに対し、本作では二つの章が繋がった(同じ事件を扱った)連作のような構成となっています(なので、まあいないとは思いますが第四章から読んでしまうと話が理解出来ないと思うのでご注意を)。

 行方を探している因縁の相手の痕跡を得たためロンドンへとやって来た怪物専門の探偵・輪堂鴉夜を始めとした“鳥籠使い”一行は、“八十日間世界一周”を成し遂げて大富豪となったフィリアス・フォッグからの、怪盗紳士アルセーヌ・ルパンに狙われているブラックダイヤの警護の依頼を受けることに。

 さらに同じ依頼を名探偵シャーロック・ホームズとその助手ジョン・H・ワトソンも受けていたということで、複数の実在の小説の超有名人物たちが登場するパティーシュものとなっているのですが、名前を出して存在をほのめかしたりするだけで終わるのではなく、皆が主役級のキャラクターとしてガッツリと動き話し活躍します。

 まず始めの第三章では、鴉夜、ホームズ、ルパンによる三つ巴でのブラックダイヤ争奪戦が行われまして、いずれもがたぐいまれなる知力と危険を省みないチャレンジ精神の持ち主ということもありレベルの高い知略戦となりますし、相手の裏の裏の裏まで読み合う攻防には読んでいるこちらまでハラハラドキドキさせられてしまうほどの先の読めないスリリングな展開が繰り広げられるのです。

 続く第四章に入ると、(第三章から登場はしていた)武闘派警備組織“ロイズ”のエージェント二人組に、(途中から乗り込んで来た)鴉夜たちの因縁の相手が率いる危険極まりない犯罪結社までもが加わって争奪戦はさらなる盛り上がりを見せるのですが、知略戦がメインだった前章とは違ってこの章では(頭脳担当は一歩引く形で)それぞれの能力・特技を活かした能力バトルアクションが怒濤の如く複数箇所で勃発しまして、圧倒されるほどの迫力を生み出しているのですね。

 登場する怪物の特徴・性質を踏まえたうえでの特殊設定ミステリだった前作に対し、本作は前半が知略攻防ミステリ、後半がミステリ要素の薄い能力バトルアクションといった感じで、どちらも前作とはタイプが少し違っているため、前作と同様のミステリ的な面白さのみを期待してしまうと手応えを感じられないかもしれません。

 とはいえ、知略ミステリにしてもバトルアクションにしても心躍るほどの興奮と快感を堪能できますし、なにより世界的に有名な小説のキャラクターたちが(上に名前を挙げた以外にも)次から次へと出し惜しみなく登場してくる展開は小説好きならたまらないと思うので、本格ミステリに特化したイメージの作家ながらこのシリーズは広義のミステリ作品を好む人にもお薦めですし、読めば次巻以降に一体どのような物語が待ち受けているのか楽しみになること間違いないでしょう。


 個人的評価 : ★★★★★ ★☆☆☆☆

 * 個人的評価は、減点方式ではなく加点方式となっています
   (★の数が少なくても面白くなかったということではありません)
  個人的評価の詳しい説明・評価基準は
  「このミス」完全読破 説明&読破本リストにてご確認ください


  【 “青崎有吾” 関連記事 】

  > No.1115 「ノッキンオン・ロックドドア2」
  > No.1114 「アンデッドガール・マーダーファルス2」
  > No.1113 「アンデッドガール・マーダーファルス1」

  > No.1111 「ノッキンオン・ロックドドア」
  > No.1080 「早朝始発の殺風景」(後日更新予定)
  > No.0934 「図書館の殺人」
  > No.0761 「水族館の殺人」
  > No.0729 「体育館の殺人」


 「アンデッドガール・マーダーファルス1」青崎有吾 << PREV
            NEXT >> 「ノッキンオン・ロックドドア2」青崎有吾

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

  >>> 「このミス」完全読破 説明&読破本リスト <<<

Gapaku3298_tp_v

« ◎名古屋大賞典(2020年)穴馬予想&結果 | トップページ | ◎阪神スプリングJ&ファルコンS&中山牝馬S(2020年)穴馬予想&結果 »

01.「このミス」完全読破(ミステリ小説)」カテゴリの記事

Google AdSense

楽天市場

「このミス」完全読破:次に感想を書く予定の本

「このミス」完全読破:現在読書中の本

無料ブログはココログ