『ノッキンオン・ロックドドア2』 青崎有吾 > 「このミス」完全読破 No.1115
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.1115
『ノッキンオン・ロックドドア2』 青崎有吾
「このミス」2021年版 : 36位
受賞(候補) :
総合ランキング :
年度ランキング : 「本格ミステリ・ベスト10」 23位
読了日 : 2020年2月4日
読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"
読んだ版 : 単行本 <2019年11月>
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No.1111「ノッキンオン・ロックドドア」に続く、“ノッキンオン・ロックドドア シリーズ”の2作目です。
2016年に刊行された前作は、「本格ミステリ・ベスト10」2位&「このミス」初ランクインのNo.934「図書館の殺人」も同期間内に発売されながら(それを差し置いて)日本推理作家協会賞にノミネートされるほどに高い評価を受けましたが、巻末に“2017年に発売予定”と書かれていたシリーズ続編である本作が2019年末になってようやく発売されました。
なお、本作から読んでも大きな問題はなく楽しむことが出来ると思うものの、前作から所々で(読者には詳細を明かすことなく)触れてきた過去の事件の謎が本作の最終章で明らかになるという構成ですし、もしも続編が発売されたとしても“この1・2巻で一区切りがついて3巻からは新章突入”といった感じになりそうなので、急がないのであれば前作から順に読むことをお薦めします。
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というわけで本作は、「穴の開いた密室」「時計にまつわるいくつかの嘘」「穿地警部補、事件です」「消える少女追う少女」「最も間抜けな溺死体」「ドアの鍵を開けるとき」から成る連作集です。
このシリーズは、“ノッキンオン・ロックドドア”という名の探偵事務所を立ち上げた御殿場倒理と片無氷雨の二人が主人公でして、二人組ではあるものの探偵(ホームズ)&助手(ワトソン)という定番の関係ではなく、二人共に探偵です。
そんな二人は、悪魔的巻き毛の“倒理”が密室やアリバイなどの“不可能な謎(ハウダニット)”、地味メガネの“氷雨”が現場に残された不自然さや犯人の動機などの“不可解な謎(ホワイダニット)”と、それぞれ得意としている推理のジャンルがあり、それ以外のことは苦手という一芸に秀でたタイプなので、お互いを補うような形で協力したりイニシアチブを取り合ったりしつつ探偵活動を行っていくという、相棒でありライバルでもある探偵コンビなのです。
(前作に続いて)ダブル探偵が依頼された事件の謎に挑んでいく本作も、いかにも密室現場のようでありながら壁に大きな穴が空いていたり、女子高生が高架下のトンネルに入ったまま姿を消すなど、インパクトある謎とそれをロジカルに解き明かす推理がさすがの面白さですし、HOW担当とWHY担当のどちらが主導権を握って事件を解決に導くのかという推理の駆け引きが(前作同様に)このシリーズだからこそのミステリ的面白さを生み出していました。
そして最後の章では、大学のゼミ仲間であった倒理、氷雨、刑事の穿地決(女)、犯罪者の指南役である糸切美影(男)の四人が絡んでいる(らしい)大学卒業間際に起きた事件について語られまして、前作から読者に対して何度も匂わせてきた事件(因縁)の詳細とその謎がついに明かされ、しかも四人が事件以来初めて一同に会して過去の事件の謎を推理し合うことから、まさにシリーズのクライマックスというべき章なのですが、ただの総括的な話では終わらず、二転三転したうえで衝撃の真相が浮かび上がってくるというこの章だけでも充分に面白い(けれどこれまでの章も読んでいると面白さはさらに増す)内容となっているのですね。
人物や会話などキャラクター小説的な雰囲気があるのでそこで好みは別れるかもしれないものの、本格ミステリ作品としての確かな読み応えがありますし、探偵ものとしても相棒(バディ)ものとしても(もちろんミステリ作品としても)軽いノリで楽しんでいるとその見事な演出力に唸らされてしまうと思うので、前作と本作をセットで楽しんでみてはいかがでしょうか。
個人的評価 : ★★★★★ ☆☆☆☆☆
* 個人的評価は、減点方式ではなく加点方式となっています
(★の数が少なくても面白くなかったということではありません)
個人的評価の詳しい説明・評価基準は
「このミス」完全読破 説明&読破本リストにてご確認ください
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> No.1080 「早朝始発の殺風景」(後日更新予定)
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> No.0761 「水族館の殺人」
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