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2020年3月24日 (火)

『赤い部屋異聞』 法月綸太郎 > 「このミス」完全読破 No.1117

「このミステリーがすごい!」完全読破 No.1117

 『赤い部屋異聞』 法月綸太郎

   「このミス」2021年版 : 32位

   受賞(候補) :

   総合ランキング :

   年度ランキング : 「本格ミステリ・ベスト10」 30位

   読了日 : 2020年2月24日

   読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"

   読んだ版 : 単行本 <2019年12月>


赤い部屋異聞

法月 綸太郎

KADOKAWA 2019.12.4

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 法月綸太郎は、長年に渡り本格ミステリ作家として活躍している一方で、本格ミステリの評論家としての著書も数多く発表しているのですが、近年ではそんなミステリ作家でありミステリ評論家であるという両方の顔を持っているからこそ生まれ得た実験作を次々と発表しています。

 例を挙げると、本格ミステリというジャンル自体とSFとを大胆に融合させ「このミス」1位を始め高い評価を得たNo.659「ノックス・マシン」、ミステリ作家&作品に対する考察をメインテーマとして物語の中に組み入れた『法月綸太郎の消息』、そして“読者への挑戦”だけを99通り並べて一つの作品にしてしまったNo.924「挑戦者たち」など、いずれも法月綸太郎でなければ書くことが出来ないであろう素晴らしき奇書ばかりです。

 そして本作も、これらの作品群と並び立つほどの奇想に満ちた短篇集となっています。

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 というわけで本作は、「赤い部屋異聞」「砂時計の伝言」「続・夢判断」「対位法」「まよい猫」「葬式がえり」「最後の一撃」「だまし舟」「迷探偵誕生」を収録。

 これらの短篇には共通点がありまして、江戸川乱歩『赤い部屋』やコーネル・ウールリッチ『一滴の血』などの日本や海外の古典作品に、オマージュを捧げたりインスパイアを受けた短篇のみが集められています。

 オマージュやインスパイアといっても、ストーリー展開を踏襲しつつ最後のオチにオリジナル要素を加えたものがあれば、ミステリ的なアイデアから着想を得て物語を作り上げたものなど、元ネタとのシンクロ度合いは収録作によって異なるのですが、ミステリ評論家としても活躍する著者のお気に入り作品が元ネタとなっていることによりレベルの高さは保証されていますし、それらを数々の本格ミステリの名作を発表して来た著者がアレンジしているのですから(好みの問題はあるけれど)面白くならないわけがないのですよね。

 ただそんな本編以上に読み応えがあると言ってしまっても過言ではなさそうなのが、各短篇の後に加えられている“細断されたあとがき”という名の自作解説でして、元ネタの紹介を始めとして制作過程や苦心した点やエピソードなどが著者特有の自虐風味の文章で描かれていて、これを読むだけでも充分に満足感を覚えてしまうほどなのです(自分なんかは短篇によっては“あとがき”を読みたいがために本編を駆け足で読み進めたりしたほどで....)。

 なお、オマージュ元の作品をあらかじめ読んでいた方が、どのようにアレンジされているかなど分かってこの短篇集をより楽しめるとは思いますが、“誰もが知っている名作”というよりは“知る人ぞ知る怪作”の方が多いようですし、すでにオマージュ元の作品を全て読んでいるという人はほとんどいなそうなので、まず本作を読んでみて、気になった短篇のオマージュ元を後から読んでみる、といった順番でも問題なく楽しめると思います。


 個人的評価 : ★★★★★ ★☆☆☆☆

 * 個人的評価は、減点方式ではなく加点方式となっています
   (★の数が少なくても面白くなかったということではありません)
  個人的評価の詳しい説明・評価基準は
  「このミス」完全読破 説明&読破本リストにてご確認ください


  【 “法月綸太郎” 関連記事 】

  > No.1117 「赤い部屋異聞」
  > No.1100 「法月綸太郎の消息」(後日更新予定)

  > No.0924 「挑戦者たち」
  > No.0843 「怪盗グリフィン対ラトウィッジ機関」
  > No.0659 「ノックス・マシン」
  > No.0644 「犯罪ホロスコープII 三人の女神の問題」
  > No.0542 「頼子のために」

  > No.0511 「キングを探せ」
  > No.0281 「密閉教室」
  > No.0096 「犯罪ホロスコープI 六人の女王の問題」
  > No.0042 「怪盗グリフィン、絶体絶命」
  > No.0004 「生首に聞いてみろ」


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  >>> 「このミス」完全読破 説明&読破本リスト <<<

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