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2020年1月24日 (金)

『風神雷神 Juppiter, Aeolus』 原田マハ > 「このミス」完全読破 No.1109

「このミステリーがすごい!」完全読破 No.1109

 『風神雷神 Juppiter, Aeolus』 原田マハ

   「このミス」2021年版 : 投票数0

   受賞(候補) :

   総合ランキング :

   年度ランキング :

   読了日 : 2020年1月5日

   読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"

   読んだ版 : 単行本(上・下) <2019年11月>


風神雷神 Juppiter,Aeolus(上)

原田 マハ

PHP研究所 2019.10.29

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 俵屋宗達の研究をしている京都国立博物館研究員の望月彩は、訪れて来たマカオ博物館の学芸員であるレイモンド・ウォンに“見てもらいたい物がある”と言われ、それが何かは分からないままマカオ博物館へ向かうことに。

 そこで見せられたのは、90年代に行われた聖ポール天主堂跡での大掛かりな発掘調査で出てきたものの、とある人物によってその存在すら知られずに隠されていたという、“風神雷神(ユピテル、アイオロス)”が描かれた西洋絵画。

 そして一緒に出て来たという古文書は、16世紀末に天正遣欧使節の一員としてローマに派遣された原マルティノが書いたものらしく、しかもその中には「俵…屋…宗…達」の四文字が書かれていて....。

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 俵屋宗達は、単行本表紙にも使われている“風神雷神図”が国宝に選ばれるなど、主に江戸時代初期に名作を生み出した日本が誇る大画家なのですが、出生や晩年も含めてその生涯は明らかになっていない部分がとても多い謎の人物でもあります。

 一方で原マルティノの生涯は(宗達に比べれば詳しく)後世にも伝えられていて、1582年に天正遣欧少年使節(九州のキリシタン大名の名代)の一員として(伊東マンショ、千々石ミゲル、中浦ジュリアンと共に)ローマに派遣されています(8年後に帰国)。

 史実ではこの2人に接点はなかったそうなのですが、もしも別の使命を受けた宗達がマルティノたちの使節団と共にヨーロッパへと渡っていたら...、そしてたどり着いたヨーロッパ(ミラノ)の地で後に世界的な絵画の巨匠となるカラヴァッジョと出会っていたら...、といった空想の世界を史実の空白部分に埋め込んで作られたのが本作なのです。

 単行本上巻の多くの部分では、(天下人となった)織田信長、(狩野派の頭領である画人の)狩野永徳という当時の日本を代表するほどの大物二人との出会いにより絵描きとしての才能を開花させていく少年時代の宗達が描かれまして、大人でも怯んでしまうほどの試練に対し、明るくひょうきん者ながら絵に懸ける情熱は人一倍という性格、それに加えて溢れ出んばかりの才能によって、試練も楽しみながら乗り越えていくように見える宗達の姿に、読んでいるこちらまでドキドキワクワクしてしまうほどの読み応えが半端ない成長物語となっています。

 そして上巻の終盤から下巻にかけては、宗達がマルティノらと合流してローマへと向かう旅路が描かれ、数年掛けて海陸を越えなくてはならない命賭けの大航海&大移動が繰り広げられるのですが、その中で見聞きするもの全てが(宗達たちにとって)新たなる発見となるので心踊る冒険が一日中続いているかのようですし、そこに芸術(絵画)と宗教(キリスト教)が絡んでくることで神秘的な高揚感にも包まれるなど、少年たちが全身で受け取るいくつもの刺激に魅了されてしまう圧巻の大冒険物語となるのですね。

 ただ、大冒険とはいえミステリやサスペンス要素はあまりなく、現代編もプロローグ&エピローグくらいしかないので、「このミス」を参考に読む本を選んでいるような人だと物足りなく感じてしまうかもしれないものの、史実の隙間を素晴らしき想像力で魅力的に埋めたからこそ生まれ得たこの歴史アート冒険物語は単純にエンタメ作品としての面白さが飛び抜けていると思うので、読めば宗達やマルティノたちの冒険や成長を自分も一緒に同行しているかのように楽しめるかもしれませんし、何か新しいことにチャレンジしたくなる気持ちが膨らんでいくのではないでしょうか。

 ちなみに、例えば無宗派を貫く宗達とマルティノたちキリシタンとの確執とか、大航海時の困難さや過酷さなどにはあまり力を入れて書かれていなくて、明るく前向きなキラキラした冒険物語が中心となっているのですが、これは、“再び長い年月をかけて帰国した後のマルティノたちキリシタン四人には(キリシタン弾圧などにより)壮絶で哀しい人生が待ち受けている”という史実は変えられないから、せめてこの作品の中だけは....、という著者の気持ちもあったのではないかな~なんて想像すると、なんとも切なくなってしまいますね....。


 個人的評価 : ★★★★★ ★★★☆☆

 * 個人的評価は、減点方式ではなく加点方式となっています
   (★の数が少なくても面白くなかったということではありません)
  個人的評価の詳しい説明・評価基準は
  「このミス」完全読破 説明&読破本リストにてご確認ください


  【 “原田マハ”関連記事 】

  > No.1109 「風神雷神 Juppiter, Aeolus」
  > No.0907 「暗幕のゲルニカ」(後日更新予定)
  > No.0551 「楽園のカンヴァス」


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  >>> 「このミス」完全読破 説明&読破本リスト <<<

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