『ノッキンオン・ロックドドア』 青崎有吾 > 「このミス」完全読破 No.1111
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.1111
『ノッキンオン・ロックドドア』 青崎有吾
「このミス」2017年版 : 65位
受賞(候補) : (「日本推理作家協会賞」候補)
総合ランキング :
年度ランキング : 「本格ミステリ・ベスト10」 17位
読了日 : 2020年1月16日
読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"後"
読んだ版 : 単行本 <2016年4月>
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青崎有吾は、鮎川哲也賞を受賞したNo.729「体育館の殺人」で2012年にデビューすると、同作はいきなり「本格ミステリ・ベスト10(本ミス)」で5位にランクインし、翌年発売のNo.761「水族館の殺人」は2位(&本格ミステリ大賞候補)、さらに翌年発売の『風ヶ丘五十円玉祭りの謎』は短篇集ながら8位にランクイン。
デビューから3年連続&3作連続で「本ミス」ベスト10入りというのは本格ミステリ系新人作家としてはかなり凄い結果だと思うのですが、しかし青崎有吾の(本格ミステリ作家としての)本当の凄さが証明されたのは、そこから1年半以上新作の発表がない中で迎えた2016年(2017年版)のことでした。
この年は、前3作から続く“裏染シリーズ”の新作No.934「図書館の殺人」が2位に入っただけでなく、『ノッキンオン・ロックドドア』が17位、No.1113「アンデッドガール・マーダーファルス1」が20位と、3作同時に20位以内にランクインを果たし、(ランクインこそ逃したものの)No.1114「アンデッドガール・マーダーファルス2」も次点の32位(30位が2作品のため)となるほどの票が入り、作家別得票では文句なしの1位となるなど、まさに2016年の本格ミステリ界を代表するほどの八面六臂の活躍を見せました。
そんな2017年版対象期間内に発売された作品の中の一つである『ノッキンオン・ロックドドア』は、単行本の巻末にシリーズ続編が2017年に発売予定と書かれていたものの、結局その翌年の2018年になっても刊行されなかったのですが、2019年末になってようやく発売されたこともあって、遅ればせながらまずは未読だったシリーズ1作目から読んでみることに。
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というわけで本作は、「ノッキンオン・ロックドドア」「髪の短くなった死体」「ダイヤルWを廻せ!」「チープ・トリック」「いわゆる一つの雪密室」「十円玉が少なすぎる」「限りなく確実な毒殺」から成る連作に近いシリーズ短篇集です。
“ノッキンオン・ロックドドア”という変わった名前の探偵事務所を立ち上げた御殿場倒理と片無氷雨の二人が主人公なのですが、この二人は“探偵事務所の二人組”といえば思い浮かぶ(であろう)ホームズ&ワトソンの関係性ではなく、二人共にれっきとした探偵なのです。
とはいえ、悪魔的巻き毛の“倒理”は密室やアリバイなどの“不可能な謎(ハウダニット)”、地味メガネの“氷雨”は現場に残された不自然さや犯人の動機などの“不可解な謎(ホワイダニット)”の推理を得意にしていて、どちらもそれ以外のことは苦手なので、お互いを補うような形で協力して探偵活動を行っているという、少々変わった探偵コンビなのですね。
そんなダブル探偵が依頼を受けたり首を突っ込んだりする事件の謎というのが、密室や暗号など定番的なものから、すれ違った人が発した一言を基に推理合戦を繰り広げるという異色なものまで種類が豊富で飽きさせませんし、一つの事件に対してHOWとWHYの二方向から推理をぶつけていくことにより真相へとたどり着くという推理劇が本作ならではの読み応えを生み出していたように思います。
ただ、相棒でありライバルである探偵二人を始めとした登場人物たちのキャラクターやセリフややり取りはキャラクター小説的なノリがあるのでそこで好き嫌いが分かれそうではあるものの、そんな軽快な掛け合いこそが青崎作品の魅力の一つでもありますし、本格ミステリ的な面白さはランクイン実績を改めて確認するまでもなく実感できるはずなので、読めば(シリーズを通しての謎を匂わせていることもあって)すぐにでもシリーズ続編を手に取りたくなってしまうのではないでしょうか。
個人的評価 : ★★★★☆ ☆☆☆☆☆
* 個人的評価は、減点方式ではなく加点方式となっています
(★の数が少なくても面白くなかったということではありません)
個人的評価の詳しい説明・評価基準は
「このミス」完全読破 説明&読破本リストにてご確認ください
【 “青崎有吾” 関連記事 】
> No.1115 「ノッキンオン・ロックドドア2」
> No.1114 「アンデッドガール・マーダーファルス2」
> No.1113 「アンデッドガール・マーダーファルス1」
> No.1111 「ノッキンオン・ロックドドア」
> No.1080 「早朝始発の殺風景」(後日更新予定)
> No.0934 「図書館の殺人」
> No.0761 「水族館の殺人」
> No.0729 「体育館の殺人」
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