『medium 霊媒探偵城塚翡翠』 相沢沙呼 > 「このミス」完全読破 No.1098
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.1098
『medium 霊媒探偵城塚翡翠』 相沢沙呼
「このミス」2020年版 : 1位
受賞(候補) :
総合ランキング :
年度ランキング : 「本格ミステリ・ベスト10」 1位
「週刊文春ミステリーベスト10」 5位
読了日 : 2019年11月16日
読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"
読んだ版 : 単行本 <2019年9月>
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推理作家の香月史郎は、とある事件に(間接的に)関わった際に、何気ない一言が偶然にも事件解決に繋がるアドバイスとなったことがきっかけで、その後も推理力を期待されて謎めいた事件に対する助言を警察から求められることに。
最近になってそんな香月と共に行動しているのが、霊媒師である城塚翡翠で、死者の言葉を伝えることができる城塚の霊視能力と、香月の推理作家ならではの論理力を掛け合わせることにより、いくつもの難事件を見事に解決。
しかし、若い女性のみを狙う猟奇的な連続殺人犯の魔の手が、城塚へと迫っていて...。
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推理などしなくても犯人や事件の真相などが解ってしまうというのは、過去にも神様や魔法使いが登場するミステリ作品などに前例があるのですが、こういったタイプの作品は、真犯人等が解ってもその答えへたどり着くまでの証拠や論理を見つけ出さなければならないため、捻りが加えられた倒叙ミステリのような面白さが生み出されます。
ただ本作の霊媒探偵は、その霊視能力を使うにはいくつかの条件(制約)があることから、(何でも解ってしまう全知全能ではなく)真相の一部を視ることしか出来ないため、それにより解っている真相と解っていない謎が絶妙なバランスとなりつつ、本作ならではの刺激的な霊媒ミステリが繰り広げられていくことに。
ところが本作の真骨頂はそんなミステリ劇を経た終盤に訪れまして、まず驚くべきどんでん返しが炸裂するものの、これはミステリ小説を読み慣れている人であれば早い段階で気づいてしまう、というか著者的にはあえて気づかせるように書いているのではないかと察してしまうほどに開けっ広げなどんでん返しとなっています。
そんなどんでん返しを前菜とするかのようなその後の衝撃的な展開こそが本作最大の魅力であり面白さでして、ここを説明してしまうとどうしてもネタバレ的になってしまうので、少しでも気になっている人は前情報など入れずに早いとこ読んでしまうことをお薦めしますが、まあ物語的にひっくり返るだけでなく、ミステリ的にも見事なまでにひっくり返されてしまいますし、単行本の帯に書かれた“すべてが、伏線。”という大袈裟な煽り文句にも読み終えてしまえば抵抗なく納得出来てしまうほどなのです。
なので、タイトルや単行本の表紙の印象からするとキャラクターや物語を重視した作品のように見えるとはいえ、中身の方はミステリ脳が沸き立つほどに全編に渡って読み応え抜群の本格ミステリ作品となっているので、読む際にはぜひとも最初の章から(流し読みなどせずに)じっくりと推理劇を味わってほしいですね。
個人的評価 : ★★★★★ ★☆☆☆☆
* 個人的評価は、減点方式ではなく加点方式となっています
(★の数が少なくても面白くなかったということではありません)
個人的評価の詳しい説明・評価基準は
「このミス」完全読破 説明&読破本リストにてご確認ください
【 “相沢沙呼” 関連記事 】
> No.1098 「medium 霊媒探偵城塚翡翠」
> No.0999 「マツリカ・マトリョシカ」(後日更新予定)
> No.0519 「ロートケプシェン、こっちにおいで」
> No.0515 「午前零時のサンドリヨン」
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