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「このミステリーがすごい!」完全読破 No.1064
『マーダーズ』 長浦京
「このミス」2020年版 : 14位
受賞(候補) :
総合ランキング :
年度ランキング :「ミステリが読みたい!」 6位
読了日 : 2019年4月18日
読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"
読んだ版 : 単行本 <2019年1月>
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長浦京は、放送作家として活動していたものの、難病にかかったため闘病生活に入り、退院後に書き上げた時代小説の『赤刃』で小説現代長編新人賞を受賞して2012年に小説家デビュー。
それから4年が経ってようやく発売されたデビュー2作目であるNo.899「リボルバー・リリー」は、「ミステリが読みたい!」で3位、「このミス」で6位、「週刊文春ミステリーベスト10」で12位にランクインし、大藪春彦賞を受賞するなど、近年では流行りのジャンルではなくなったアクション系冒険小説作品でありながらかなり高い評価を受けました。
そしてまた新作が出ない期間が3年も続いた後でついに発売された待望のデビュー3作目となるのが本作です(ここまで発表された3作はいずれもシリーズものではないのでどの作品から読んでも大丈夫です)。
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総合商社に勤める阿久津清春は、一度だけ会ったことのある柚木怜美がストーカーに襲われている場面に出くわし助けたところ、搬送された病院で怜美から恋人のふりを強要されることに。
さらに、清春の過去の秘密を脅しの材料として、怜美の母が自殺に見せかけ殺され姉が行方不明となった19年前の未解決事件の真相を探るよう怜美に命令されたため、清春は同じように怜美から脅されている警察官の則本敦子と共に捜査を始めることになって....。
そこからはこの訳あり三人組による未解決事件の捜査を中心に展開していくのですが、捜査の対象となるのは“殺人を犯しながら誰にも知られずに一般社会で普通に生活している者”となり、捜査の過程でも同じような未知の殺人者たちと次々に出会っていくことに。
しかも、実は清春と敦子も過去に人知れず殺人を犯していて、その証拠を怜美によって脅迫の材料にされていますし、そんな怜美自身も殺人事件に加害者側として関わっていたりもするので、つまりは捜査する側もされる側も皆“一般社会に紛れた殺人者(またはそれに近い者)”という凶悪すぎる構図となっているのですね。
そのため、(激しすぎるバイオレンスアクションが全編に渡って繰り広げられた著者の前作『リボルバー・リリー』と比べると)驚くほど直球な捜査ミステリでありながら、捜査する三人がいずれもどのように動くのか(いつ裏切ったり暴走したりするのか)わからないピリピリとした関係ということもあり、予測不能な捜査劇として圧倒されるほどの読み応えがありますし、終盤になると(『リボルバー・リリー』を読んでいた人であれば“待ってました!”と声に出してしまいそうな)バイオレンスアクション劇で熱狂的に盛り上がったりもするのです。
ただそれ故にバイオレンス系クライムノベルが苦手な人だと話に乗りきれない感じになってしまうかもしれないものの、そうでないのであれば、意外と正統派な捜査ミステリの中にクライムノベル要素が刺激的にぶち込まれさらにバイオレンス展開でクライマックスまで昇りつめるという長浦作品ならではの面白さを身体の奥が沸騰するほどに堪能できるのではないでしょうか。
個人的評価 : ★★★★★ ★☆☆☆☆
* 個人的評価は、減点方式ではなく加点方式となっています
(★の数が少なくても面白くなかったということではありません)
個人的評価の詳しい説明・評価基準は
「このミス」完全読破 説明&読破本リストにてご確認ください
【 “長浦京”関連記事 】
> No.1064 「マーダーズ」
> No.0899 「リボルバー・リリー」
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