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2019年5月14日 (火)

『ネクスト・ギグ』 鵜林伸也 > 「このミス」完全読破 No.1063

「このミステリーがすごい!」完全読破 No.1063

 『ネクスト・ギグ』 鵜林伸也

   「このミス」2019年版 : 15位

   受賞(候補) :

   総合ランキング :

   年度ランキング :「エアミス研ランキング」 2位
              「本格ミステリ・ベスト10」 12位

   読了日 : 2019年4月8日

   読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"後"

   読んだ版 : 単行本 <2018年10月>

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 著者の鵜林伸也は、本作の著者紹介欄によりますと、新人賞への応募を続けていた中で、2009年に鮎川哲也賞へ応募した長篇作品「スレイプニルは漆黒を駆ける」が編集者の目に留まったことがきっかけとなり、翌年発売のアンソロジー『放課後探偵団』に短篇「ボールがない」が収録されてデビュー。

 続いて2013年には短篇「宇宙倶楽部へようこそ!」を"ミステリーズ!"に掲載し、2018年に発売された本作にてついに単独著書デビューとなりました。

 すると、新人賞受賞作でもランクインするのは難しいことなのに、しかもミステリランキングの締め切りギリギリの10月末日発売というハンデもありながら、「本格ミステリ・ベスト10(本ミス)」で12位、「このミス」で15位にランクインするなど、新人賞を受賞したわけでもないデビュー作としては異例とも言うべき高評価を得たのです。

 ちなみに、短篇デビュー作が収められた『放課後探偵団』は、新人賞受賞以外の実績はまだなくデビュー間もないという新人作家五人(そのうち二人は単行本デビュー前)による書き下ろし学園ミステリ・アンソロジーなのですが、梓崎優が直後に発表された「このミス」でランクインを果たしたのに続き、2018年版では相沢沙呼が、昨年(2019年版)には似鳥鶏と本作の著者がランクインし、今のところ唯一「このミス」未ランクインの市井豊も2013年版で23位とランクインまであとわずかなところまでいっているので(「本ミス」には五人全員がランクイン)、今からすると先見の明に優れた新人アンソロジー作品だったことが分かりますね。

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 2003年にメジャーデビューしたロックバンド<サウザンドリバー>は、全国的な知名度は低いとはいえ高い演奏技術とカリスマ性を併せ持つバンドとして熱狂的なファンを獲得しながら、ボーカルの病死をきっかけに2010年に解散。

 バンドの中心的存在だったギタリストのクスミトオルは、二年間の消息不明を経て新メンバーと共にバンド<赤い青>を結成し、自身が経営するライブハウスを中心に活動して再び人気を集めていたものの、ある日のライブ中のステージ上でボーカルのシノハラヨースケが胸に千枚通しを刺されて殺され、しかも衆人環視の中だったのにも関わらず犯人が分からなくて....。

 というわけで本作はロックバンドの物語なのですが、バンドメンバーやスタッフたちのロックに懸ける熱い想いが情熱的に描かれ、成長物語や友情物語などのドラマ性も心に響いてくるものがありますし、そんな中でCDが売れずバンドを続けていくことが難しい状況であるなど今の時代だからこそのロックバンドを取り巻く情勢もリアルに描いているなど、ロックバンドの理想と現実のどちらもが魅力的に映し出されていくので、ロックバンド物語としての完成度はかなり高いように思います。

 となると、そこにミステリ要素が加わったとしても、申し訳程度の謎や推理でしかなかったりとか、ミステリ要素が無理矢理強引にねじ込まれているだけなのではないかと斜に構えて思ってしまいがちではありますが、本作の場合は(ランクイン実績が証明するように)謎や推理やトリックなどのミステリ要素は本格派で読み応え充分ですし、ロックバンド物語とミステリ要素は“ロックとは何なのか”という共通命題で強く結び付いているため、ロックバンド(音楽)ミステリとしての完成度も超一級なのですよね。

 ただそういった作品だからこそ、ロックに全く興味がなかったり毛嫌いしているような人だと作品世界に入っていきづらいかもしれないものの、ロック好きな人はもちろん興味がある程度の人であってもロック魂と本格ミステリ魂とが激しく共鳴し合った本作の面白さを身体の芯から堪能できるのではないでしょうか。


 個人的評価 : ★★★★★ ★☆☆☆☆

 * 個人的評価は、減点方式ではなく加点方式となっています
   (★の数が少なくても面白くなかったということではありません)
  個人的評価の詳しい説明・評価基準は
  「このミス」完全読破 説明&読破本リストにてご確認ください


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