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2018年9月28日 (金)

『コンビニなしでは生きられない』 秋保水菓 > 「このミス」完全読破 No.1036

「このミステリーがすごい!」完全読破 No.1036

 『コンビニなしでは生きられない』 秋保水菓

   「このミス」2019年版 : 87位

   受賞(候補) : 「メフィスト賞」 受賞

   総合ランキング :

   年度ランキング :

   読了日 : 2018年9月16日

   読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"

   読んだ版 : ノベルス <2018年4月>


コンビニなしでは生きられない
(講談社ノベルス)

秋保水菓

講談社 2018-04-06

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 第56回メフィスト賞の受賞作であり、秋保水菓のデビュー作です。

 主人公は、大学生活に馴染めず早々に中退し、その後はコンビニでバイトしているフリーターの白秋。

 まだ19歳ながら高一の時から3年ほど同じコンビニでバイトしていることもあり、新たに入ってくる研修生の教育係を担当することになったものの、その研修生というのが高校生の黒葉深咲で、しかもその黒葉は店内でミステリ的な謎が起きると生き生きし始めるという少々変わり者で....。

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 というわけで本作は、「コンビニ強盗から始めましょう」「傘は返さないといけないんです」「このコンビニから消えた女の子を覚えてる」「モノクロコンビニズム」「黒幕の向こうの会計」「黒白(こくはく)の時間」「コンビニなしでは生きられない」から成る連作集です。

 強盗事件や、何度もレジに並んで小額の買い物をしていく客、店内で姿を消した女の子など、日常の謎よりは事件性のあるような騒動がコンビニ店内で起き、その謎を主人公を始めとした店員たちが推理し解決していくのですが、個性的な店員がワイワイしながら謎解きをしていくコミカルな雰囲気で進んでいきます。

 ただそこはやはりメフィスト賞受賞作なので、そんなお店系ライトミステリの定番ような感じだけでは終わりません。

 中盤に入ると、主人公の屈折した心情や、店内での盗難を疑われ自殺した元バイト店員に関する過去話など、連作として描かれる部分に焦点が当てられていきまして、それによりそこからは結構シリアスな展開へと様変わりし、ミステリ要素も本格的な展開になっていくのですね。

 とはいえ新人のデビュー作ということもあって、ミステリ的な部分で粗さを感じたり、恋愛部分にくどさを覚えるなど、マイナス部分を探そうとすれば見つけやすいように思うのですが、前半でライトミステリかと見せかけといて後半で雰囲気を変えてしまう狙いや、作品全体に散りばめられたミステリ的な仕掛けなど、新人だからこその意気込みや熱さがとても伝わってくるような作品でもあるので、そういったプラスの部分に注目しつつこのミステリ作家としての第一歩となった本作を楽しんでみてはいかがでしょうか。


> 個人的評価 : ★★★☆☆ ☆☆☆☆☆

 * 個人的評価は、減点方式ではなく加点方式となっています
   (★の数が少なくても面白くなかったということではありません)
  個人的評価の詳しい説明・評価基準は
  「このミス」完全読破 説明&読破本リストにてご確認ください


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