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2018年9月25日 (火)

『宇宙探偵ノーグレイ』 田中啓文 > 「このミス」完全読破 No.1035

「このミステリーがすごい!」完全読破 No.1035

 『宇宙探偵ノーグレイ』 田中啓文

   「このミス」2019年版 : 57位

   受賞(候補) :

   総合ランキング :

   年度ランキング :

   読了日 : 2018年9月12日

   読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"

   読んだ版 : 文庫本 <2017年11月>

宇宙探偵ノーグレイ (河出文庫)宇宙探偵ノーグレイ (河出文庫)
田中 啓文

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 「怪獣惑星キンゴジ」「天国惑星パライゾ」「輪廻惑星テンショウ」「芝居惑星エンゲッキ」「猿の惑星チキュウ」から成るシリーズ短篇集です。

 主人公は、宇宙を飛び回って仕事をしている(けれどいつもお金に困っている)探偵のキーコ・ノーグレイ。

 そんな探偵ノーグレイが様々な惑星から依頼を受けて奮闘する姿が描かれていきます。

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 ただノーグレイに依頼して来たのは、怪獣に似た巨大生物を管理する“怪獣ランド”が観光名所となっている星だったり、住人が精神プロテクトにより罪を起こすことが出来なくなっている星だったり、住民全員が法律により脚本通りに生活している星など、とんでもなく奇抜な特徴のある訳ありの惑星ばかり。

 しかも、密室殺人や連続殺人や劇中殺人など、それぞれの惑星の設定において絶対にあり得ないような事件が起きて、それをノーグレイが(住民には事件の存在すら知られないように)密かに事件の真相を解明するべく動いていくのですね。

 本作の一番の読み所といえば、やはりバカバカしいほどに個性的すぎる惑星たちの設定でして、それぞれの地(星)を初めて訪れるノーグレイと共に、ぶっ飛びまくったアイデアが(著者らしい遊び心と共に)詰め込まれた惑星を観光するかのように(読みながら)体感していくのは、かなり刺激的な面白さです。

 そして、そういったタイプの作品だと設定重視でミステリ部分はおざなりになりがちなものの、本作の場合はミステリ部分も奇蹟的に破綻していなくて、異常な設定だからこその不可能殺人ミステリを存分に味わえますし、自らも異常な状況に追い込まれながら謎解きをしていくノーグレイの探偵ぶりを見ているだけでも充分なほどに楽しめるはず。

 ただ、多くの人に好まれるというよりは一部のマニアに絶賛されるようなタイプだと思うこともあって、声を大にしてお薦めはできないのですが、好きな人ならば終始ニヤつきっぱなしで堪能できる特殊設定SFミステリなので、少しでも気になるならまずは最初の「怪獣惑星キンゴジ」の冒頭だけでも読んでみてはいかがでしょうか。


> 個人的評価 : ★★★★★ ★☆☆☆☆

 * 個人的評価は、減点方式ではなく加点方式となっています
   (★の数が少なくても面白くなかったということではありません)
  個人的評価の詳しい説明・評価基準は
  「このミス」完全読破 説明&読破本リストにてご確認ください


  【 “田中啓文”関連記事 】

  > No.1035 「宇宙探偵ノーグレイ」

  > No.0678 「シャーロック・ホームズたちの冒険」
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  > No.0082 「落下する緑 永見緋太郎の事件簿」


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