『名探偵誕生』 似鳥鶏 > 「このミス」完全読破 No.1030
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.1030
『名探偵誕生』 似鳥鶏
「このミス」2019年版 : 投票数0
受賞(候補) :
総合ランキング :
年度ランキング : 「本格ミステリ・ベスト10」 27位
読了日 : 2018年8月26日
読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"
読んだ版 : 単行本 <2018年6月>
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「となりの町は別の国」「恋するドトール」「海王星を割る」「愛していると言えるのか」「初恋の終わる日」の五話から成る連作集です。
第一話における主人公・星川瑞人(みーくん)は小学四年生で、瑞人たちの学年では高速道路のむこう側の町にある「幽霊団地」とそこに棲む得体のしれない「シンカイ」の噂で持ち切りに。
そこで瑞人は友達に誘われて幽霊団地へ行ってみることになり、シンカイを目撃することにも成功するも、尾行していた瑞人たちの目の前でシンカイは公園に入ったその瞬間に姿を消失。
それを見て慌てて自分たちの町に逃げ戻り、友人たちと別れて家路についた瑞人は、その途中で偶然出会った隣に住む高校生の千歳お姉ちゃんに幽霊団地での出来事について話してみると、お姉ちゃんは「現場を見てみたい」と言い出して.....。
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第二話では中学生、第三話では高校生、第四話では大学生と成長していく瑞人が、その都度遭遇した謎について千歳お姉ちゃんと挑んでいく、著者お得意の青春ミステリとなっています。
青春物語的にみると、幼なじみの年上女性に対して最初は憧れの対象だったのがいつしか初恋に変わるも、相手が(主人公から見ると)常に大人な存在であるためなかなか告白できなかったりとか、謎解きを通して絆を深めているとはいえ相手からすれば(恋愛対象としてというよりは)弟に対する愛情のようだと自覚しているなど、描かれていくのは恋愛感情的に切なくほろ苦い青春が中心でして(基本はコミカル寄りの描写ではありますが)、これはまさしく著者が十八番としているジャンルなだけあって読んでいて心の内側を刺激されてしまうほどの面白さでした。
そしてミステリ部分としては、青春ミステリらしい“日常の謎”の延長線上にあるような謎解きを披露していきながらも、意外に少々重めの展開や真相が待ち受けているなど読み応えあるのですが、第四話になると謎のタイプが大きく変わりまして、そんな流れを辿ることでタイトルにもなっている“名探偵の誕生”へと繋がっていくのですね。
主人公の成長要素や恋愛話も含まれる青春物語が繰り広げられつつ、そんな青春物語に隠れた形で(しかしそんな青春物語と深く関わりながら)“名探偵の誕生”というテーマが徐々に膨らんでいき最後に勢いよく爆発するという趣向や構成がなかなかの素晴らしさなので、極上の青春ミステリを堪能しつつ、名探偵が産声を上げるその瞬間を目の当たりにしてみてはいかがでしょうか。
> 個人的評価 : ★★★★★ ★☆☆☆☆
* 個人的評価は、減点方式ではなく加点方式となっています
(★の数が少なくても面白くなかったということではありません)
個人的評価の詳しい説明・評価基準は
「このミス」完全読破 説明&読破本リストにてご確認ください
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