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「このミステリーがすごい!」完全読破 No.1014
『帝都大捜査網』 岡田秀文
「このミス」2018年版 : 16位
受賞(候補) :
総合ランキング :
年度ランキング :
読了日 : 2018年4月25日
読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"後"
読んだ版 : 単行本 <2017年7月>
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舞台となるのは昭和11年の東京で、刺し傷の形状や死後に移動された形跡、死体の身元が隠されていないなどの共通点から、連続殺人とみられる事件が発生。
この事件を仕切るのは、残忍かつ狡猾な犯罪ばかりを扱い自分たちの存在を外部に漏らさないようにしている特別捜査隊の隊長・郷咲警視。
ただこの郷咲警視は、探偵小説好きである一人娘の多都子からの助言(推理)を難事件の解決に役立ててきていて、今回の事件でも多都子の推理を参考に真相へと近づいていく中、また新たに変死体が発見されて.....。
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というわけで著者お得意の時代ミステリ作品ですが、読んでいるうちにこれが時代小説であることを忘れてしまうタイミングがあるくらいに現代ミステリに近い作風なので、時代小説に抵抗感ある人でも問題なく楽しめると思います。
とはいえ、現代ミステリ的には直球に近い捜査ミステリが繰り広げられていきながらも、昭和初期が舞台だからこその描写や空気感が作品に独自の面白さを生み出していますし、そんな現代的な要素と時代小説的な要素との絡み具合が本作の読み所でもあるのです。
しかし、そんな本作の一番の特徴といえば、この捜査ミステリパートと並行して語られていく別パートの方でして、借金を抱えてにっちもさっちもいかなくなった人物から始まる物語は、もちろん徐々に捜査ミステリパートとの繋がりが出てくるものの、それだけでなく昭和初期が舞台の小説を読んでいるとは思えないようなとんでもない展開へと突っ走っていくのですね。
これはもう“現代的な要素と時代小説的な要素との融合”どころの話ではないくらいの強烈なインパクトがあるので、なるべく内容を知らずに読んだ方が楽しめると思いますし、そんな意外性ある展開を経たうえで事件が解決したと思いきやそこでも強烈な一撃が炸裂するなど、一度読み始めれば最後の最後まで著者に翻弄されっぱなしの状態になってしまうのではないでしょうか。
ただ、「このミス」にランクインしたとはいえ、ミステリ的にもサスペンス的にもガッツリとした読み応えや圧倒的されるほどに迫力ある描写が込められた(多くの人が楽しめる)タイプというよりは、好む人をある程度限定するけれど好きな人は偏愛してしまうようなマニア受けに近いタイプのように感じたので、読む際には楽しみ方(期待のかけ方)を間違えないようご注意を。
> 個人的評価 : ★★★★★ ☆☆☆☆☆
* 個人的評価は、減点方式ではなく加点方式となっています
(★の数が少なくても面白くなかったということではありません)
個人的評価の詳しい説明・評価基準は
「このミス」完全読破 説明&読破本リストにてご確認ください
【 “岡田秀文” 関連記事 】
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