『機龍警察 火宅』 月村了衛 > 「このミス」完全読破 No.1001
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.1001
『機龍警察 火宅』 月村了衛
「このミス」2016年版 : 32位
受賞(候補) :
総合ランキング :
年度ランキング :
読了日 : 2018年1月1日
読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"後"
読んだ版 : 単行本 <2014年12月>
機龍警察 火宅 (ハヤカワ・ミステリワールド) 月村 了衛 早川書房 2014-12-19 売り上げランキング : 199232 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
No.390「機龍警察」、No.492「機龍警察 自爆条項」、No.586 「機龍警察 暗黒市場」、No.722「機龍警察 未亡旅団」に続き、『機龍警察 狼眼殺手』へと続く(2018年1月現在)、“機龍警察シリーズ”の5作目です。
日本SF大賞(2作目)と吉川英治文学新人賞(3作目)を受賞し、長編作品に限れば「このミス」で2作目以降4作連続ベスト10入り(3作連続ベスト5入り)、現時点で最新作の『~狼眼殺手』は「ミステリが読みたい!」で1位に輝くなど、今や文句なしの実績と人気を誇るシリーズとなりました。
しかも、以前に比べると近年は“刊行ペースが早めながら出れば常にランキング上位となる長編シリーズ”はほとんどないので、(少なくともエンタメ系ミステリランキング的には)2010年代を代表する唯一のシリーズと言っても過言ではないでしょう。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
というわけで本作は、「火宅」「焼相」「輪廻」「済度」「雪娘」「沙弥」「勤行」「化生」の8篇を収録したシリーズ初の短篇集でして、(「雪娘」以外の)収録作のタイトルが仏教用語という共通点はあるものの、連作ではなく(各短篇に繋がりのない)シリーズ短篇集となっています。
長編が中心のシリーズにおける短篇集といえば、(主役以外の)レギュラー登場人物を掘り下げる内容だったり、長編にするまでもないような小さめの事件や出来事が描かれるパターンが多いですが、本作の場合もその例に漏れていません。
前者でいうと、由起谷警部補が中心となる話が多かったりとか、宮近警視が公私に渡って奮闘する話があるなど、脇を固めるキャラクターたちにスポットが当てられているのは短篇ならではですし、特捜部に入る直前のライザ・ラードナーや高校時代の由起谷警部補など、シリーズを通して読んでいる人にとっては興味深いし読み逃せないような前日譚的な話も収録されています。
後者においては、もちろん物語性やドラマやストーリーが大迫力で圧倒的なこのシリーズの長編作品と比べればどうしても読み応えで劣るものの、洗練された物語の中で煮えたぎる熱量は驚くほどに長編にも負けていないので、短篇集だからといって甘い気持ちで読んでしまうと(良い意味で)火傷してしまうかもしれませんね。
まあレギュラー的に登場する人物が多かったり至近未来警察小説ならではの用語・設定のあるシリーズなので、これまでのシリーズを未読でいきなり本作を読んでしまうとそれらの把握に苦労しそうなため、あくまでシリーズ愛読者向けの短篇集だとは思いますが、それさえクリアできるのであれば、分厚い長編に手が伸びにくいようならまずこの短篇集から読んでみるのもいいのでは。
そして本作には、次作長編『~狼眼殺手』へと繋がっていくようなプロローグ的短篇も収録されているので、『~狼眼殺手』をまだ読んでいないという人にはまず本作から読んでみることをお薦めします(間接的に繋がっている程度なのでその短篇を読まずに『~狼眼殺手』を読んでも問題は全くありません)。
> 個人的評価 : ★★★★★ ★☆☆☆☆
* 個人的評価は、減点方式ではなく加点方式となっています
(★の数が少なくても面白くなかったということではありません)
個人的評価の詳しい説明・評価基準は
「このミス」完全読破 説明&読破本リストにてご確認ください
【 “月村了衛”関連記事 】
> No.1077 「悪の五輪」
> No.1051 「東京輪舞」(後日更新予定)
> No.0994 「機龍警察 狼眼殺手」(後日更新予定)
> No.1001 「機龍警察 火宅」
> No.0972 「追想の探偵」
> No.0909 「水戸黄門 天下の副編集長」(後日更新予定)
> No.0880 「ガンルージュ」
> No.0844 「影の中の影」
> No.0821 「槐(エンジュ)」
> No.0782 「土漠の花」
> No.0777 「ミステリマガジン700 【国内篇】」
> No.0722 「機龍警察 未亡旅団」
> No.0586 「機龍警察 暗黒市場」
> No.0492 「機龍警察 自爆条項」
> No.0390 「機龍警察」
「半席」青山文平 <<< PREV/NEXT >>> 「皇帝と拳銃と」倉知淳
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
>>> 「このミス」完全読破 説明&読破本リスト <<<
« 「このミス」ランクイン作品文庫化リスト(2018年2月) | トップページ | ◎愛知杯(2018年)穴馬予想&結果 »
「01.「このミス」完全読破(ミステリ小説)」カテゴリの記事
- 「このミステリーがすごい!2022年版」ランキング(順位)予想(2021.02.03)
- 「このミス2022年版」月別ランクイン候補作品(2021年2月)(2021.01.31)
- 「このミス」ランクイン作品文庫化リスト(2021年1月)(2021.01.21)
- 「このミス2022年版」月別ランクイン候補作品(2021年1月)(2021.01.09)
- 「このミス」ランクイン作品文庫化リスト(2020年12月)(2020.12.20)