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2017年12月 5日 (火)

『屍人荘の殺人』 今村昌弘 > 「このミス」完全読破 No.990

「このミステリーがすごい!」完全読破 No.990

 『屍人荘の殺人』 今村昌弘

   「このミス」2018年版 : 1位

   受賞(候補) : 「本格ミステリ大賞」 受賞
            「鮎川哲也賞」 受賞

   総合ランキング :

   年度ランキング : 「本格ミステリ・ベスト10」 1位
              「週刊文春ミステリーベスト10」 1位
              「ミステリが読みたい!」 2位

   読了日 : 2017年11月3日

   読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"

   読んだ版 : 単行本 <2017年10月>

屍人荘の殺人屍人荘の殺人
今村 昌弘

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 今年(2017年)は、新人賞の中で最も注目度の高い江戸川乱歩賞を始めとして、横溝正史ミステリ大賞、ミステリーズ!新人賞、日本ホラー大賞、小説推理新人賞が受賞作なし(または大賞の受賞作なし)に終わったため、“新人賞不作の年”とも言われています。

 しかしその分、良作が鮎川哲也賞に集中したのか、(鮎川哲也賞の)選考委員の北村薫が“(六作の最終候補のうちの)ほとんどが、当落線上にあるもので、半分は受賞してもおかしくない作でした”と評するほどの稀にみる高レベルとなったのですが、そんな中にあって満場一致で受賞が決まったのが本作なのですね。

 なお、本作は途中で大きな展開を見せるのですが、まあその部分は物語の半分より前に起きることもありネタバレとまでは言えないのかもしれないものの、知らずに読んだ方が(その場面が来た時に)驚けると思いますし、(帯やあらすじなども含め)本作の紹介文ではぼかして書かれていることがほとんどです。

 ただ、年末のランキングが発表された後ではその部分のネタバレがネット上などで多くなることが予想されるので、(少しでも気になるならば)なるべく早めに読んでしまうことをお薦めします。

 ちなみに、単行本の巻末にある参考文献を見てもネタバレとなってしまうのでご注意を(自分はついうっかり先に参考文献を目にしてしまいました.....)。

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 主人公の葉村譲は、(校内を中心にして)探偵を気取っているミステリ愛好会の会長・明智恭介と共に行動している(ミステリ愛好会会員の)大学生で、実際に刑事事件の解決に協力している探偵少女・剣崎比留子(葉村の一学年上の先輩)とも連れ立って、ペンション・紫湛荘で行われる映画研究会の夏合宿に特別参加することに。

 探偵役(が二人)とワトソン役が大学のサークル合宿のために他の学生たち数人と共に○○荘にやって来て.....、といった導入は館系本格ミステリにおける定番中の定番なわけですが、普通ならばそろそろ第一の殺人事件が起きる頃か、.というタイミングで、本作の場合はとんでもなく想定外の展開が勃発するのです。

 そんなジャンルさえ超越してしまうほどの急展開はまさに驚愕であるものの、その後はそんな新設定を踏まえたうえで館系ミステリの王道的物語が繰り広げられていきまして、特殊設定ミステリとしての魅力的な捻り具合をみせているのに加え、直球の本格ミステリとしての読み応えも充分にあるという、新人のデビュー作とは思えないくらいの完成度となっていました。

 とはいえ、ある意味一発ネタでもあるため、そこを楽しめるかどうかで本作の評価も変わってきそうですし、前評判の高さから期待やハードルを上げ過ぎてしまうと手応えを感じられない可能性があるかもしれません。

 それでもやはり、“ミステリのトリックは出尽くしてしまった”と言われる現代において新たなクローズド・サークルの要因を生み出し、それを基にして多くの人を楽しませてしまう素晴らしき本格ミステリ作品を作り出したのは、現代ミステリにおける偉業と言っても過言ではないのでは?と(大袈裟ながら)思うので、そういった部分も踏まえつつ“楽しんだもん勝ち”的な気持ちで読んでみるのが一番なのではないでしょうか。


> 個人的評価 : ★★★★★ ★☆☆☆☆

 * 個人的評価は、減点方式ではなく加点方式となっています
   (★の数が少なくても面白くなかったということではありません)
  個人的評価の詳しい説明・評価基準は
  「このミス」完全読破 説明&読破本リストにてご確認ください


  【 “今村昌弘”関連記事 】

  > No.1067 「魔眼の匣の殺人」
  > No.0990 「屍人荘の殺人」


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