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2017年10月 9日 (月)

『喝采』 藤田宜永 > 「このミス」完全読破 No.956

「このミステリーがすごい!」完全読破 No.956

 『喝采』 藤田宜永

   「このミス」2015年版 : 14位

   受賞(候補) :

   総合ランキング :

   年度ランキング : 「ミステリが読みたい!」 6位

   読始:2017.3.1 ~ 読終:2017.3.9

   読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"後"

   読んだ版 : 単行本 <2014年7月>

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藤田 宜永

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 藤田宜永は、ミステリ・ハードボイルド・冒険小説といったジャンルの作品を発表していた「このミス」初期にはランキングの常連でしたが、90年代後半以降は恋愛小説を中心とした作風に変わったこともあり、「このミス」のランキングで名前を見なくなりました。

 しかし、2014年(2015年版)に発売された本作にて実に18年ぶりとなる「このミス」ランクインを果たすと、翌年(2016年版)にはNo.842「血の弔旗」で20年ぶりのベスト10入り。

 さらに昨年(2017年版)はNo.897「亡者たちの切り札」が(ランクインこそ逃したものの)32位となるなど、3年連続で評価の高い作品を送り出しているので、まさに本作こそが“ハードボイルド作家”としての復活作なのですね。

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 舞台となるのは1972年の東京で、前年に亡き父の跡を継いで私立探偵となった浜崎順一郎が主人公。

 女子大生から生き別れの母親(元女優)を捜索する依頼を受けて調査を始めると、捜索者に関わる様々な人間ドラマが浮かび上がってきたり、事件に巻き込まれたり、父が過去に手掛けていた未解決事件との繋がりが見えてくるなど、浜崎の調査は思いもよらぬ展開へと向かっていくことに。

 そんな複雑な事件の構図を鮮やかで巧みに描いていくのはさすがの一言ですが、やはり本作の一番の魅力といえば、古き良きハードボイルド探偵の世界を現代に蘇らせたことにあるでしょう。

 70年代前半という時代設定ならではの雰囲気や小道具や時事ネタなどが物語の中で魅力的に溶け込み、主人公のキャラクターも捻くれ者だけれど渋かっこいいという王道的なハードボイルド探偵で、それでいて古臭さは感じず今の時代に描いたからこその探偵小説となっているので、もちろんジャンル的に好き嫌いは別れると思いますが、古くからのハードボイルド好き、特に原尞の“探偵沢崎シリーズ”新刊の発売を今か今かと待ち焦がれている人なんかに強くお薦めしたい作品です。


> 個人的評価 : ★★★★★ ☆☆☆☆☆

 * 個人的評価は、減点方式ではなく加点方式となっています
   (★の数が少なくても面白くなかったということではありません)
  個人的評価の詳しい説明・評価基準は
  「このミス」完全読破 説明&読破本リストにてご確認ください


  【 “藤田宜永” 関連記事 】

  > No.1116 「ブルーブラッド」
  > No.0986 「タフガイ」

  > No.0956 「喝采」
  > No.0897 「亡者たちの切り札」
  > No.0842 「血の弔旗」
  > No.0275 「ダブル・スチール」
  > No.0271 「敗者復活」


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