『AX アックス』 伊坂幸太郎 > 「このミス」完全読破 No.982
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.982
『AX アックス』 伊坂幸太郎
「このミス」2018年版 : 21位
受賞(候補) :
総合ランキング :
年度ランキング : 「ミステリが読みたい!」 6位
「週刊文春ミステリーベスト10」 7位
読始:2017.9.16 ~ 読終:2017.9.17
読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"
読んだ版 : 単行本 <2017年7月>
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No.381「グラスホッパー」、No.384 「マリアビートル」に続く“殺し屋シリーズ”の3作目です。
2004年に発売されたシリーズ1作目は「このミス」でNo.84「アヒルと鴨のコインロッカー」(2位)、『チルドレン』(16位)と3作同時にランクインし(18位)、それから6年後に発売された2作目は「このミス」でベスト10入り、「週刊文春ミステリーベスト10」ではベスト3入りするほどに評価を上げました。
そしてさらに7年後にシリーズ復活となったのが本作で、(繋がりの強かった1・2作目とは違って)今回は前2作との結びつきはそれほどでもないため、本作から読んでも問題なく楽しめると思いますが、ただ前2作の内容に軽く触れる場面はあるので、前2作を読んでいた方がより楽しめるのは間違いないのでは。
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というわけで本作は、「AX」「BEE」「Crayon」「EXIT」「FINE」から成るシリーズ初の連作集です(前2作はどちらも長編)。
今回の主人公である「兜」は、同業者からも一目置かれるほどの超一流の殺し屋でありながら、家に帰れば妻に頭が上がらず、高校生の息子にも呆れられているという、頼りなくも優しい“一家のお父さん”なのです(家族は主人公の裏稼業のことを知らず)。
“凄腕の殺し屋”と“恐妻家”のギャップにより滑稽で微笑ましくて可笑しい雰囲気が魅力的に作られていますし、殺し屋という仕事に関して悩みつつ家族を大切に思う主人公の人間味溢れる姿に対して(読みながら)愛おしく感じてしまうこと間違いないでしょう。
複数の殺し屋が暴れまくる前2作と比べると、今回は殺し屋の日常を中心に描いているかのようなので比較的ライトな印象となっているものの、終盤に入ると一気にサスペンス的な緊迫感が増していき、著者得意の伏線ミステリを効かせた仕掛けも炸裂するなど、ライトな読み味だけでは終わらせない伊坂作品ならではの読み応えも健在でした。
そんなわけで今回は前2作とは少々作風が変わっていて、(このシリーズならではの犯罪サスペンス的な面白さももちろんあるとはいえ)殺し屋の話なのに温かな気持ちにもさせられてしまうという人情ドラマ的な部分が一番の読み所となっているので、前2作を楽しめたという人なら(犯罪サスペンス的な刺激を期待しすぎなければ)今回は姉妹編のような感じで楽しめると思いますし、もしかしたら前2作がいまいち合わなかったという人ほど本作を大いに堪能できるかもしれませんね。
> 個人的評価 : ★★★★★ ★☆☆☆☆
* 個人的評価は、減点方式ではなく加点方式となっています
(★の数が少なくても面白くなかったということではありません)
個人的評価の詳しい説明・評価基準は
「このミス」完全読破 説明&読破本リストにてご確認ください
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> No.310 「オー! ファーザー」
> No.289 「SOSの猿」
> No.125 「ゴールデンスランバー」
> No.084 「アヒルと鴨のコインロッカー」
> No.021 「重力ピエロ」
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