『双蛇密室』 早坂吝 > 「このミス」完全読破 No.975
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.975
『双蛇密室』 早坂吝
「このミス」2018年版 : 67位
受賞(候補) :
総合ランキング :
年度ランキング : 「本格ミステリ・ベスト10」 5位
「週刊文春ミステリーベスト10」 12位
読始:2017.8.16 ~ 読終:2017.8.16
読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"
読んだ版 : ノベルス <2017年4月>
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No.773「○○○○○○○○殺人事件」、No.823「虹の歯ブラシ 上木らいち発散」、No.893「誰も僕を裁けない」に続く、“上木らいちシリーズ”の4作目です。
メフィスト賞を受賞したデビュー作から続く人気シリーズですが、これまでの3作は全て「本格ミステリ・ベスト10」で20位以内に入り、1・2作目は惜しくもランクインを逃した「このミス」でも3作目にしてようやくベスト20入りを果たすなど、本格ミステリとしての高い評価を継続して受けています。
なお、本作から読んでも問題なく楽しめるとは思うものの、これまでの内容に(小ネタ的に)触れる場面がたまにありますし、シリーズ常連キャラも何人かいるので、余裕があるのならば1作目から順に読んでいくことをお薦めしたいです。
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女子高生の高級娼婦にして謎解きの才能を持つ上木らいちが今回挑むのは、らいちの(援助交際の)常連客である藍川刑事が両親から告白された“蛇にまつわる二つの密室事件”の謎。
その一つ目は、藍川刑事がまだ母親のお腹の中にいた頃、密室と化したプレハブで両親(父は現在の継父ではなく実父)が蛇らしきものに噛まれ倒れていて、父だけが亡くなったという事件、二つ目は、一歳となった藍川が(侵入など不可能な)高層マンション最上階(二十七階)の自宅で突如現れた蛇に襲われたという事件で、数十年前に藍川の身の回りで起きたこれら二つの密室事件に対し、らいちが鮮やかな推理を閃かせつつ真相へと導いていきます。
というわけで今回も、奇妙な謎にトリックに推理にと本格ミステリならではの面白さがこれでもかと詰まっているのですが、ただこのシリーズにおける最大の特徴であるバカミス&エロミス要素も制御などされずにぶち込まれているので、読む人をかなり選ぶ作風であるのは相変わらずで、“(社会派要素も加わっていた)3作目だけは楽しめた”という人でも今回は再び壁投げ本となってしまう確率が高いのではないでしょうか。
それでも、このバカミス&エロミス全開の作風を楽しめるという人であれば、(普通の人にはとてもではないけれど考えつかないであろう)前代未聞の超絶トリックに世界がひっくり返るほどの驚きと衝撃を味わえると思いますし、とにかくバカミス&エロミスを徹底して突き詰めつつ本格ミステリ作品としての完成度をも高めてしまう著者の(変態的な)職人技に身悶えするほど感嘆してしまうこと間違いなしです(改めて言いますがあくまで作風が合えばの話です)。
> 個人的評価 : ★★★★★ ★☆☆☆☆
* 個人的評価は、減点方式ではなく加点方式となっています
(★の数が少なくても面白くなかったということではありません)
個人的評価の詳しい説明・評価基準は
「このミス」完全読破 説明&読破本リストにてご確認ください
【 “早坂吝”関連記事 】
> No.975 「双蛇密室」
> No.893 「誰も僕を裁けない」
> No.823 「虹の歯ブラシ 上木らいち発散」
> No.773 「○○○○○○○○殺人事件」
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