『七月に流れる花』 恩田陸 > 「このミス」完全読破 No.953
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.953
『七月に流れる花』 恩田陸
「このミス」2018年版 : 投票数0
受賞(候補) :
総合ランキング :
年度ランキング :
読始:2017.3.5 ~ 読終:2017.3.5
読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"
読んだ版 : 単行本(ミステリーランド) <2016年12月>
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講談社ミステリーランドとは、“かつて子どもだったあなたと少年少女のための~”をコンセプトに、名物編集者であった宇山日出臣が最後に手掛けたレーベルです。
特製函入りという凝った装丁の他、文字が大きめだったりとか、簡単な漢字にもルビが振ってあったり、挿絵があるなど、いかにも子供向けの本といった体裁なのですが、ただやはりコンセプト通りに大人でも楽しめる作品揃いであるのはもちろん、No.38「神様ゲーム」(麻耶雄嵩)、No.52「銃とチョコレート」(乙一)、No.42「怪盗グリフィン、絶体絶命」(法月綸太郎)は「このミス」でベスト10入りするなど、ミステリ小説として高く評価された作品も輩出しています。
そんなミステリーランドは、一度は本文用紙がメーカーで製造中止になったため終了の危機を迎えながらそれを乗り越えたりもしたものの、2016年12月の恩田陸による2作同時刊行(本作と『八月は冷たい城』)をもってレーベル完結となりました。
ちなみに、本作と『八月~』はストーリー的な繋がりはない姉妹編的な関係なので、どちらも単体で楽しむことが出来ますが、本作のクライマックスで判明する真相が『八月~』では最初から明かされた状態で物語が始まるので、両作共に読むのであれば『七月~』『八月~』という順番を絶対に守ってください。
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六月という中途半端な時期に転校して来たため、友達が出来ぬまま夏休みを迎ることになりそうなミチルは、終業式の日に緑色の不気味な“みどりおとこ”と遭遇。
すぐにその場から逃げだしたものの、いつのまにか夏休み中に夏の城“夏流城”で行われる林間学校への招待状を受け取っていて、この林間学校に呼ばれた子供は必ず参加しなければならないという決まりがこの町にはあることから、ミチルは同じように呼ばれた五人の少女と共に夏の城で過ごすことに.....。
というわけで、『八月~』が少年たちの物語なのに対し、本作の方は少女たちの物語なのですが、やはり少女たちの共同生活が描かれていくということでジュブナイル小説的な雰囲気がありますし、文字数もページ数も少なめでスラッと読み終えてしまえるので、ミステリーランドの中でも子供向け度が高いように思います。
それでも、城での生活の中で他の少女たちは知っているらしいのに(転校生である)主人公だけ知らないし謎がいくつもあり、それによって沸き起こる不安感や謎に頭を悩ます感じが主人公だけでなく読者にも生まれてくるというミステリ的な構成は巧妙ですし、不思議で不気味な世界観や真相の切なさなど恩田作品ならではの魅力で彩られているので、そんな作品世界が好きなのであれば大人でも(装丁なども含めて)充分に楽しめると思うし、自然と『八月~』の方も読みたくなるのではないでしょうか。
> 個人的評価 : ★★★☆☆ ☆☆☆☆☆
* 個人的評価は、減点方式ではなく加点方式となっています
(★の数が少なくても面白くなかったということではありません)
個人的評価の詳しい説明・評価基準は
「このミス」完全読破 説明&読破本リストにてご確認ください
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