『さなとりょう』 谷治宇 > 「このミス」完全読破 No.963
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.963
『さなとりょう』 谷治宇
「このミス」2018年版 : 投票数0
受賞(候補) :
総合ランキング :
年度ランキング :
読始:2017.5.2 ~ 読終:2017.5.9
読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"
読んだ版 : 単行本 <2017年3月>
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著者の谷治宇(たに・はるたか)は、数年の編集者生活を経て漫画原作者へと転身し、本作が初めて手掛けた時代小説(この名義では初の単行本)となります。
この経歴の中で気になるのはやはり“漫画原作者”の部分だと思うのですが、漫画原作者としては“谷治宇”名義で活動しておらず、公式の著者略歴にも漫画原作者時の名義が書かれていないため、一体どの漫画の原作を担当しているのか分かりませんでした。
しかしもう少し細かく調べてみましたら、1956年生まれ、滋賀県出身、編集者から漫画原作者に転身という経歴、そして“谷治宇”を逆さまにした名前からして、『茗荷谷なみだ坂診療所』『ミッドナイト・ドク』などの漫画の原作を担当し、ノベルス版『続 戦国自衛隊』を手掛けた“宇治谷順”と同一人物のようですね。
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坂本龍馬が京都近江屋で暗殺されて六年後の明治六年、龍馬の許嫁であった佐奈が主(ぬし)となる桶町千葉道場に、龍馬の妻であった龍(りょう)がやって来たことをきっかけにして、二人で龍馬暗殺の謎へと迫っていくことに。
ただ、“妻”と“許嫁”という心情的に相容れないであろう関係の二人ですし、佐奈が生真面目で何事にも筋を通す剣士なのに対し、りょうは自由気ままで掴みどころなく口が悪いという正反対の性格なため、“二人仲良く探偵役”とはいかず、顔を合わせる度にピリピリギスギスイライラしながら喧嘩してしまう間柄なのですね。
そんな二人のやり取りを中心に読んでいくだけでも充分面白いものの、その他にも、“龍馬暗殺の謎”を大きな柱としていくつもの謎が絡み合いながら進んでいくミステリ的展開や、実在した著名な人物たちが魅力的なキャラクター性を纏いつつ登場して物語を盛り上げていくなど、エンタメ的な面白さが作中から溢れ出て来るかのようですし、それでいて史実に則った設定が用いられているため歴史小説としての読み味も抜群です。
とはいえ、ミステリがメインというわけではなく、あくまで時代小説をミステリ要素で演出しているタイプの作品なので、ミステリ的な読み応えを期待してしまうと物足りなく感じてしまうかもしれませんが、それでもラストには心をギュッと掴まれてしまうようなサプライズ(真相)が待ち受けていたりもするので、時代小説好き(龍馬好き)な人にお薦めなのはもちろん、普段時代小説を読まないような人でも楽しみ所が必ずあると思うのでお薦めです。
> 個人的評価 : ★★★★★ ★☆☆☆☆
* 個人的評価は、減点方式ではなく加点方式となっています
(★の数が少なくても面白くなかったということではありません)
個人的評価の詳しい説明・評価基準は
「このミス」完全読破 説明&読破本リストにてご確認ください
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