『喧嘩』 黒川博行 > 「このミス」完全読破 No.943
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.943
『喧嘩(すてごろ)』 黒川博行
「このミス」2018年版 : 126位
受賞(候補) :
総合ランキング :
年度ランキング :
読始:2017.1.13~ 読終:2017.1.15
読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"
読んだ版 : 単行本 <2016年12月>
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『疫病神』、『国境』、『暗礁』、No.220「螻蛄」、No.745「破門」に続く、“疫病神シリーズ”の6作目です。
1997年から続く人気の高いシリーズですが、前作の『破門』は(作家として5度目&シリーズでは3度目のノミネートで)ついに直木賞を受賞し、「このミス」ではベスト10入りし、さらにはドラマ化&映画化されるなど、ここに来てシリーズ最高の盛り上がりとなっているのですね。
そしてこのシリーズは、1作目が新潮社、2作目が講談社、3作目が幻冬舎、4作目が新潮社、5作目が角川書店と、同じシリーズ作品なのに発行元がほぼ異なっているという珍しい特徴がありまして、今回は前作と同じ角川書店からの発売となりました。
なお、(既刊を未読の状態で)いきなり本作から読んでも楽しめるとは思いますが、前作の結末部分のネタバレになってしまう感じもあるので、まあその部分は公式で大々的にネタバレしているようなものなので問題ないとは思うものの、そこら辺が気になるようならば、これより下の文章や本作に関する情報を目にする前に前作を読んでしまうことをお薦めします。
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建設コンサルタントの二宮は、議員秘書をしている(学生時代は全く親しくなかった)元同級生の長原からの“先々月の選挙がきっかけで麒麟会(ヤクザ)と揉めて議員事務所に火炎瓶が投げ込まれる事態にまでなったため、なんとか事を収めてほしい”という依頼を受けることに。
そこで、以前の仕事で馴染みのあった組に連絡したところ、麒麟会と関わりの深い鳴友会が大きな組であることから色好い返事をもらえず、そのため二宮は嫌々ながらも、組を破門され堅気となった桑原に話を持ち掛けることに.....。
そしてここからは、悪知恵と喧嘩っ早さは一級品のイケイケ(元)ヤクザの桑原と、その桑原に引っ張り回されながらも得意の舌先三寸を駆使して苦境を打開していく二宮、この名コンビによる最早お馴染の大騒動劇が繰り広げられていきます。
桑原の立場が(前作で破門になったことにより)変わった影響が所々で見られるものの、それでも桑原のイケイケっぷりは健在ですし、桑原が暴れれば暴れるほど二宮の振り回されっぷりに磨きがかかり、二人によるまるで漫才を思わすような関西弁でのやり取りも益々絶好調となっていくのですね。
今回は二人がピンチになる場面が(このシリーズにしては)少なめで、ヤクザ以上に悪い奴らをあくどいやり方で追い込んでいく場面が大きな軸となっているため、前作と比べると展開に大きなうねりはなくシンプルな感じがありますが、このシリーズならではの(二人のキャラクターを中心とした)面白さは健在なので、(新鮮味や圧倒的読み応えなどを期待しなければ)このシリーズだからこその魅力を満足なほどに堪能できるのではないでしょうか。
> 個人的評価 : ★★★★★ ☆☆☆☆☆
* 個人的評価は、減点方式ではなく加点方式となっています
(★の数が少なくても面白くなかったということではありません)
個人的評価の詳しい説明・評価基準は
「このミス」完全読破 説明&読破本リストにてご確認ください
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> No.1005 「後妻業」
> No.0966 「果鋭」(後日更新予定)
> No.0943 「喧嘩」
> No.0834 「勁草」
> No.0745 「破門」
> No.0645 「落英」
> No.0620 「繚乱」
> No.0220 「螻蛄」
> No.0164 「煙霞」
> No.0133 「悪果」
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