『ジェリーフィッシュは凍らない』 市川憂人 > 「このミス」完全読破 No.933
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.933
『ジェリーフィッシュは凍らない』 市川憂人
「このミス」2017年版 : 10位
受賞(候補) : 「鮎川哲也賞」受賞
総合ランキング :
年度ランキング : 「本格ミステリ・ベスト10」 3位
「週刊文春ミステリーベスト10」 5位
「エアミス研ミステリランキング」 6位
「ミステリが読みたい!」 12位
「キノベス!」 26位
読始:2016.11.22 ~ 読終:2016.11.23
読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"
読んだ版 : 単行本 <2016年10月>
![]() | ジェリーフィッシュは凍らない 市川 憂人 東京創元社 2016-10-11 売り上げランキング : 11591 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
1983年のアメリカを舞台にしているのですが、航空機の歴史を変えたと称される“真空気囊”という新技術が開発され、それを利用した小型飛行船“ジェリーフィッシュ”が航行しているので、パラレル的(近過去SF的)世界となっています。
そんな“真空気囊”を発明したファイファー教授と技術開発メンバー6人は、新型機体の性能評価試験をおこなうため、新型ジェリーフィッシュに乗り込み上空へ。
ところが、乗組員のうち一人の死体が挺内で見つかり、さらには自動航行システムの暴走により雪山へ不時着陸するなど、緊急事態が立て続けに起きて始めて.....。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
そんな事件真っ只中の物語と並行する形で、この事件後の物語も描かれていきまして、こちらでは“脱出も侵入も不可能な雪山に不時着しながら乗組員全員が他殺体として発見される”という不可解な新型ジェリーフィッシュ事件の謎に、マリア&九条の刑事コンビが迫っていくことに。
“閉鎖空間での(一人ずつ被害者が出ていく)連続殺人”というのは本格ミステリ小説における昔からの定番中の定番であるため、(今の時代であれば)それだけで読者の興味を引っ張っていくのはかなり難しいことだと思います。
しかし、連続殺人パートだけでなく(時間軸をズレさせた)刑事による捜査ミステリパートを配することによって、事件の謎が絶妙なタイミングで次々と提示されていき、その勢いを保ったまま大胆ながらインパクト絶大な仕掛けが炸裂するクライマックスへと続いていくので、(ミステリとしての魅力はもちろんですが)この見事な構成によって最後まで読者を惹き込む面白さを生み出していたのでは。
物語性やドラマ性にはそれほど力を入れていないのでそこら辺を期待してしまうと読み応えを感じられないかもしれないものの、新人賞受賞作(デビュー作)だとは思えないくらいの“本格ミステリならではの面白さや醍醐味”を堪能できるのは間違いないですし、アガサ・クリスティの世界的名著『そして誰もいなくなった』に挑んだ意気込み(そしてその成果)が高く評価されているので、そういった部分にも注目して読んでみてはいかがでしょうか。
> 個人的評価 : ★★★★★ ★☆☆☆☆
* 個人的評価は、減点方式ではなく加点方式となっています
(★の数が少なくても面白くなかったということではありません)
個人的評価の詳しい説明・評価基準は
「このミス」完全読破 説明&読破本リストにてご確認ください
「聖女の毒杯 その可能性はすでに考えた」井上真偽 <<< PREV
NEXT >>> 「図書館の殺人」青崎有吾
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
>>> 「このミス」完全読破 説明&読破本リスト <<<
« 「SKY CLAW」 眞藤雅興 > ジャンプX(クロス) | トップページ | 「Twin Peach」 眞藤雅興 > ジャンプX(クロス) »
「01.「このミス」完全読破(ミステリ小説)」カテゴリの記事
- 「このミステリーがすごい!2022年版」ランキング(順位)予想(2021.02.03)
- 「このミス2022年版」月別ランクイン候補作品(2021年2月)(2021.01.31)
- 「このミス」ランクイン作品文庫化リスト(2021年1月)(2021.01.21)
- 「このミス2022年版」月別ランクイン候補作品(2021年1月)(2021.01.09)
- 「このミス」ランクイン作品文庫化リスト(2020年12月)(2020.12.20)