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2016年12月19日 (月)

『聖女の毒杯 その可能性はすでに考えた』 井上真偽 > 「このミス」完全読破 No.932

「このミステリーがすごい!」完全読破 No.932

 『聖女の毒杯 その可能性はすでに考えた』 井上真偽

   「このミス」2017年版 : 11位

   受賞(候補) : (「本格ミステリ大賞」候補)

   総合ランキング :

   年度ランキング : 「本格ミステリ・ベスト10」 1位
              「エアミス研ミステリランキング」 1位
              「ミステリが読みたい!」 9位
              「bookaholic認定国内ミステリーベスト10」 9位
              「週刊文春ミステリーベスト10」 10位
              「黄金の本格ミステリー」 選出

   読始:2016.11.13 ~ 読終:2016.11.17

   読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"

   読んだ版 : 単行本 <2016年6月>

聖女の毒杯 その可能性はすでに考えた (講談社ノベルス)聖女の毒杯 その可能性はすでに考えた (講談社ノベルス)
井上 真偽

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 井上真偽は、メフィスト賞を受賞した『恋と禁忌の述語論理』で昨年(2015年)にデビューすると、同年に発売されたデビュー2作目のNo.864「その可能性はすでに考えた」が、「本ミス」「早ミス」でベスト5入りし「このミス」「文春」にもランクインするなど、かなり高い評価を受けました。

 そしてその翌年(今年)に早くも登場したシリーズ2作目が本作なのですが、ストーリーに大きな繋がりはなく中心となる事件も異なりますし、前作の重要なネタバレもないので、本作から読んでもそれほど問題はないと思います。

 ただ、前作から引き続き登場する人物たちの関係性を理解するのに時間が掛かるかもしれませんし、前作で"主人公である探偵が奇跡を証明することが出来たのかどうか"という大まかなネタバレはあるので、出来るだけ前作から読んだ方がこのシリーズの特殊な作品世界にスムーズに入っていけるのでは。

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 “カズミ様”伝説が語り継がれている地方の町では伝統に則った婚礼が執り行われるのですが、(探偵・上苙の借金相手である金融業者の)フーリンと(上苙の元弟子である少年の)八ツ星が参列した婚礼の席にて、“大盃の回し飲み”に参加した(花婿・花嫁とその親族)8人中3人と犬1匹が毒死するという事件が発生。

 毒死した3人の席は連続していない(3人に挟まれる席で大盃を飲んだのに死んでいない者がいる)という謎めいた毒殺事件であるため、生き残った参加者たちと(乱入者のような立場の)八ツ星が犯人探しのための推理合戦を行なうことに。

 そして(読者に対する)衝撃的な一撃を最後に第一部が終わり、舞台と演者を変えて再び毒殺事件の推理合戦が繰り広げられる第二部へとなだれ込んでいきまして、そこで満を持して真打ちである探偵・上苙が登場し、推理を武器とした戦いは激しさを増して佳境へと迫っていくのですね。

 この上苙は、あらゆる可能性(推理や仮説)を否定することで“奇蹟”を証明しようとする探偵であるため、今回も考えられる様々なトリックを論理的に否定していくのですが、そんな通常の探偵ではありえないような(否定を目的とした)推理劇は相変わらず刺激的ですし、上苙に否定されていくトリックの数々も真相に近いと思わされてしまうものから(可能性はあるけれど)現実的にあり得なそうなバカバカしいものまで豊富なので、一つの事件だけを扱っているとは思えないくらいの壮大なる推理合戦に圧倒されること間違いなしです。

 “探偵の前に強敵が入れ替わり立ち替わり現れては次々と推理対決を繰り広げていく”という少年漫画のような熱い展開で演出された前作と比べるとエンタメ度は控えめになっているものの、その分本格ミステリ要素の濃厚さが増しているので、前作を楽しめた人であれば、(探偵がトリックを否定していくという)異色な設定ながら本格ミステリとしての読み応えはまさしく王道なこのシリーズの魅力を今回も堪能出来るのではないでしょうか。


> 個人的評価 : ★★★★☆ ☆☆☆☆☆

 * 個人的評価は、減点方式ではなく加点方式となっています
   (★の数が少なくても面白くなかったということではありません)
  個人的評価の詳しい説明・評価基準は
  「このミス」完全読破 説明&読破本リストにてご確認ください


  【 “井上真偽” 関連記事 】

  > No.932 「聖女の毒杯 その可能性はすでに考えた」
  > No.864 「その可能性はすでに考えた」


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