「このミス2017年版」ランクイン作品を事前に読んでしまおう!<反省会>
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前回は「このミス2017年版」ランキング(順位)予想の反省を<総論編>と<各論編>の2回に分けて書いてみましたが、今回は、“「このミス2017年版」にランクインしそうな対象作品を予測し事前に読むこと”自体の反省を行う“「このミス2017年版」ランクイン作品を事前に読んでしまおう!<反省会>”を書いてみたいと思います。
と、その前に説明を加えますと、「このミス」の予想をするにあたって、自分が読んだ作品のみをその対象としました。
つまり、“ランクインしそうだな~”と思っていても読んでいなければ予想に入れていないので、“事前に読んだか読んでいないか”というのは、予想するのにとても重要になってくるわけなのですね。
なので、それに対する反省も、来年の予想の的中率を高めるためには、非常に重要となるのです。
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それではまず、「2017年版」で20位以内にランクインした21作品のうち、どのくらいの作品を事前に読んでいたのか、見てみましょう。
○:事前に読んでいた作品
▲:チェックしていたけど読めなかった作品
■:チェックしていたけど、入らないだろうと思って読まなかった作品
×:全くノーマークだった作品
* タイトル部分のリンク先は、Amazonの詳細ページ
01位 : ○ 涙香迷宮 / 竹本健治 <感想記事はこちら>
02位 : ○ 静かな炎天 / 若竹七海 <感想記事はこちら>
03位 : ○ 真実の10メートル手前 / 米澤穂信 <感想記事はこちら>
04位 : × 半席 / 青山文平
05位 : ○ 許されようとは思いません / 芦沢央 <感想記事はこちら>
06位 : ○ リボルバー・リリー / 長浦京 <感想記事はこちら>
07位 : ○ 罪の声 / 塩田武士 <感想記事はこちら>
08位 : ▲ おやすみ人面瘡 / 白井智之 <感想記事はこちら>
09位 : ○ 希望荘 / 宮部みゆき
10位 : ○ ジェリーフィッシュは凍らない / 市川憂人 <感想記事はこちら>
11位 : ○ 聖女の毒杯 その可能性はすでに考えた / 井上真偽 <感想記事はこちら>
12位 : ○ 挑戦者たち / 法月綸太郎 <感想記事はこちら>
13位 : ▲ 望み / 雫井脩介
14位 : ▲ パイルドライバー / 長崎尚志
15位 : ○ 誰も僕を裁けない / 早坂吝 <感想記事はこちら>
16位 : ○ 虹を待つ彼女 / 逸木裕
16位 : ○ 十二人の死にたい子どもたち / 冲方丁
16位 : ○ 彼女がエスパーだったころ / 宮内悠介 <感想記事はこちら>
19位 : ▲ ガラパゴス / 相場英雄
20位 : ○ 図書館の殺人 / 青崎有吾 <感想記事はこちら>
20位 : ■ 猫には推理がよく似合う / 深木章子
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というわけで今年の読み逃しは6作品でした。
2009年版が8作、2010年版が4作、2011年版が6作、2012年版が4作、2013年版が2作、2014年版が3作、2015年版が5作、そして昨年の2016年版が4作の読み逃しだったので、6作というのは少し多めな結果でしたね。
ただ、今年は本命不在の混戦状態だったこともあり、読んでおきたい本が多すぎてなかなか絞りきれなかったので、結果が出る前から自信はなかったのですが。
それでも読む本選びさえ的確であればもっと読み逃し作品数を減らすことはできましたし、来年以降もパーフェクトを目標とすることには変わりないので、6作品を何故に読み逃してしまったのかをきちんと検証して、来年の「このミステリーがすごい!2018年版」で“ランキング発表前にランクイン全作品読破済み”の達成に少しでも役立たせてみましょう。
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まず「▲:チェックしていたけど読めなかった作品」ですが、今年は「おやすみ人面瘡」(白井智之)、「望み」(雫井脩介)、「パイルドライバー」(長崎尚志)、「ガラパゴス」(相場英雄)の4作。
「おやすみ人面瘡」は、昨年に『東京結合人間』(16位)で初ランクインを果たしていますし、本格ミステリとグロテスクホラーの融合という唯一無二の作風も自分好みなので、間違いなく読むつもりではいました。
ただ、対象作品の発売締切ギリギリの10月発売だったこともあり、他にも読んでおきたい候補作品がいくつも溜まっていたため、"(ランクインするにしてもしなくても)どっちにしろ読むんだから"という理由で優先順位を下げてしまったのです。
なので、もう少しでも早く発売されていれば確実に読んでいたのですが....。
「望み」は、あらすじを読んだだけでもかなり興味を引かれ、「このミス」的にも有力候補になりそうだったので、すぐにでも読もうとさえ思っていました。
しかし、内容的に(面白そうとはいえ)読んでいて辛い気分になりそうな展開が予想されることに少し抵抗感が出たため、昨年の『犯人に告ぐ2 闇の蜃気楼』がランキングで結果が出なかったことが頭をよぎったこともあり、他に読みたい本がいくつもある中で“ランクインしたのが分かってから読めばいいや(ランクインしなかったら読まなくていいや)”と決断してしまったのです。
なので、上半期に発売されていれば確実に読んでいたのですが....。
「パイルドライバー」は、大沢在昌による帯での激奨コメントなどを見て“これは読まねば!”と思ったものの、結構評判の良かったNo.567「闇の伴走者」が41位止まりだったことや、(締切に近い)9月末発売ということで、他の候補作品を優先した結果、予想するまでに読むことが出来なかったのです。
なのでこの作品も、もう少し早く発売されていれば確実に読んでいたのですが....。
「ガラパゴス」は、評判も良いようだったし“これは読んでおかねば”と思っていたものの、かなり話題になったシリーズ前作No.543「震える牛」が50位と振るわなかったのが気になったことや、(他の候補作なら2作品分読める)上下巻だったこともあり、なかなか手が出ぬまま予想を終えてしまいました。
ただまあ『血の轍』が43位になるなど評判の良い作品は地味に票を稼いでいたので、ここに来てのジャンプアップも予測できたのかもしれません。
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次に「■:チェックしていたけど、入らないだろうと思って読まなかった作品」ですが、今年は「猫には推理がよく似合う」(深木章子)の1作。
深木作品はデビュー作からしばらくは読み逃しなしで来ていたのですが、期間内2作目の対象作品として締切ギリギリの10月に発売された『敗者の告白』を読み逃して以降は、(完全試合ペースを続けていた投手が1本ヒットを打たれた途端に崩れてしまうのと同じような感じで)新刊が出ても未読が続いていました。
そんな流れの中で発売された本作も、過去の人気作のような社会派長編ミステリではなかったことや、“猫ミステリ”という紹介文からライトな内容だと推測してしまったこともあり、“面白いとしてもランクインするようなタイプではないのではないか”と判断して読まなかったのですね。
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そして「×:全くノーマークだった作品」ですが、今年は「半席」(青山文平)の1作。
4位の作品を読んでいなかっただけでも失態であるのに、“月別ランクイン候補作品”にも載せていなかったという、近年では珍しい完全ノーマーク作品でした。
一応 時代小説もチェックしていたものの、ネット等で口コミ情報を積極的に仕入れていないこともあってか自分のアンテナには全く引っ掛かってきませんでしたし、結果が出てから改めて本の帯を見てみてもミステリランキングに入るような臭いは感じられなかったのですよね。
ただ実は、“収録作の「真桑瓜」が『ベスト本格ミステリ2015』に選出(収録)されていた”という大きなヒントがあったので、これからは日本推理作家協会賞短編部門の受賞(候補)作品だけでなく、年間ベスト短編アンソロジー選出作もチェックしておかなければならないようです....。
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以上の反省を踏まえたうえでの来年に向けた対策・秘策としては、いつも書いているように“8月までに発売された有力候補作品はなるべく8月までに読み終え、9~10月は発売直後の候補作品をなるべく多く読み漁るべき”なのと、あとは読む候補作品を選ぶ際の勘(選択眼)をもう少し冴えさせないといけませんね。
それと“「このミス」完全読破”全体の反省としては、昨年から感想記事の更新がかなり滞ってしまっているので、それをなるべく早く消化しつつ、2018年版対象作品は“読んだらすぐに更新”を心がけていきたいと思います。
というわけで今年も3回に渡って反省してみましたが、この反省を活かして読む本を選ぶ精度を上げ、予想の方も的中率を上げたいですね。
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