「この“ランク外作品”がすごい!2017年版」
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「このミステリーがすごい!2017年版」が発売され、ランキングが発表されたということで、これからランクイン作品を読んでみようと思っている方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
2016年に発売された大量のミステリ&エンタメ作品の中から、読書のプロたちが選んだ作品がズラリと並んでいるわけで、まあ好みの問題はあるとはいえ面白い作品揃いなのは間違いないでしょう。
しかし、だからといって“ランクインした作品は面白く、ランクインしなかった作品はつまらない”というわけでは決してなく、ランクインを逃した21位以下(今年は20位に2作品並んだので22位以下)の作品の中にも傑作が数多く秘められているのですね。
なのでここは、そんなランク外だった作品の中から読んでおくべきお薦めの作品を何点か紹介してみたいと思います。
なお選んだ基準は、自分が面白いと思った作品ではありませんでして、「このミス」でランクインまであと一歩だった作品(具体的には“22位以下の作品<20点以上>”の欄に掲載された作品)の中から、他のミステリランキング誌ではランクインした作品(「本ミス」は30位以内、「文春」「早ミス」は20位以内)、および「黄金の本格ミステリー(本格ミステリー・ワールド)」選出作品をピックアップしました。
「このミス」 ・・・・ このミステリーがすごい!
「本ミス」 ・・・・ 本格ミステリ・ベスト10
「文春」 ・・・・ 週刊文春ミステリーベスト10
「早ミス」 ・・・・ ミステリが読みたい!
「黄金」 ・・・・ 黄金の本格ミステリー選出(本格ミステリー・ワールド)
* 作品名部分のリンク先は、「Amazon」の詳細ページです
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松谷警部と向島の血 / 平石貴樹
( このミス:22位、 本ミス:9位 )
「本ミス」では1作目が11位、2作目が10位と高評価を受けた一方、「このミス」では40位にも入らなかったシリーズなのですが、この4作目にして最終刊となる本作では「このミス」でも次点となるほどの票を集めることに。
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アンデッドガール・マーダーファルス 1 / 青崎有吾
( このミス:24位、 本ミス:20位 )
No.934「図書館の殺人」が「このミス」「本ミス」に、『ノッキンオン・ロックドドア』が「本ミス」「早ミス」に、そして本作が「本ミス」にランクインと、3作品が何らかのランキングでランクインしたので( 「本ミス」では3作同時ベスト20入り)、作家別で見れば今年は“青崎有吾の年だった”と言えるのかもしれませんね。
なお、同じ期間内に発売されたシリーズ続編『アンデッドガール・マーダーファルス 2』の票(1人の投票者が『~1』と『~2』の両方に票を投じたケースはなし)ともし合算したならば15位に入っていました。
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遠い唇 / 北村薫
( このミス:25位、 本ミス:22位、 文春:15位 )
心に染み入るような余韻を残す、北村作品らしい上質な謎解き短編集です。
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屋上の道化たち / 島田荘司
( このミス:26位、 本ミス:8位、 文春:8位、 黄金:選出 )
ここに来てドラマ化•映画化などメディアミックスが盛んになっている"御手洗潔シリーズ"の新作ですが、物語的にはライトな読み味ながらもインパクト絶大な驚愕トリックが大胆に炸裂します。
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クララ殺し / 小林泰三
( このミス:27位、 本ミス:23位 )
「このミス」4位を始めとして高い評価を受けたNo.699「アリス殺し」のまさかの続編である本作は、前作と同様にファンタジー世界と現実世界の間で人物や事件が歪にリンクしていく衝撃的で異色なSFミステリとなっています。
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わたしの隣の王国 / 七河迦南
( このミス:29位、 本ミス:12位 )
No.601「空耳の森」以来4年ぶりとなる久々の新作は、これまたファンタジー世界と現実世界が平行して描かれていくという一風変わったテーマパーク(アトラクション)ミステリです 。
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金田一耕助、パノラマ島へ行く / 芦辺拓
( このミス:29位、 本ミス:21位 )
東西の名探偵が豪華に共演するパティーシュシリーズの第3弾ですが、今回はそれぞれの代表作の舞台が入れ替わる凝った演出がありますし、単なるパティーシュものでは終わらない衝撃の仕掛けが施されているのは芦辺作品らしいですね。
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慈雨 / 柚月裕子
( このミス:33位、 文春:19位 )
昨年のNo.857「孤狼の血」は「このミス」3位や日本推理作家協会賞受賞など2015年のミステリシーンを代表する一作となりましたが、本作もランキング結果が(昨年と比べると)振るわなかったのは締切ギリギリの10月末発売が影響したのではないか?と思ってしまうくらいに読み応えのある警察小説です。
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倒叙の四季 破られたトリック / 深水黎一郎 <<当ブログ感想記事>>
( このミス:34位、 本ミス:10位、 早ミス:13位、 黄金:選出 )
全編に渡って推理劇が繰り広げられるド派手な多重解決ミステリだった昨年の「ミステリー・アリーナ」とは打って変わって、本作は比較的地味めながら正統派な読み味を堪能できる倒叙ミステリ作品です。
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