『挑戦者たち』 法月綸太郎 > 「このミス」完全読破 No.924
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.924
『挑戦者たち』 法月綸太郎
「このミス」2017年版 : 12位
受賞(候補) :
総合ランキング :
年度ランキング : 「ミステリが読みたい!」 8位
「本格ミステリ・ベスト10」 15位
「週刊文春ミステリーベスト10」 16位
「bookaholic認定国内ミステリーベスト10」 候補作
読始:2016.10.27 ~ 読終:2016.10.28
読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"
読んだ版 : 単行本 <2016年8月>
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法月綸太郎は、デビュー以来何年にも渡って本格ミステリの傑作を書き続けていますが、その一方で本格ミステリに関する評論も数多く発表しています。
そして近年では、本格ミステリというジャンル自体とSFとを大胆に融合させ「このミス」1位を始め高い評価を得たNo.659「ノックス・マシン」など、作家であり評論家であるという両方の顔を持つからこそ生まれ得た実験作を世に送り出していまして、その究極ともいえるのが本作なのです。
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テーマとなるのは、“読者への挑戦(状)”。
これは、(主に古典の)推理小説において(探偵役が推理を披露し真相を明らかにする)クライマックスシーンの直前に挿入されているもので、“謎を解くために必要な情報はここに至るまでに全て出揃っているため、犯人(トリック)を当ててみたまえ”という作者から読者へ向けた挑戦状です。
そして本作は、そんな“読者への挑戦”のみが99通りも並んでいるのですね。
しかもその内容というのが、通常の“読者への挑戦”の形式通りのものもあれば“読者への挑戦”を題材にして話を作り上げたものもあり、本格ミステリを知り尽くしている作者だからこそのマニアックなネタもあれば思わず呆れてしまうようなバカミス的なネタもあり。
さらには、古今東西様々な(本格ミステリ以外も含んだ)小説のパロディ/オマージュだけでなく予想外のメディ作品がネタ元となっていたり、小説の範疇を越えた表現方法や形式が用いられたものもあるなど、“読者への挑戦の羅列”といってもそのヴァリエーションやアイデアは豊富で全く飽きさせないのです(これは読む人にもよると思いますが)。
ただ物語性は皆無に等しく、小説といってよいのかわからない代物なので、期待の掛け方を間違えてしまえば“(悪い意味で)なんじゃこりゃ”となってしまいそうではありますが、“読者への挑戦”のみにスポットを当てるという(本格ミステリ好きな人のみが楽しめる)遊び心に溢れた唯一無二の書ですし、こういったものが好きな人であれば他のミステリ小説では決して味わうことの出来ない刺激を堪能できるのではないでしょうか。
> 個人的評価 : ★★★★★ ★☆☆☆☆
* 個人的評価は、減点方式ではなく加点方式となっています
(★の数が少なくても面白くなかったということではありません)
個人的評価の詳しい説明・評価基準は
「このミス」完全読破 説明&読破本リストにてご確認ください
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> No.1117 「赤い部屋異聞」
> No.1100 「法月綸太郎の消息」(後日更新予定)
> No.0924 「挑戦者たち」
> No.0843 「怪盗グリフィン対ラトウィッジ機関」
> No.0659 「ノックス・マシン」
> No.0644 「犯罪ホロスコープII 三人の女神の問題」
> No.0542 「頼子のために」
> No.0511 「キングを探せ」
> No.0281 「密閉教室」
> No.0096 「犯罪ホロスコープI 六人の女王の問題」
> No.0042 「怪盗グリフィン、絶体絶命」
> No.0004 「生首に聞いてみろ」
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