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2016年11月 8日 (火)

『静かな炎天』 若竹七海 > 「このミス」完全読破 No.920

「このミステリーがすごい!」完全読破 No.920

 『静かな炎天』 若竹七海

   「このミス」2017年版 : 2位

   受賞(候補) :

   総合ランキング :

   年度ランキング : 「ミステリが読みたい!」 5位
              「週刊文春ミステリーベスト10」 11位
              「本格ミステリ・ベスト10」 18位

   読始:2016.10.12 ~ 読終:2016.10.15

   読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"

   読んだ版 : 文庫本 <2016年8月>

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若竹 七海

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 『プレゼント』、No.808「依頼人は死んだ」No.812「悪いうさぎ」No.813「さよならの手口」に続く、“葉村晶シリーズ”の5作目です。

 一昨年(2014年)の末には13年ぶりとなるシリーズ復活作『さよならの手口』がいきなり(シリーズ初となる)文庫本で発売となりましたが、「このミス」で4位、「週刊文春ミステリーベスト10」と「ミステリが読みたい!」で10位、「本格ミステリ・ベスト10」で18位にランクインするなどかなり高い評価を受けました。

 そしてシリーズ新作を読むにはまた十数年待たねばならないのかな~と思っていたところ、わずか2年後(「このミス」的には翌年度)に続編である本作がまたもやいきなり文庫で発売されるという嬉しいサプライズがあったのですね。

 なお、本作から読んでも問題なく楽しむことができるのではと思いますが、(主人公が現実の時間とほぼ同じように歳を取っていることからもわかるように)探偵としての&人間的な成長(というよりも円熟?)物語の側面も若干あるので、1作目から順に読むとまた違った面白さを味わえると思います。

 その際には、『悪いうさぎ』と『さよならの手口』の間に発売されたノンシリーズ短編集No.752「暗い越流」にも“葉村晶シリーズ”の短編が2作収録されているので、この作品も忘れずにを読むことをお薦めします。

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 というわけで本作は2作目以来となる連作集で(3・4作目は長編)、「青い影」「静かな炎天」「熱海ブライトン・ロック」「副島さんは言っている」「血の凶作」「聖夜プラス1」の6編を収録。

 真面目で仕事熱心で調査には一切手を抜かない頑固で有能でありながら、なぜか不幸・不運を吸い寄せてしまうため酷い目に合ってばかりいるという探偵・葉村晶を主人公に据えたシリーズで、今回は2014年7月から12月の間に起きた葉村が関わる事件や騒動が月に1話ずつ描かれていきます。

 主人公・葉村のキャラクターはいまさら言うまでもなく魅力的ですが、歳を重ねるごとに顕著になっていく体力的衰えが(本作では前作と同じく40代設定)益々不幸・不運体質を加速させてより魅力的なキャラクターとなっていますし、葉村と関わる(葉村の不幸・不運の元凶なのではないかとも思えてしまう富山店長を始めとした)常連のサブキャラや新たな登場人物たちも皆一癖二癖あるので、そんな人物たちの(葉村を中心とした)絡みを見ているだけで思わずニヤリとしてしまうほどに楽しめるのでは。

 そんな(作品としての)強力な武器となるキャラクターがいるのにもかかわらず、調査ミステリとしても探偵ハードボイルドとしても(派手な仕掛けや展開はないものの)まさしく本物の読み味が生み出されていて、連作集ながら長編と変わらぬガッツリとした読み応えを堪能出来ると思うので、(シリーズとしての新鮮味はないかもしれないとはいえ)読めばこのシリーズの面白さを(本作を読む前から理解していたとしても)“これほどの面白さだったのか!”と再認識してしまうに違いありません。


> 個人的評価 : ★★★★★ ★★☆☆☆

 * 個人的評価は、減点方式ではなく加点方式となっています
   (★の数が少なくても面白くなかったということではありません)
  個人的評価の詳しい説明・評価基準は
  「このミス」完全読破 説明&読破本リストにてご確認ください


  【 “若竹七海” 関連記事 】

  > No.1125 「不穏な眠り」

  > No.1103 「殺人鬼がもう一人」(後日更新予定)
  > No.1029 「錆びた滑車」
  > No.0920 「静かな炎天」
  > No.0813 「さよならの手口」
  > No.0812 「悪いうさぎ」

  > No.0808 「依頼人は死んだ」
  > No.0777 「ミステリマガジン700 【国内篇】」
  > No.0752 「暗い越流」
  > No.0431 「ポリス猫DCの事件簿」
  > No.0205 「プラスマイナスゼロ」


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