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2016年10月21日 (金)

『罪の声』 塩田武士 > 「このミス」完全読破 No.918

「このミステリーがすごい!」完全読破 No.918

 『罪の声』 塩田武士

   「このミス」2017年版 : 7位

   受賞(候補) : 「山田風太郎賞」受賞
            (「吉川英治文学新人賞」 候補)

   総合ランキング :

   年度ランキング : 「週刊文春ミステリーベスト10」 1位
              「ミステリが読みたい!」 12位

   読始:2016.10.7 ~ 読終:2016.10.8

   読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"

   読んだ版 : 単行本 <2016年8月>

罪の声罪の声
塩田 武士

講談社 2016-08-03
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 本作では「ギンガ・萬堂事件(ギン萬事件)」の謎について描かれていくのですが、この事件は1984年に実際に起き日本中を震撼させた「グリコ・森永事件(かい人21面相事件)」を下敷きとしています。

 それを踏まえると、“主人公が父の遺品の中からカセットテープと黒革のノートを見つけ、そのテープを聴いてみるとそれは「ギン萬事件」で恐喝に使われた録音テープの音声で、しかもそれには自分が幼い頃の声が使われていて....”といういきなりグイッと惹き付けられる冒頭場面が、より興味深く感じられるのでは。

 しかも、「グリコ・森永事件」を単にモデルとして使っているだけではなく、(企業名を変えているくらいで)事件の日時・場所・犯行内容・事件報道など「グリコ・森永事件」とほぼ同じ(史実通りの)内容となっているのですね。

 そのため、「ギン萬事件」を振り返る場面などはノンフィクション作品のような読み味さえありますし、二人の主人公がそれぞれ事件の謎を辿り真犯人に迫っていく展開も(もちろんフィクション/エンタメ的な面白さもあるとはいえ)戦後最大の未解決事件の真犯人を実際に暴き真相を明らかにしていくかのようで、通常のフィクション作品以上のドキドキワクワク感を味わうことが出来ると思います。

 それだけでも充分に面白いし普通の作品ならそんな真犯人探しの結末が物語のゴールで何の問題もないのですが、本作の場合はそのさらに先に壮絶で感動的な人間ドラマやテーマ性が読む者を圧倒するかのように待ち構えているため、単に実在の未解決事件を扱っているだけでは終わらない圧巻の物語も作り上げられているのです。

 事件調査ミステリとしてみると意外性や大掛かりなトリックなどはないですし、「グリコ・森永事件」の概要や事件当時における世間の空気感などを知っているかどうかで感じ入り方(物語に対して惹き付けられる度合い)が変わってきそうなので、誰もが楽しめるタイプではないかもしれないものの、有名な未解決事件を基にしてこれだけの物語を生み出してしまったアイデアやエネルギー、そしてそこから溢れ出てくる面白さは本作でしか味わえないと思うので、読みながら「ギンガ・萬堂」を「グリコ・森永」に頭の中で置き換えつつ、“30年の時”と“現実/小説の境”を越えて蘇ったこの歴史的事件と人間ドラマを堪能してみてはいかがでしょうか。


> 個人的評価 : ★★★★★ ★★★☆☆

 * 個人的評価は、減点方式ではなく加点方式となっています
   (★の数が少なくても面白くなかったということではありません)
  個人的評価の詳しい説明・評価基準は
  「このミス」完全読破 説明&読破本リストにてご確認ください


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