『倒叙の四季 破られたトリック』 深水黎一郎 > 「このミス」完全読破 No.917
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.917
『倒叙の四季 破られたトリック』 深水黎一郎
「このミス」2017年版 : 34位
受賞(候補) :
総合ランキング :
年度ランキング : 「本格ミステリ・ベスト10」 10位
「ミステリが読みたい!」 13位
「黄金の本格ミステリー」 選出
読始:2016.10.6 ~ 読終:2016.10.7
読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"
読んだ版 : ノベルス <2016年4月>
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No.104「エコール・ド・パリ殺人事件 レザルティスト・モウディ」、『トスカの接吻 オペラ・ミステリオーザ』、No.251「花窗玻璃 シャガールの黙示」、『ジークフリートの剣』、No.725 「世界で一つだけの殺し方」に続く、“芸術探偵シリーズ”の6作目です。
ただ今回は“(美術や音楽などの)芸術”が事件と関わって来ないので、シリーズの番外編とでもいった感じですかね。
なお、このシリーズはどの作品から読んでも問題ないでしょう。
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そして本作は連作集となっていて、「春は縊殺 やうやう白くなりゆく顔いろ」「夏は溺殺 月の頃はさらなり」「秋は刺殺 夕日のさして血の端いと近うなりたるに」「冬は氷密室で中毒殺 雪の降りたるは言ふべきにもあらず」の4篇を収録。
各話で共通するのは、タイトルにもあるように(最初から犯人の正体や犯行内容が明かされたうえで主に犯人目線で物語が進んでいく)倒叙ミステリの形式になっていることと、犯人たちはいずれも“完全犯罪完全指南”(独自捜査・違法捜査をやりすぎて懲戒免職処分になった元警視庁の敏腕刑事が執筆したという触れ込みの裏ファイル)を参考にしていること。
そして犯人たちは“完全犯罪完全指南”以外にも犯罪(捜査)に関する様々な専門知識を研究し、いかに警察に物証を掴ませずに完全犯罪を成し遂げようかと計画を練ってから犯罪をおこなうため、(犯罪等に関する)蘊蓄を絡めつつ犯行場面が描かれていくのです。
そんな完全犯罪の遂行に自信を持つ犯人たちの策略に対し、見事に穴を突いて犯人を追いつめていく海埜刑事の推理も鮮やかですし、深水作品らしい(本格ミステリ研究的な)蘊蓄がありながら小難しいことなく楽しめるので、昨年のNo.837「ミステリー・アリーナ」と比べれば地味な印象となってしまうかもしれませんが、まさに倒叙ミステリのお手本のような面白さを堪能できるのではないでしょうか。
> 個人的評価 : ★★★★☆ ☆☆☆☆☆
* 個人的評価は、減点方式ではなく加点方式となっています
(★の数が少なくても面白くなかったということではありません)
個人的評価の詳しい説明・評価基準は
「このミス」完全読破 説明&読破本リストにてご確認ください
【 “深水黎一郎” 関連記事 】
> No.973 「ストラディヴァリウスを上手に盗む方法」
> No.917 「倒叙の四季 破られたトリック」
> No.837 「ミステリー・アリーナ」
> No.725 「世界で一つだけの殺し方」
> No.673 「美人薄命」
> No.564 「言霊たちの夜」
> No.488 「人間の尊厳と八〇〇メートル」
> No.307 「五声のリチェルカーレ」
> No.251 「花窗玻璃 シャガールの黙示」
> No.104 「エコール・ド・パリ殺人事件 レザルティスト・モウディ」
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