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「このミステリーがすごい!」完全読破 No.900
『砕け散るところを見せてあげる』 竹宮ゆゆこ
「このミス」2017年版 : 投票数0
受賞(候補) :
総合ランキング :
年度ランキング :
読始:2016.7.28 ~ 読終:2016.7.28
読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"
読んだ版 : 文庫本 <2016年5月>
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竹宮ゆゆこは、『わたしたちの田村くん』でのデビュー以降、電撃文庫からライトノベル作品を発表すると、「このライトノベルがすごい!」では3年連続ベスト10に入り、“『とらドラ!』シリーズ”はテレビアニメ化されるほどの人気作となっています。
そしてライトノベルと一般文芸の中間に位置するようなレーベルである“新潮文庫nex”の創刊ラインナップ(2014年9月)の一冊として『知らない映画のサントラを聴く』を刊行し、それに続いて“新潮文庫nex”から発売されてレーベルやジャンルの枠を超えて評判となっているのが本作です。
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大学受験を控えている高校生の濱田清澄は、全校集会に遅刻したので体育館の一番後ろで校長の長い話を聞いていたところ、一年生の女子がいじめを受けているのを目撃したため、見かねて止めに入ることに。
しかし、集会が終わった後にそのいじめられ女子に声をかけると、返って来たのはなぜか「ああああああああああああああああ!」という絶叫。
ヤバい奴だと思いつつも、そのいじめられっ子・蔵本玻璃のことが気になって様子をうかがっているうちに、物語は動き出していきます。
登場人物たちのキャラクターやそのやり取りなどはいわゆるラノベ的な軽さや楽しさがあり、その一方でいじめに関する場面は重く辛く切なくなってしまうような描写なので、その対比によって青春ドラマの光と影のどちらをもより印象的に映し出し、その両者が融合していくことで直球の青春ドラマでありながら一筋縄ではいかない読み味を生み出していたように感じました。
そして終盤に入っていくと、息をのむサスペンス的展開や、幻想的な演出、意表を衝かれるサプライズなどにより、“ラノベ的”という雰囲気とはかけ離れていくかのような強烈で刺激的な物語となっていきまして、この部分があったからこそこれだけ話題になり人気を得ているのでしょう(もしかしたらサプライズ部分のみの影響かもしれませんが)。
ただこの終盤は、ラノベ風の物語を期待して読んだ人だと理解し辛くてスッキリしない後味が残りそうなのですが、「このミス」を参考にしているような人ならこの終盤以降の展開にこそ(小説を読むうえで期待する)読み応えを感じるのではないかと思うので(とはいえ“「このミス」で票を稼ぐタイプの作品だ”と言っているわけではありません)、最初から文庫での発売なので手軽に読めるということもあり、少しでも気になっているのであれば試しに手に取ってみてはいかがでしょうか。
> 個人的評価 : ★★★★☆ ☆☆☆☆☆
☆☆☆★★ : 本格ミステリ度
☆★★★★ : ビックリ驚愕度
☆☆☆★★ : 熱アクション度
☆☆★★★ : 鬼畜グログロ度
☆★★★★ : 主キャラ魅力度
☆☆★★★ : 人間味ドラマ度
☆☆★★★ : 感涙ウルウル度
☆☆☆☆★ : 下ネタエッチ度
☆☆★★★ : 衝撃バカミス度
☆★★★★ : 気軽に読める度
* 個人的評価は、減点方式ではなく加点方式となっています
(★の数が少なくても面白くなかったということではありません)
<個人的評価&項目別評価>の詳しい説明・評価基準は
「このミス」完全読破 説明&読破本リストにてご確認ください
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