『リボルバー・リリー』 長浦京 > 「このミス」完全読破 No.899
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.899
『リボルバー・リリー』 長浦京
「このミス」2017年版 : 6位
受賞(候補) : 「大藪春彦賞」 受賞
総合ランキング :
年度ランキング : 「ミステリが読みたい!」 3位
「週刊文春ミステリーベスト10」 12位
読始:2016.7.16 ~ 読終:2016.7.27
読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"
読んだ版 : 単行本 <2016年4月>
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長浦京は、放送作家として活動していたものの、難病にかかったため闘病生活に入ることに。
そして退院後に書き上げた時代小説の『赤刃』で小説現代長編新人賞を受賞して2012年に小説家デビューとなりました。
それから4年が経ってようやく発売された待望のデビュー2作目が本作でして、刊行直後から高い評価を多く目にしたので読んでみました。
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関東大震災が起きた直後に(家族と共に)東京から秩父へと越して来た少年・細見慎太は、地元の人達と馴染めず辛い日々を送っていたある時、(しばらく家を空けていて)突然帰って来た父から封筒を渡されたうえで“今すぐ熊谷へ逃げろ”と怒鳴るように告げられることに。
その後に家へ戻ってみると何人もの人間たちが家族に暴力をふるっている危険な状況だったため、親しくなっていた近所に住む老人・筒井国松の助けを借りつつ熊谷へ向かったものの、そこでも窮地に追い込まれてしまう慎太。
そんな慎太の前に現れたのが若くて美しい女性の小曽根百合で、百合と慎太は追手から逃げつつ東京を目指すのですが、その追手というのが帝国陸軍や(百合と因縁のある)やくざ達で、二人の行く先々で待ち受け襲撃してきたり、一般人が近くにいても構わず銃で撃ってくるなど、(何でもやり放題の権力側であることも含めて)かなり危険で暴力的な連中なのです。
しかし百合の方も実は、訓練により戦闘技術を身に付け、冷酷に殺人を行う諜報員として活躍した過去を持っているので、圧倒的な数の不利がありながら相手を出し抜いたり武器を使っての迎撃が可能となるため、(百合と慎太が出会って以降は)ほぼ全編に渡って“死闘”という名が相応しいような激しすぎるバトルアクション劇が繰り広げられていくのですね。
そこに、慎太が抱えた(陸軍が必死に奪おうとするほどの)重要な秘密を探る展開や、徐々に明かされていく百合の過酷で謎めいた過去、そして(関東大震災直後である)大正時代ならではの世界観などの要素が加わることにより、サスペンスやミステリやハードボイルドや時代ものなど様々なエンタメ的魅力が制限なくつぎ込まれたアクション系冒険小説として完成していたように思います。
(今このジャンルで人気・実績共に猛威を振るっている)月村了衛のアクション系冒険小説と比べると、怒涛の如きスピード感や心震わす人間ドラマなどの面では劣る(というかそこを狙っていない)ため、ページ数も多めということもありじっくりと楽しむタイプの作品ですが、終盤におけるド派手でド迫力なバトルアクションはとにかく圧巻で度肝を抜かれること間違いないですし、骨太なアクション系冒険小説としてはここ数年の中でも筆頭クラスの読み応えを堪能できるのではないでしょうか。
> 個人的評価 : ★★★★★ ★☆☆☆☆
☆☆☆★★ : 本格ミステリ度
☆☆☆★★ : ビックリ驚愕度
★★★★★ : 熱アクション度
☆☆★★★ : 鬼畜グログロ度
☆☆★★★ : 主キャラ魅力度
☆☆★★★ : 人間味ドラマ度
☆☆☆★★ : 感涙ウルウル度
☆☆★★★ : 下ネタエッチ度
☆☆☆★★ : 衝撃バカミス度
☆☆☆★★ : 気軽に読める度
* 個人的評価は、減点方式ではなく加点方式となっています
(★の数が少なくても面白くなかったということではありません)
<個人的評価&項目別評価>の詳しい説明・評価基準は
「このミス」完全読破 説明&読破本リストにてご確認ください
【 “長浦京”関連記事 】
> No.1064 「マーダーズ」
> No.0899 「リボルバー・リリー」
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