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2016年7月16日 (土)

『誰も僕を裁けない』 早坂吝 > 「このミス」完全読破 No.893

「このミステリーがすごい!」完全読破 No.893

 『誰も僕を裁けない』 早坂吝

   「このミス」2017年版 : 15位

   受賞(候補) : (「本格ミステリ大賞」候補)

   総合ランキング :

   年度ランキング : 「本格ミステリ・ベスト10」 6位
              「ミステリが読みたい!」 11位
              「週刊文春ミステリーベスト10」 18位
              「黄金の本格ミステリー」 選出
              「bookaholic認定国内ミステリーベスト10」 候補作

   読始:2016.6.17 ~ 読終:2016.6.17

   読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"

   読んだ版 : ノベルス <2016年3月>

誰も僕を裁けない (講談社ノベルス)誰も僕を裁けない (講談社ノベルス)
早坂吝

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 No.773「○○○○○○○○殺人事件」No.823「虹の歯ブラシ 上木らいち発散」に続く、“上木らいちシリーズ”の3作目です。

 メフィスト賞受賞作である『○○○○○○○○殺人事件』は、バカミス&エロミス&タイトル当てという超異色な内容だったにも関わらず、「本格ミステリ・ベスト10」で6位、「ミステリが読みたい!」で7位、「週刊文春ミステリーベスト10」で17位に入り、唯一「このミス」ではランクインしなかったものの差はわずかの23位となるなど、デビュー作としては破格の評価を受けることに。

 さらにその翌年に早くも発売されたデビュー2作目にしてシリーズ2作目の『虹の歯ブラシ 上木らいち発散』も「本格ミステリ・ベスト10」で11位にランクインし、一発屋では終わらない確かなミステリ的実力を証明しています。

 そしてノンシリーズ作品『RPGスクール』を挟んで発表されたのがシリーズ3作目の本作ですが、取り扱われる事件等は別物なので本作から読んでも問題ないものの、前2作の内容に触れる場面がたまにあってそこは(前2作を読んでいないと)意味が分からないと思うので、そういった部分に引っ掛かりを覚えたくないのであれば1作目から順に読んでいくことをお薦めします。

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 女子高生高級娼婦である上木らいちの元に何故か、全く面識のない逆井重工の社長・逆井東蔵から“拙宅のメイドとして雇用させていただきたい”という手紙が届き、不思議に思いながらも逆井邸でメイドとして働くことになったところ、そこで殺人事件が発生。

 一方その頃、高校生の戸田公平は、資産家の令嬢で親からボディガードを付けられている崎(みさき)と運命的に出会い、初対面以来一度も会えていないながら付き合うことになったものの、そんな中で公平はある条例違反により警察に逮捕されてしまうことに.....。

 そんならいちと公平の物語が並行して語られていくのですが、らいちのパートにおいては、怪しい人間たちが住む奇妙な形の館を舞台に、謎めいた殺人事件が起き、探偵役が推理し真相を導き出そうとするという、古き良き時代の講談社ノベルスを思わすような館系本格ミステリが繰り広げられていきます。

 それに対して公平のパートでは、とある罪により逮捕された公平が、刑事の厳しい取調べを受けつつ、担当弁護士からの助言を得ながら無罪を勝ち取ろうと奮闘する、社会派ミステリとでもいうべき物語が繰り広げられていきます。

 なので、館系本格ミステリと社会派ミステリを同時に(並行して)楽しむことが出来るのですが、どちらのパートにおいても当然の如くこのシリーズ最大の特徴であるエロ(下ネタ)の要素がつぎ込まれているので、特に社会派ミステリの方は真面目(社会派)な部分とエロミス要素とがシュールに融合していて思わずニヤリとしてしまうような読み味を生み出しているのですね。

 そのため、もちろん読む人を選ぶバカミス系作品ということもあり(この作風が)合わない人には壁投げ本となるかもしれませんが、このシリーズの魅力(エロ&バカミス)を今回も大いに携えつつ、社会派ミステリとの融合という新たな領域をも取り込みマンネリなど軽く打破しているので、このシリーズのファンであれば本作も心の底から堪能できるのではないでしょうか。


> 個人的評価 : ★★★★★ ★☆☆☆☆


 ★★★★★ : 本格ミステリ度
 ★★★★ : ビックリ驚愕度
 ☆☆☆☆★ : 熱アクション度
 ☆☆☆★★ : 鬼畜グログロ度
 ☆☆★★★ : 主キャラ魅力度
 ☆☆☆★★ : 人間味ドラマ度
 ☆☆☆☆★ : 感涙ウルウル度
 ★★★★★ : 下ネタエッチ度
 ★★★★★ : 衝撃バカミス度
 ★★★★ : 気軽に読める度

 * 個人的評価は、減点方式ではなく加点方式となっています
   (★の数が少なくても面白くなかったということではありません)
  <個人的評価&項目別評価>の詳しい説明・評価基準は
  「このミス」完全読破 説明&読破本リストにてご確認ください


  【 “早坂吝”関連記事 】

  > No.975 「双蛇密室」
  > No.893 「誰も僕を裁けない」
  > No.823 「虹の歯ブラシ 上木らいち発散」
  > No.773 「○○○○○○○○殺人事件」


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