『現代詩人探偵』 紅玉いづき > 「このミス」完全読破 No.892
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.892
『現代詩人探偵』 紅玉いづき
「このミス」2017年版 : 投票数0
受賞(候補) :
総合ランキング :
年度ランキング :
読始:2016.6.11 ~ 読終:2016.6.16
読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"
読んだ版 : 単行本 <2016年3月>
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将来詩人として生きていきたい人が集まったSNSコミュニティ『現代詩人卵の会』の地方都市オフ会がファミレスで行われ、参加した9人のメンバーは詩の合評などを行なって有意義な時間を過ごし、10年後の同じ日、同じ時間に、同じ場所で再会することを誓約。
そして約束の日、ファミレスにやって来たのは(10年前の半数しかいない)5人のみで、残りの4人はこの10年の間に自殺や事故で亡くなっていたことが判明。
そこで、4人の死をこの時初めて知った主人公は、(大学を出てからは就職せずコンビニの深夜バイトで働き、雑誌の読者投稿欄に詩を送っても掲載されないなどの鬱屈した状況により)詩を書いて生きることに疑問を感じ始めていたこともあり、4人の死について調べていくことに.....。
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というわけで本作ですが、主に電撃文庫などでライトノベル系作品を発表してきた紅玉いづきによる、初のミステリ作品となります。
最初のオフ会で『探偵』というタイトルの詩を発表したことから“探偵くん”と呼ばれることになった主人公が、まさに探偵のようにかつての仲間の死について探っていく物語なのですが、やはり“詩”が一番のテーマとなっていることもあってか詩を思わすような文体で綴られていき、詩や人生や死生観に対し苦悩する主人公の心情が話の中の多くを占めています。
それに、主人公が4人それぞれの死に不審なところを見つけ、その謎を解き、真相を暴き出していく、といったミステリの王道的な流れには向かっていかないので、ミステリ小説というよりは“詩人による内省的な青春小説”といった読み味の方が強く感じられるかもしれません。
ただだからといってミステリ小説ではないのかといえばそんなことはなくて、主人公は4人の死にまつわる事情(死んだ状況/家族・恋人/遺された詩)に触れることにより、犯人捜しなどの分かりやすい謎を解くのではなく、“なぜ死ぬことになった(死を選んだ)のか”から始まり、“それ(死)に詩は関わっていたのか”、“詩人としての死であったのか”、“死ぬことでしか詩人には成りえないのか”、といった“詩と死”の関係性にまつわる謎を探って解き明かすという、“詩(詩人)”がテーマである本作だからこそのミステリ的演出となっているのですね。
なので、そういった部分にミステリとしての読み応えを感じられなかったり、詩ならではの表現や詩人たちの心情などを理解しにくかったりすると、本作に対して肌の合わなさを覚えてしまうかもしれませんが、この作風を受け入れられるのであれば、王道ミステリ的なサプライズも用意されていますし、なにより詩人が主人公の青春物語として(暗い雰囲気ではあるものの)とても興味深くて面白いので、好きな人ならば作中世界にしっとりと浸れるのではないでしょうか。
> 個人的評価 : ★★★★★ ★☆☆☆☆
☆☆★★★ : 本格ミステリ度
☆★★★★ : ビックリ驚愕度
☆☆☆☆★ : 熱アクション度
☆☆☆★★ : 鬼畜グログロ度
☆☆☆★★ : 主キャラ魅力度
☆☆★★★ : 人間味ドラマ度
☆☆★★★ : 感涙ウルウル度
☆☆☆☆★ : 下ネタエッチ度
☆☆☆★★ : 衝撃バカミス度
☆☆★★★ : 気軽に読める度
* 個人的評価は、減点方式ではなく加点方式となっています
(★の数が少なくても面白くなかったということではありません)
<個人的評価&項目別評価>の詳しい説明・評価基準は
「このミス」完全読破 説明&読破本リストにてご確認ください
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