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2016年5月12日 (木)

『ガンルージュ』 月村了衛 > 「このミス」完全読破 No.880

「このミステリーがすごい!」完全読破 No.880

 『ガンルージュ』 月村了衛

   「このミス」2017年版 : 46位

   受賞(候補) :

   総合ランキング :

   年度ランキング : 「bookaholic認定国内ミステリーベスト10」 候補作

   読始:2016.4.20~ 読終:2016.4.22

   読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"

   読んだ版 : 単行本 <2016年2月>

ガンルージュガンルージュ
月村 了衛

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 月村了衛といえば、日本SF大賞や吉川英治文学新人賞を受賞し、「このミス」でも(長編に限れば)2作目から3作連続ベスト10にランクイン中の“No.390「機龍警察」シリーズ”が誰もが認める代表作です。

 ただ2014年のNo.782「土漠の花」以降は(SF要素のない)冒険小説の刊行が相次ぎ、その『土漠の花』は日本推理作家協会賞を受賞し「このミス」で6位にランクイン(同年にはNo.722「機龍警察 未亡旅団」も5位にランクイン)。

 さらに昨年(2015年)に発売されたNo.821「槐(エンジュ)」は「このミス」で次点の23位(19位が4作品あったため)、No.844「影の中の影」は12位にランクインといずれも高い評価を受け、近年は衰退のジャンルとなってしまった冒険小説の再興への期待を一身に集める作家として注目の的となっているのですね。

 そしてそんな流れの中で発表された冒険小説の新作となるのが本作です。

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 中学生の秋来祐太朗と神田麻衣は、自宅近くの(地元の人に“別荘御殿”と呼ばれる)施設で武装集団が虐殺&誘拐を敢行している場面に出くわしてしまい、(仲間との合流地点まで逃亡を謀る)武装集団と共に人質として山越えをする羽目に。

 この危機的状況を察知した祐太郎の母である秋来律子(主婦)は、祐太郎の担任である渋矢美晴(体育教師)と共に、武装集団を追って息子たちの救出に挑むことになるのです。

 というわけで今回も(『槐(エンジュ)』や『影の中の影』と同様に)日本を舞台に武装集団相手の激しいバトルアクションが繰り広げられていくのですが、今回の武装集団というのは特殊工作の世界的エキスパートである韓国の特殊部隊なのに対し、それに立ち向かうのが日本の主婦&女性教師コンビという、何ともシュールな対比に。

 ただ主婦である律子は実は(特殊訓練を受けた)元公安であるため銃器の扱いや格闘戦にも精通しているので、戦闘シーンは激しくて本格的なド迫力バトルアクションとなっていますし、その最中にふと“歴戦の特殊部隊 vs 主婦&女性教師”という構図を思い出して不思議な気分になったりもするのですね。

 その一方で美晴は特殊戦闘能力的にはほぼ素人なのですが、運と思い切りと威勢の良さだけで危険な状況を切り抜けていきますし、(教師とは思えないほどに)乱暴で口が悪く型破りな性格で、さらには明らかに某作家の超人気シリーズのヒロインを思い浮かべさせるような設定が作られているという(知っている人なら思わずニヤリとしてしまうような)遊び心が加えられていたりもします(それが何のシリーズなのかを知りたい人はこのリンクを踏んでみてください)。

 そんな漫画的ともいえるコミカルなキャラクターであるため、この美晴の存在により物語にリアリティーさが欠けたように感じ、それが理由で興醒めしてしまう人もいるかもしれません。

 とはいえ、激しい戦闘シーンの合間に入ってくるコミカルなやり取りやエピソードは単純に楽しくて場を盛り上げていきますし、(同じタイプの冒険小説として展開やアクションなどマンネリ化しそうな中で)コミカル要素により本作ならではの新たな魅力が生み出されているので、美晴のキャラクターなどを(深く考えずに)素直に受け入れたうえでこの高レベルで安定した面白さの冒険バトルアクション活劇を堪能するべきでしょう。


> 個人的評価 : ★★★★★ ★☆☆☆☆


 ☆☆☆★★ : 本格ミステリ度
 ☆☆☆★★ : ビックリ驚愕度
 ★★★★★ : 熱アクション度
 ☆☆★★★ : 鬼畜グログロ度
 ★★★★ : 主キャラ魅力度
 ☆☆★★★ : 人間味ドラマ度
 ☆☆★★★ : 感涙ウルウル度
 ☆☆☆☆★ : 下ネタエッチ度
 ☆☆★★★ : 衝撃バカミス度
 ☆☆★★★ : 気軽に読める度

 * 個人的評価は、減点方式ではなく加点方式となっています
   (★の数が少なくても面白くなかったということではありません)
  <個人的評価&項目別評価>の詳しい説明・評価基準は
  「このミス」完全読破 説明&読破本リストにてご確認ください


  【 “月村了衛”関連記事 】

  > No.1077 「悪の五輪」
  > No.1051 「東京輪舞」(後日更新予定)
  > No.0994 「機龍警察 狼眼殺手」(後日更新予定)
  > No.1001 「機龍警察 火宅」
  > No.0972 「追想の探偵」

  > No.0909 「水戸黄門 天下の副編集長」(後日更新予定)
  > No.0880 「ガンルージュ」
  > No.0844 「影の中の影」
  > No.0821 「槐(エンジュ)」
  > No.0782 「土漠の花」

  > No.0777 「ミステリマガジン700 【国内篇】」
  > No.0722 「機龍警察 未亡旅団」
  > No.0586 「機龍警察 暗黒市場」
  > No.0492 「機龍警察 自爆条項」
  > No.0390 「機龍警察」


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