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2016年3月31日 (木)

『江ノ島西浦写真館』 三上延 > 「このミス」完全読破 No.875

「このミステリーがすごい!」完全読破 No.875

 『江ノ島西浦写真館』 三上延

   「このミス」2017年版 : 投票数0

   受賞(候補) :

   総合ランキング :

   年度ランキング :

   読始:2016.3.7~ 読終:2016.3.13

   読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"

   読んだ版 : 単行本 <2015年12月>

江ノ島西浦写真館江ノ島西浦写真館
三上 延

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 三上延といえばやはりなんといってもNo.493「ビブリア古書堂の事件手帖」シリーズでしょう。

 シリーズを通して大ヒットを記録し続けているだけでなく、同系ジャンルの一大ブームを引き起こしたほどの大ブレイクシリーズとなりました。

 それに、1作目は「週刊文春ミステリーベスト10」&「本格ミステリ・ベスト10(本ミス)」にランクイン、2作目は日本推理作家協会賞〈短編部門〉」候補作を収録、3作目は「本ミス」にランクイン、4作目は「このミス」にランクイン&日本推理作家協会賞候補と、刊を重ねてもミステリ作品として評価され続けているというのも(ラノベ系レーベルから発売されていることを考えれば)とんでもないことですからね。

 そんな三上延による初の単行本での発売となったのが本作です。

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 舞台となるのは(タイトルにもあるように)江ノ島で、(学生時代に強く抱いていた)写真家になる夢を諦め今はOLとして働く桂木繭が主人公。

 江ノ島で百年もの間営業してきた写真館の館主であった祖母が亡くなったため、繭は遺品整理のためこの写真館へと久しぶりにやって来ることになったのですが、そこには未渡し写真の入った缶が残っていたことから、繭はそれら写真に関わる謎や騒動に巻き込まれていくことになります。

 今回もライトな雰囲気があって読みやすい作風ではあるものの、提示される謎やその解かれ方や明かされる真相など読んでいて惹き込まれてしまう力がありますし、“写真(写真館)を巡るの謎”というテーマとミステリ要素も(取って付けたような感じではなく)絶妙なほどに溶け合っていました。

 そこに、繭が写真家の夢を諦めるきっかけとなり今でも心を痛め続ける原因となった過去の出来事や、遺品整理を手伝ってくれることになった青年・真島秋孝とのやり取りなどが絡んでいくことで、ドラマ性の面でも味わい深さが感じられ、そんなドラマとミステリ要素が混ざり合うことで生み出されるビターな展開・真相が(単なるライトミステリには終わらない)魅力的な刺激となっているのですね。

 (ビブリアシリーズにおける北鎌倉にように)舞台となる江ノ島が象徴的に描かれていますし、(ビブリアシリーズにおける古書のように)写真というやはり古(いにしえ)の記憶を呼び起こす題材が使われているなど、全体的な作風も含めてビブリアシリーズと共通の面白さがあるので、“(ビブリアシリーズと比べて)変わり映えしない”という否定的な感想もあるかもしれませんが、三上作品らしさがありつつまたちょっと趣向の異なる本作の読み味を多くの人が堪能できるのではないでしょうか。


> 個人的評価 : ★★★★☆ ☆☆☆☆☆


 ☆☆★★★ : 本格ミステリ度
 ☆☆★★★ : ビックリ驚愕度
 ☆☆☆☆★ : 熱アクション度
 ☆☆☆★★ : 鬼畜グログロ度
 ☆☆★★★ : 主キャラ魅力度
 ☆☆★★★ : 人間味ドラマ度
 ☆☆★★★ : 感涙ウルウル度
 ☆☆☆☆★ : 下ネタエッチ度
 ☆☆★★★ : 衝撃バカミス度
 ★★★★ : 気軽に読める度

 * 個人的評価は、減点方式ではなく加点方式となっています
   (★の数が少なくても面白くなかったということではありません)
  <個人的評価&項目別評価>の詳しい説明・評価基準は
  「このミス」完全読破 説明&読破本リストにてご確認ください


  【 “三上延” 関連記事 】

  > No.1032 「ビブリア古書堂の事件手帖7 ~栞子さんと果てない舞台~」
  > No.0875 「江ノ島西浦写真館」
  > No.0835 「ビブリア古書堂の事件手帖6 ~栞子さんと巡るさだめ~」

  > No.0718 「ビブリア古書堂の事件手帖5 ~栞子さんと繋がりの時~」
  > No.0631 「ビブリア古書堂の事件手帖4 ~栞子さんと二つの顔~」
  > No.0559 「ビブリア古書堂の事件手帖3 ~栞子さんと消えない絆~」
  > No.0554 「ビブリア古書堂の事件手帖2 ~栞子さんと謎めく日常~」
  > No.0493 「ビブリア古書堂の事件手帖 ~栞子さんと奇妙な客人たち~」


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