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「このミステリーがすごい!」完全読破 No.874
『95 キュウゴー』 早見和真
「このミス」2017年版 : 87位
受賞(候補) :
総合ランキング :
年度ランキング :
読始:2016.2.29~ 読終:2016.3.6
読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"
読んだ版 : 単行本 <2015年11月>
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早見和真は、(後に漫画化/映画化となった)『ひゃくはち』で2008年にデビューすると、その後も青春要素の詰まった文芸系の作品を発表しています。
そんな中で2014年に初のサスペンス/ミステリ系作品となる『イノセント・デイズ』を発表すると、日本推理作家協会賞を受賞し、山本周五郎賞の候補となり、「このミス」にランクインするなど、このジャンルでいきなりの高評価となったのですね。
そしてそんな『イノセント・デイズ』以来1年ぶりとなる新作が本作です。
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37歳となった広重秋久の元に、秋久の母校に通っている新村萌香という女子高生から“(母校の伝統である)卒業制作のテーマとして1995年における社会的な関心事を調べているため、当時のことについてお話をうかがうことはできませんでしょうか?”といった文面のメールが突然送られて来ることに。
これを受けた秋久は、当時の思い出の地である渋谷で萌香と会って(自分が高校生だった)1995年当時について話し始めるわけですが、その内容というのは、名門高に通うも地味で冴えない平凡な高校生だった秋久が、ひょんなことから大物政治家の息子やヤクザの息子など(今までほとんど接点のなかった同級生たち)から成る少人数グループに仲間入りして以降の物語なのです。
このグループは渋谷のセンター街を中心に派手に遊び歩いているので、“Qちゃん”と呼ばれるようになった秋久もその仲間として(これまでの日常では決して味わえなかったであろう)出来事を次々と体験していくことになり、鬱屈した気持ちを抱えていたそれまでの秋久とは別人のように変わっていきますし、友情に恋に喧嘩にと熱くて刺激的な青春ドラマが繰り広げられていくのですね。
そこに、阪神・淡路大震災と地下鉄サリン事件という“人の死”が身近に感じられる災害・事件が立て続けに起き、その一方で援助交際が女子高生の間で流行りとなっているなど、(当時の思春期の少年少女にとって)“生”と“性”がショッキングなまでに存在感を示していた1995年だからこそのテーマ性が物語に息づいていたようにも思います。
ただ一番印象に残るのは、若者にとって憧れの街であり危険な雰囲気を醸し出す街であった当時の渋谷の情景や、そんな渋谷を舞台に若さがもたらすエネルギーを思いのままに弾け出して青春している主人公たちそのものなので、当時の渋谷を知る読者であれば懐古の気持ちと共に楽しめるだろうし、知らない読者であれば(現在との比較により)新鮮さを感じつつ楽しめるのではないでしょうか。
今回はそんなド直球な青春小説なので、『イノセント・デイズ』のようなサスペンスやミステリ的な要素は期待せずに読むべき作品です。
> 個人的評価 : ★★★☆☆ ☆☆☆☆☆
☆☆☆☆★ : 本格ミステリ度
☆☆☆☆★ : ビックリ驚愕度
☆☆★★★ : 熱アクション度
☆☆☆☆★ : 鬼畜グログロ度
☆☆★★★ : 主キャラ魅力度
☆☆★★★ : 人間味ドラマ度
☆☆☆★★ : 感涙ウルウル度
☆☆★★★ : 下ネタエッチ度
☆☆☆★★ : 衝撃バカミス度
☆★★★★ : 気軽に読める度
* 個人的評価は、減点方式ではなく加点方式となっています
(★の数が少なくても面白くなかったということではありません)
<個人的評価&項目別評価>の詳しい説明・評価基準は
「このミス」完全読破 説明&読破本リストにてご確認ください
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