『戦場のコックたち』 深緑野分 > 「このミス」完全読破 No.862
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.862
『戦場のコックたち』 深緑野分
「このミス」2016年版 : 2位
受賞(候補) : (「直木三十五賞」 候補)
(「日本推理作家協会賞」 候補)
(「大藪春彦賞」 候補)
総合ランキング :
年度ランキング : 「ミステリが読みたい!」 2位
「週刊文春ミステリーベスト10」 3位
「Twitter文学賞」 3位
「本屋大賞」 7位
「本格ミステリ・ベスト10」 12位
「キノベス!」 12位
読始:2015.11.26~ 読終:2015.12.2
読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"
読んだ版 : 単行本 <2015年8月>
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深緑野分は、短編の「オーブランの少女」でミステリーズ!新人賞の佳作を受賞し(この時の正賞を受賞したのが美輪和音のNo.633「強欲な羊」)、受賞作を表題とした『オーブランの少女』で2013年にデビュー。
すると、締め切りギリギリの10月発売だったことも影響してか「このミス」では28位とランクインまでわずかに届かなかったものの、(対象期間の違いにより)翌年度版の対象だった「ミステリが読みたい!(早ミス)」ではデビュー作ながらベスト10入りするほどの高評価を受けました。
そしてそれに続くデビュー2作目となるのが本作ですが、これを書いている時点で唯一発表されている「早ミス」では前作からさらに順位を上げて2位にランクインするほどの大躍進を遂げているのですね。
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舞台となるのはナチス・ドイツが周辺国を支配している第二次世界大戦末期のヨーロッパで、アメリカ陸軍のコック兵である"キッド"ことティモシー・コールの物語が描かれていきます。
戦時中とはいえコック兵が主人公なので、激戦地からは離れた場所における話なのかと思ってしまいますが、コック兵が料理を行うのはまさに激戦地の真っ只中ですし、コックとしての作業を行っていない多くの時間は普通に一般兵として銃を手にし、時には危険な戦場の最前線で体を張ったりもするのです。
なので、生と死が紙一重となる極限の戦場シーンや、敵国の兵士相手とはいえ人を殺さねばならないことへの葛藤、いくつもの窮地をくぐり抜けてきた仲間との青春友情物語、戦争が作り出す戦地や現地住民の悲惨でエグい惨状など、戦争を題材とした小説ならではの人間ドラマが圧倒的な迫力を伴って繰り広げられていくのですね。
そこにさらに、そんな戦場なればこその"日常の謎"が章ごとに起きて探偵役が鮮やかに解き明かすというミステリ要素が加わることにより、単なる戦争物語に終わらないエンタメ的な面白さや多くの人が楽しめる読みやすさが生み出されていたように思います。
そのため、本格ミステリ部分にのみ期待するような人だと物足りなさを感じてしまうかもしれませんが、そうでないならば戦争&青春ドラマとミステリ要素とが絶妙に絡み合った圧巻の物語を骨の髄まで堪能できるのではないでしょうか。
> 個人的評価 : ★★★★★ ★★★☆☆
☆☆★★★ : 本格ミステリ度
☆☆☆★★ : ビックリ驚愕度
☆★★★★ : 熱アクション度
☆☆★★★ : 鬼畜グログロ度
☆★★★★ : 主キャラ魅力度
☆★★★★ : 人間味ドラマ度
☆★★★★ : 感涙ウルウル度
☆☆☆★★ : 下ネタエッチ度
☆☆☆★★ : 衝撃バカミス度
☆☆★★★ : 気軽に読める度
* 個人的評価は、減点方式ではなく加点方式となっています
(★の数が少なくても面白くなかったということではありません)
<個人的評価&項目別評価>の詳しい説明・評価基準は
「このミス」完全読破 説明&読破本リストにてご確認ください
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