『孤狼の血』 柚月裕子 > 「このミス」完全読破 No.857
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.857
『孤狼の血』 柚月裕子
「このミス」2016年版 : 3位
受賞(候補) : 「日本推理作家協会賞」 受賞
(「直木三十五賞」 候補)
(「吉川英治文学新人賞」候補)
(「山田風太郎賞」 候補)
総合ランキング :
年度ランキング : 「ミステリが読みたい!」 11位
「週刊文春ミステリーベスト10」 14位
読始:2015.11.9~ 読終:2015.11.9
読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"
読んだ版 : 単行本 <2015年8月>
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柚月裕子は、『臨床真理』で“このミステリーがすごい!大賞”の大賞を受賞し、その受賞作にて2009年にデビュー。
その後も宝島社から『最後の証人』『検事の本懐』『検事の死命』の“佐方貞人シリーズ”を中心に作品を発表して、そのうち『検事の本懐』は大藪春彦賞受賞&山本周五郎賞候補と高い評価を受け、『最後の証人』『検事の本懐』の2作はテレビドラマ化されています(『検事の本懐』はこの記事を書いている時点で放送予定)。
そして昨年(2014年)の10月からは宝島社以外からの刊行が相次ぎ、そんな流れの中で現時点での集大成とでもいうべき本作が発表となりました。
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呉原東署の捜査二課暴力団係に配属された日岡秀一は、暴力団絡みの事件を多数解決し警察表彰を何度も受ける一方で訓戒処分歴も現役ワーストというトラブルメーカーな警察官である班長・大山章吾の元に付くことに。
そしてまずは暴力団系列の金融会社社員の失踪事件を担当することになったのですが、馴染みの暴力団員とは必要以上に深く付き合い、敵対する暴力団員には脅迫や暴力を辞さないやり方で情報を引き出すなど、大山の捜査は警察官としての倫理に反するような違法的行為を繰り広げていくものなのです。
そんな悪徳警官による捜査劇は(暴力団の激しい抗争に巻き込まれることもあり)裏社会が舞台の犯罪サスペンスのようなギラギラした緊迫感がありますし、そんな犯罪まがいの捜査でありながら一応事件解決に向けて動いているので警察&刑事小説としての読み応えもあり、それらが互いに強く主張しながらも絶妙なほどに融合していくことで、高揚感と焦燥感が同時に襲ってくるかのような圧倒的迫力の人間ドラマが生み出されていました。
ただこれは著者の作風もあってか、読む人を選ぶような硬派で暴力的な犯罪ハードボイルド系警察小説にはなっていなくて、濃厚な物語の中にもすっきりとした読み味がありますし、心を震わされてしまうようなドラマ性があり、終盤では驚くべきサプライズもあるなど、多くの人が楽しめるエンタメ要素によって物語が盛り上げられていくのですね。
なので、警察小説としては異色でありながら王道で直球な面白さも存分に備えていると思いますし、普段警察小説を読まないような人でも本作から放たれる強烈な刺激たっぷりの魅力を心から堪能できるのではないでしょうか。
> 個人的評価 : ★★★★★ ★★☆☆☆
☆☆☆★★ : 本格ミステリ度
☆☆★★★ : ビックリ驚愕度
☆☆★★★ : 熱アクション度
☆☆★★★ : 鬼畜グログロ度
☆★★★★ : 主キャラ魅力度
☆★★★★ : 人間味ドラマ度
☆☆★★★ : 感涙ウルウル度
☆☆☆★★ : 下ネタエッチ度
☆☆☆★★ : 衝撃バカミス度
☆☆★★★ : 気軽に読める度
* 個人的評価は、減点方式ではなく加点方式となっています
(★の数が少なくても面白くなかったということではありません)
<個人的評価&項目別評価>の詳しい説明・評価基準は
「このミス」完全読破 説明&読破本リストにてご確認ください
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