「このミステリーがすごい!2016年版」が発売され、ランキングも発表されたということで、昨年まで同様に「このミス2016年版」ランキング(順位)予想の一人反省会を行って、来年以降の予想に役立てようと思います。
前回更新した、全体的な予想の反省を行う<反省会・総論編>に続きまして、今回は、作品ごとに反省を行う<反省会・各論編>です。
その反省の仕方ですが、まずは正規のランキング順に各作品ごとに反省し、続いて予想を外した作品について反省していきましょう。
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王とサーカス / 米澤穂信 <感想記事はこちら>
( 予想 > 2位 結果 > 1位 )
2年連続で1位を当てることが出来ませんでした.....。
これは<反省会・総論編>にも書きましたが、それまでは4年連続で的中していたことと、2年連続で米澤作品が1位となったことを考えれば、米澤作品が(自分の1位予想にとって)鬼門ということなのかもしれませんね。
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戦場のコックたち / 深緑野分 <感想記事はこちら>
( 予想 > -位 結果 > 2位 )
この作品は(ランキング発表前までには読み終えていたものの)予想する前までに読んでいなかったので、反省は「ランクイン作品を事前に読んでしまおう!<反省会>」の方に書く予定です。
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孤狼の血 / 柚月裕子 <感想記事はこちら>
( 予想 > 5位 結果 > 3位 )
これ(5位予想)でも思い切って上位に予想したので、それ以上の順位となり驚きましたが、ただこれは(ジャンル的にも)「このミス」らしい結果でしたね。
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さよならの手口 / 若竹七海 <感想記事はこちら>
( 予想 > 11位 結果 > 4位 )
ベスト10内に入れようかどうしようかと最後まで悩んだ作品で、13年前に発売されたシリーズ前作No.812「悪いうさぎ」がランクインしてもおかしくないような面白さだったのに26位止まりだったことから最終的にベスト10に一歩届かずの順位に予想。
そうしたらこの高順位だったので驚きましたが、このシリーズのファンとしては嬉しい驚きでしたね。
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流 / 東山彰良 <感想記事はこちら>
( 予想 > 1位 結果 > 5位 )
今年の1位予想作品は結局5位という結果でしたが、作品内容から意外に票が伸びずランク外の可能性もあるのではと考えた中で一か八かの1位予想だったので、ベスト5には入ったのでホッとしました.....。
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ミステリー・アリーナ / 深水黎一郎 <感想記事はこちら>
( 予想 > 21位 結果 > 6位 )
こういったバカミス要素のある本格ミステリ系作品は「このミス」での評価が激しく分かれやすいため、この作品もランクインかランク外かでかなり悩んだ挙句、最終的には無難にギリギリランクインせずの21位と予想することに。
そうしたら「このミス」だけでなく「本ミス」「文春」「早ミス」全てで6位以上(「本ミス」は1位)という高評価だったので、バカミス系本格ミステリ作品ということを重要視して予想してしまった時点で失敗でした.....。
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片桐大三郎とXYZの悲劇 / 倉知淳 <感想記事はこちら>
( 予想 > 15位 結果 > 7位 )
「本ミス」での高順位(結果2位)は予想できたものの、「このミス」でもベスト10入りしたのは少々意外でしたが、でも他誌のランキングも含めて結果を見てしまえば不思議と妥当にしか思えなくなりますね。
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鍵の掛かった男 / 有栖川有栖 <感想記事はこちら>
( 予想 > 12位 結果 > 8位 )
本格系シリーズの割には「このミス」寄りの内容だったのですが、有栖川作品はこれまで名作を数多く発表していながら“学生アリスシリーズ”(長編は4作全てランクイン)以外の作品だと1作しか「このミス」にランクイン出来ていないという実績から、ベスト10内に予想するのを躊躇してしまったのですよね。
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血の弔旗 / 藤田宜永 <感想記事はこちら>
( 予想 > 8位 結果 > 9位 )
今回は順位ピタリ賞が1つもなかった中、この作品が一番、予想している時に思い描いていた通りの順位に収まっていました。
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オルゴーリェンヌ / 北山猛邦 <感想記事はこちら>
( 予想 > 18位 結果 > 10位 )
上半期のランクイン候補作品の時には“「本ミス」ではかなり票を集めるけれど「このミス」では思ったほど票を集めないタイプなのではないかな~とも思うのですよね”と書き、シリーズ前作のNo.758「少年検閲官」(29位)より上の順位にはならないだろうと思っていたものの、段々と「このミス」でも票が集まりそうだな~と考え直して最終的にはランクイン予想としました。
そして結果を見ればその判断が正解だったことがわかりましたが、ただベスト10入りするまでとは(予想順位帯を5位~40位としていたので想定内だったとはいえ)少々驚きでした。
まあ、シリーズ前作発売時(8年前)に比べれば作者の人気&実績が全くと言っていいほどに違いますから、妥当の結果なのでしょう。
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鳩の撃退法 / 佐藤正午 <感想記事はこちら>
( 予想 > 3位 結果 > 11位 )
文芸系の読み味があるものの「このミス」では評価されるだろうと確信していたので、本作で初ランクインを果たしたのは予想通りでしたが、さすがに3位予想は高すぎでしたね.....。
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影の中の影 / 月村了衛 <感想記事はこちら>
( 予想 > 16位 結果 > 12位 )
今回の月村作品は、「このミス」では過去データ的に票を集められない“長編作品のランクイン率&人気が高いシリーズの短編集”ということで予想するまでに無理して読まなかった『機龍警察 火宅』(結果32位)を除けば、『槐』より本作の方がより面白かったものの、予想としては『槐』の方を上にしてのダブルランクイン、という位置付けにしました。
しかし結果が出てみれば(『機龍警察 火宅』が3作品で一番下の順位という予想も含めて)自分の評価(面白さ)通りだったので、予想順位的にはほぼ的中ではありますが“『槐』とどちらを上に予想するか”の判断に関しては悔いが残りますね。
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死と砂時計 / 鳥飼否宇 <感想記事はこちら>
( 予想 > -位 結果 > 13位 )
この作品は(ランキング発表前までには読み終えていたものの)予想する前までに読んでいなかったので、反省は「ランクイン作品を事前に読んでしまおう!<反省会>」の方に書く予定です。
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その可能性はすでに考えた / 井上真偽 <感想記事はこちら>
( 予想 > -位 結果 > 14位 )
この作品は事前に読んでいなかったので、反省は「ランクイン作品を事前に読んでしまおう!<反省会>」の方に書く予定です。
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生還者 / 下村敦史 <感想記事はこちら>
( 予想 > 7位 結果 > 15位 )
「このミス」より前に発表されたランキング(「本ミス」「文春」「早ミス」)のいずれにもランクインしていなかったので、この作品のベスト10予想は完全に失敗だったなと覚悟していたのですが、「このミス」で唯一ランクインしたのでかなりホッとしました。
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東京結合人間 / 白井智之
( 予想 > -位 結果 > 16位 )
この作品は事前に読んでいなかったので、反省は「ランクイン作品を事前に読んでしまおう!<反省会>」の方に書く予定です。
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フィルムノワール/黒色影片 / 矢作俊彦 <感想記事はこちら>
( 予想 > 4位 結果 > 17位 )
10年前に発売されたシリーズ前作No.480「THE WRONG GOODBYE」が4位に入っていて、それに勝るとも劣らない内容だったことから高順位に予想したのですが、他誌ランキング(「早ミス」で18位に入ったのみ)も含めて意外に低評価に。
“ランクイン実績シリーズの10年以上ぶりの新作”ということでいえば『さよならの手口』(予想11位→結果4位)と全く逆のパターンでの失敗となってしまいました。
これは(『さよならの手口』にも当てはまるのかもしれませんが)10年以上前に発売されたシリーズ前作と新作をほとんど間をあけずに読んだことで(かなり久々の新作という部分を踏まえての)前作と新作との比較に(投票者との)ズレが生じたのかもしれませんね(まあランクイン予想自体は当たったのでいいのですが)。
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新しい十五匹のネズミのフライ / 島田荘司
( 予想 > 10位 結果 > 18位 )
完全なる新作ではなくパスティーシュ物であることもあって「このミス」でどんな評価になるのかを判断するのが難しかったですが、(10位予想は高すぎだったとはいえ)とりあえずランクイン予想は当たっていたので安心しました。
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キャプテンサンダーボルト / 阿部和重 伊坂幸太郎 <感想記事はこちら>
( 予想 > 6位 結果 > 19位 )
最終的にベスト10内予想にしたものの、票がほとんど入らない可能性もあるだろうと考えていたので、ランクインという結果にホッとしたのですが、「早ミス」8位&「文春」9位という結果から「このミス」でもベスト10入りは堅いだろうと思っていたこともあってか、なんか「このミス」での評価が思ったより低いように感じられてしまうのですよね。
そして、11~20位に予想した作品のうち4作がベスト10に入り、ベスト10に予想した作品のうち4作が11~20位だったので、これが完全に入れ替わっていれば万々歳の結果だったのですが.....。
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赤い博物館 / 大山誠一郎
( 予想 > 31位以下 結果 > 19位 )
本格ミステリに特化した作家の割には(ランクインはまだないながらも)「このミス」との相性は良い方だったので、本作もランクイン候補と考えてはいましたが、傑作だった3年前のNo.597「密室蒐集家」(26位)より上にはならないだろうと考えて30位以内の予想に入れませんでした。
ただ結果を見たうえで改めて考えてみれば、「このミス」と相性の良い警察小説の要素が加わっているので『密室蒐集家』より上の順位になってもおかしくはなかったですね。
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黒野葉月は鳥籠で眠らない / 織守きょうや <感想記事はこちら>
( 予想 > 31位以下 結果 > 19位 )
内容的にも「このミス」に合っていそうな面白さだったと思ったものの、「本ミス」では高く評価されるのに「このミス」ではほとんど票が入らない天祢涼に近い作風であるように何となく感じたことから、30位以内に予想しなかったのですよね。
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犬の掟 / 佐々木譲
( 予想 > 30位 結果 > 19位 )
「このミス」との相性が良い作家による久々の本格警察小説ということでもちろんランクイン候補として考えていましたが、捜査シーンがほとんどで魂をぶつけ合うような人間ドラマは最後の方にちょっとあっただけだったので、相性だけを考慮してギリギリ30位予想に残しておきました。
そうしたらランクインという結果だったので、自分が思っていた以上に「このミス」との相性が良いってことなのですかね(もちろんランクインしても何らおかしくない面白さだったので相性だけでランクインしたと言っているわけではないのですが)。
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ナオミとカナコ / 奥田英朗 <感想記事はこちら>
( 予想 > 9位 結果 > 35位 )
それではここから、大いなる反省会の開始となります.....。
サスペンス系の奥田作品はランクイン率が高いですし世間の評価も高かったのでランクインは確実かと思ったのですが、他誌のランキング(「文春」でギリギリ20位に入ったのみ)も含めて意外なほどに票が集まりませんでしたね。
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槐(エンジュ) / 月村了衛 <感想記事はこちら>
( 予想 > 13位 結果 > 23位 )
昨年はNo.722「機龍警察 未亡旅団」とNo.782「土漠の花」のダブルベスト10予想を見事に的中できたのですが、今年の『影の中の影』とのダブルランクイン予想は本作のランク外により的中ならず.....。
ただ23位とはいえ(19位が4作あったため)わずか1点差での次点だったので、見当違いのダブルランクイン予想ではなかったのは安心しました。
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教団X / 中村文則 <感想記事はこちら>
( 予想 > 14位 結果 > 34位 )
読み終えてからしばらくは「このミス」(ミステリ系ランキング)向きの内容ではないことから予想の候補にすら入れておらず、警察小説であるNo.831「あなたが消えた夜に」の方をランクイン有力候補と考えていたのですが、読後のインパクトや高順位票を投じる投票者の可能性から本作の方により票が入るのではないかと考え直し、思い切ってこちらをランクインと予想しました。
そうしたらやはり本作の方が上の順位でしたし(『あなたが消えた夜に』は1票入ったのみの103位)、「文春」と「早ミス」では共に20位にランクインしたので、「このミス」では惜しくもランクインはならなかったものの多少満足ですね。
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ビッグデータ・コネクト / 藤井太洋 <感想記事はこちら>
( 予想 > 17位 結果 > 23位 )
この作品も『槐』と同様に23位とはいえ(19位が4作あったため)わずか1点差での次点でしたし、結構思い切ってのランクイン予想だったことを考えれば、まあ反省するほどの結果ではありませんでしたね。
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透明カメレオン / 道尾秀介 <感想記事はこちら>
( 予想 > 19位 結果 > 59位 )
今年は昨年に比べて、結果的に41位以下となったある意味見当違いの予想が圧倒的に少なかったのですが、19&20位予想だけは41位以下の結果となってしまいました.....。
この作品は内容的にはランクインまでいかなそうだな~と思いつつ、そういったタイプの作品でも何だかんだでランクインの一歩手前までいったりするような道尾秀介の「このミス」との相性の良さと、エンタメ要素満載のジャンル的内容からランクイン予想としたのですが、相性からの判断としては『犬の掟』と逆の結果となってしまいましたね。
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リバース / 湊かなえ <感想記事はこちら>
( 予想 > 20位 結果 > 120位 )
最後まで『ミステリー・アリーナ』とどちらを20位以内に予想しようかと悩んだ作品で、個人的にかなり面白かったのでミステリ系ランキングでも高く評価されてほしいという思いから大穴的に20位に予想したのですが、「このミス」では1票入ったのみ、他のランキングも軒並みランク外だったので、穴狙いは完全に失敗でした.....。
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というわけで、まずは「このミス2016年版」のランキング(順位)予想」の反省を<総論編><各論編>と分けて書いてみました。
そして続きまして、「このミス2016年版」としては最後の反省会となります、「ランクイン作品を事前に読んでしまおう!<反省会>」を書いてみたいと思います。
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