『夜より黒きもの』 高城高 > 「このミス」完全読破 No.822
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.822
『夜より黒きもの』 高城高
「このミス」2016年版 : 73位
受賞(候補) :
総合ランキング :
年度ランキング :
読始:2015.6.21~ 読終:2015.7.3
読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"
読んだ版 : 単行本 <2015年5月>
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高城高は、1950~70年代に作家として活躍していましたが、その後は作品の発表が途絶えてしまいましたし、発表されたのは短編がほとんどで未単行本化作品か多かったため(当時に発売された短編集は1作のみ)、その後の時代には古本屋で掲載雑誌を見つけることでやっと読むことが出来たという状況が続いていたこともあり、“幻のハードボイルド作家”とも呼ばれていました。
そんな中、2006年に仙台の地方出版社である荒蝦夷から作品集『X橋付近』が発売されると、直販主体(書店での販売は北海道と宮城県のみ)だったのにも関わらず「このミス」でベスト10入したので、この結果からも待ちに待った作品集だったことが伺えます。
するとその作品集の発売が契機となったのか、2009年には37年ぶりとなる新作No.499「函館水上警察」を発表し見事に復活を果たすと、翌年(2010年)には続編である『ウラジオストクから来た女 函館水上警察』、さらに2012年にはNo.591「夜明け遠き街よ」と、新作が定期的に発売されるようになったのですね。
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そして本作ですが、『夜明け遠き街よ』に続くシリーズの2作目となります。
今回も前作と同様に連作集に近いシリーズ短編集で、「通りの鼠花火」「針とポンプ」「6Cのえにし」「悲哀の黒服」「企業舎弟の女」の5編を収録。
舞台となるのはバブルの時期(80年代)の札幌・ススキノで、(この北の地で最大の繁華街にある)キャバレー“ニュータイガー”で働く黒頭悠介を中心とした物語が描かれていきます。
この黒頭というのが敏腕スカウトとしても活躍するやり手の黒服で、生まれ育った地であることからススキノのことを知り尽していて顔も広く、しかも鋭い推理力と頼りになる性格を持ち合わせているため、ススキノの住民からトラブルがある度に相談を受けますし、自らもトラブルに首を突っ込んでいくのですね。
そんな(いかにも硬派なハードボイルドの主人公といった感じの)黒頭を追っていくだけで、派手さはないけれど渋くてカッコイイ大人のためのハードボイルドの魅力をじっくりと味わえますし、そんな中で(バブル期のススキノという)この時期のこの場所にしか生まれ得ない魅惑的な空気感を堪能出来ると思います。
なので、内容・ジャンル・作風など万人に受けるタイプではないですし、前作に比べるとミステリやハードボイルドの要素は控えめなように感じたものの、前作の雰囲気を楽しめた人であれば本作の作品世界にもどっぷりとハマり込めるのではないでしょうか。
> 個人的評価 : ★★★★☆ ☆☆☆☆☆
本格ミステリ度 : ★★ 鬼畜グログロ度 : ★★
ビックリ驚愕度 : ★★ おどろおどろ度 : ★★
熱アクション度 : ★★★ 主キャラ魅力度 : ★★★★
恋愛ラブラブ度 : ★★ 人間味ドラマ度 : ★★★
下ネタエッチ度 : ★★ 感涙ウルウル度 : ★
衝撃バカミス度 : ★ 気軽に読める度 : ★★
* 個人的評価は、減点方式ではなく加点方式となっています
(★の数が少なくても面白くなかったということではありません)
<個人的評価&項目別評価>の詳しい説明・評価基準は
「このミス」完全読破 説明&読破本リストにてご確認ください
【 “高城高” 関連記事 】
> No.822 「夜より黒きもの」
> No.591 「夜明け遠き街よ」
> No.499 「函館水上警察」
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