『ミステリー・アリーナ』 深水黎一郎 > 「このミス」完全読破 No.837
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.837
『ミステリー・アリーナ』 深水黎一郎
「このミス」2016年版 : 6位
受賞(候補) : (「本格ミステリ大賞」候補)
総合ランキング :
年度ランキング : 「本格ミステリ・ベスト10」 1位
「ミステリが読みたい!」 3位
「週刊文春ミステリーベスト10」 4位
「黄金の本格ミステリー」 選出
読始:2015.9.10~ 読終:2015.9.13
読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"前"
読んだ版 : 単行本 <2015年6月>
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深水黎一郎は、2007年にメフィスト賞を受賞した『ウルチモ・トルッコ 犯人はあなただ!』でデビューすると、その後は(”芸術探偵シリーズ”を中心とした)職人技のミステリトリックを仕掛けた作品を次々と発表し、本格ミステリ作家としての評価を受けていました。
そして、2013年にNo.673「美人薄命」で「このミス」初ランクインを果たし、昨年(2014年)にはデビュー作を『最後のトリック』に改題して文庫化すると大ヒットを記録するなど、本格ミステリ界隈以外でも一躍名の知れた存在に。
さらには、同じく昨年(2014年)に発売された『大癋(べし)見警部の事件簿』が、「本格ミステリ・ベスト10」「ミステリが読みたい!」にランクインしただけでなく、本格ミステリ大賞の“小説部門”ではなく“評論・研究部門”の方で候補に選ばれるなど、あくまでミステリの枠内において幅広い活躍を見せているのですね。
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ミス研のOBOGが半島にある別荘に集まると、内陸部に戻るために必ず通らなければならない橋が冠水のため通行止めとなってしまい、しかも別荘では仲間一人の死体が発見されるという、クローズド・サークル系本格ミステリの定番的な話が繰り広げられていきます。
しかしこれは、大晦日の夜恒例の国民的娯楽番組『推理闘技場(ミステリー・アリーナ)』における、今年のオリジナル出題問題なのです。
複数いる解答者がこの問題の真相を推理して解答し、正解者が莫大な賞金をゲットできるのですが、全く同じ解答だった場合は少しでも早く答えた人の勝ちになるので、問題が最後まで読まれる前に(それまで提示された情報を基に推理しその後の展開を予測しつつ)解答する人が出てきます。
そのため(本作で描かれる放送では)1つの章が終わるごとに解答者が1人ずつ自分の推理を発表していく展開となるので、まさに全てのページが伏線であり全編に渡って推理劇が繰り広げられるというとんでもないミステリ作品となっているのですね。
しかもその推理内容というのが、あらゆる叙述トリックのパターンをふんだんに盛り込んでいる(推理に活用している)ので驚愕のどんでん返しが何度も炸裂しますし、その一方でミステリ小説の構造自体を揶揄したり“叙述トリックさえあれば話題になる”という昨今の風潮を皮肉るなどアンチ・ミステリ的でもあるので、本格ミステリマニアであるほど本作から放たれる刺激に身悶えながら楽しめるのではないでしょうか。
ただ、(作中番組の軽いノリも含めて)バカミス的な要素が強く出ているため、本格ミステリとしてのガッツリとした読み応えを期待する人よりは、本格ミステリというジャンル自体を意地悪く調理した著者の企みや遊び心を面白く味わえる人にお薦めです。
> 個人的評価 : ★★★★★ ★☆☆☆☆
本格ミステリ度 : ★★★★★ 鬼畜グログロ度 : ★★
ビックリ驚愕度 : ★★★★ おどろおどろ度 : ★★
熱アクション度 : ★★ .主キャラ魅力度 : ★★
恋愛ラブラブ度 : ★★★ 人間味ドラマ度 : ★★
下ネタエッチ度 .: ★★ .感涙ウルウル度 : ★
衝撃バカミス度 : ★★★★★ 気軽に読める度 : ★★★
* 個人的評価は、減点方式ではなく加点方式となっています
(★の数が少なくても面白くなかったということではありません)
<個人的評価&項目別評価>の詳しい説明・評価基準は
「このミス」完全読破 説明&読破本リストにてご確認ください
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> No.725 「世界で一つだけの殺し方」
> No.673 「美人薄命」
> No.564 「言霊たちの夜」
> No.488 「人間の尊厳と八〇〇メートル」
> No.307 「五声のリチェルカーレ」
> No.251 「花窗玻璃 シャガールの黙示」
> No.104 「エコール・ド・パリ殺人事件 レザルティスト・モウディ」
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