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「このミステリーがすごい!」完全読破 No.833
『リバース』 湊かなえ
「このミス」2016年版 : 120位
受賞(候補) : (「吉川英治文学新人賞」候補)
総合ランキング :
年度ランキング : 「ダ・ヴィンチ BOOK OF THE YEAR」
(小説ランキング) 14位
読始:2015.8.26~ 読終:2015.8.27
読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"前"
読んだ版 : 単行本 <2015年5月>
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湊かなえは、デビュー作No.127「告白」が大ヒットすると、その後に発表した作品もことごとくヒットし、今では完全に人気作家の仲間入りを果たしています。
とはいえ、複数のミステリ系ランキングで軒並み上位にランクインしたその『告白』以降はランキングで名前を見ることはほとんどなく(2010年に『往復書簡』が“週刊文春ミステリーベスト10”で14位に入ったくらい)、ランクインという結果だけ見れば年々存在感が薄れているような感じです。
まあ内容が文芸寄りの作風なのでそれも致し方ないのですが、ただ本作は久々の、というか今までの湊作品に例がなかったほどに直球なミステリ作品となっているので、果たして年末のミステリランキングで復活となるのかどうかも注目所ですね。
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平凡なサラリーマンである深瀬和久は、行き付けのコーヒー店がきっかけで初の彼女が出来るなどこれまでの人生の中で最良の時間を過ごしていたものの、ある時その彼女の元に“深瀬和久は人殺しだ”と書かれた手紙が届けられたことからそんな甘い生活は一変。
深瀬が学生時代にゼミ仲間と旅行した際に(深瀬の唯一の親友だった)広沢由樹が事故で亡くなっていて、告発文はその時のことを指摘しているのではないかと考えていたところ、やはりかつてのゼミ仲間の元にも同様の告発文が送られていて、しかもそのうち一人の命を奪われそうになる事件が起きてしまい.....。
そこで深瀬は、犯人を見つけ出すのが目的で(実はどんな人間なのか知らなかった)広沢について地元に行き両親や中高生時代の同級生らと会いながら調べることになるのですが、そうやって話を聞いていく中で犯人へと導かれていく道筋が作られていく構成はもちろん、徐々に謎めいたところのある広沢の人間性が浮かび上がってくるところなどもミステリ的な演出ならではの面白さでした。
さらには、いわゆる“学生時代イケてないグループに属していた”主人公(そしてそんな自分に負い目を感じ未だに引きずっている主人公)の心をえぐるような青春物語でもあり、そんな主人公の成長物語でもあるので、そういったドラマ性の部分もさすがの読み応えでした。
そして事件は解決し物語も最後のページで終わろうかという所で、とてつもなく強烈な一撃が(登場人物にも読者にも)振り落とされるのですね。
これは、鮮やかなどんでん返しというわけではないですし、特別なトリックや演出を使っているわけでもないシンプルなものなのですが、それまでの物語を経て来たことによりその明かされた真相がかなりの衝撃となり、この小説で書かれた後の時間を想像してもゾクゾクッとしますし、シンプルだからこそ受ける衝撃度はより増すのです。
そういったタイプの作品なので、最後に驚けるかどうかで評価が大きく変わってきそうではあるものの、“最後に衝撃の展開が待ち受けている”と分かっていても驚かされてしまう人の割合は結構高いのではないでしょうか。
> 個人的評価 : ★★★★★ ★★★☆☆
本格ミステリ度 : ★★★ 鬼畜グログロ度 : ★★
ビックリ驚愕度 : ★★★★★ おどろおどろ度 : ★★
熱アクション度 : ★★ 主キャラ魅力度 : ★★★
恋愛ラブラブ度 : ★★★ 人間味ドラマ度 : ★★★★
下ネタエッチ度 .: ★ .感涙ウルウル度 : ★★★
衝撃バカミス度 : ★★ 気軽に読める度 : ★★★★
* 個人的評価は、減点方式ではなく加点方式となっています
<個人的評価&項目別評価>の詳しい説明・評価基準は
「このミス」完全読破 説明&読破本リストにてご確認ください
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