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「このミステリーがすごい!」完全読破 No.826
『淵の王』 舞城王太郎
「このミス」2016年版 : 投票数0
受賞(候補) :
総合ランキング :
年度ランキング : 「Twitter文学賞」 1位
読始:2015.7.18~ 読終:2015.7.22
読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"前"
読んだ版 : 単行本 <2015年5月>
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芸人・又吉直樹(ピース)の『火花』が受賞した影響で、純文学の新人が対象となる芥川賞がこれまで以上に注目を浴びている今日この頃ですが、この舞城王太郎はこれまで芥川賞に4度ノミネートされるも候補止まりとなっています。
その他にも、三島由紀夫賞を2度目の候補で受賞したり野間文芸新人賞で2度候補になるなど、純文学が対象の賞に何度も候補となっているのですが、元々は(型破りなエンタメ作品の受賞が多い)メフィスト賞からNo.071「煙か土か食い物」でデビューしています。
それに、No.119「ディスコ探偵水曜日」は「ベストSF2013」でベスト10入りしていて、両作共に「このミス」でベスト10入りするなど、様々なジャンルにおいて高い評価を受けているのですね。
そして本作は、そんな舞城王太郎が(映画の原案である『NECK』を除けば)初となる本格的なホラー作品です。
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というわけで本作ですが、「中島さおり」「堀江果歩」「中村悟堂」の3章から成っているのですが、登場人物や作品舞台など異なるので中編集のような形です。
とはいえ、ある怪異的な存在が登場するという共通点があって、その存在によって背筋が凍りゾクゾクするようなホラー的な不気味さが演出されていますし、章が変わる度に物語と怪奇現象との関わりが深くなっていくことで、読み進めていくごとに怖さや不気味さが生み出す泥沼にずぶずぶと深くハマり込んでしまうかのようでした。
ただ見方を変えるならば、最後の章以外は物語と怪奇現象との絡み具合がそこまで多くないということなのですが、そんなホラー的演出のない場面における(日常的な)物語というのがこれまた面白くて、圧倒的なパワーと癖になる筆致とが怒涛の如く混じり合った舞城作品らしい魅力でグイグイと惹き込まれますし、そこに恐怖へ誘われる(非日常的な)展開が加わることでこちらに襲い掛かってくるほどの凄みが作中から溢れ出しているのですよね。
なので、ド直球のホラー作品を期待してしまうと手応えないかもしれないものの、舞城作品の魅力そのままのホラー作品に仕上がっていますし、癖が強くて読む人を選ぶ舞城作品の中では読みやすいタイプだと思うので、元々舞城作品が好きな人にお薦めなのはもちろん、これまで敬遠していた人にも“まず手始めに読んでみる舞城本”としてお薦めの作品です。
> 個人的評価 : ★★★★★ ★★☆☆☆
本格ミステリ度 : ★★ 鬼畜グログロ度 : ★★
ビックリ驚愕度 : ★★ おどろおどろ度 : ★★★★
熱アクション度 : ★★★ .主キャラ魅力度 : ★★★
恋愛ラブラブ度 : ★★★ 人間味ドラマ度 : ★★★
下ネタエッチ度 .: ★★ .感涙ウルウル度 : ★★
衝撃バカミス度 : ★★★ 気軽に読める度 : ★★★
* 個人的評価は、減点方式ではなく加点方式となっています
<個人的評価&項目別評価>の詳しい説明・評価基準は
「このミス」完全読破 説明&読破本リストにてご確認ください
【 “舞城王太郎” 関連記事 】
> No.593 「JORGE JOESTAR」
> No.363 「獣の樹」
> No.274 「ビッチマグネット」
> No.119 「ディスコ探偵水曜日」
> No.071 「煙か土か食い物」
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