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「このミステリーがすごい!」完全読破 No.815
『しるしなきもの』 真藤順丈
「このミス」2016年版 : 投票数0
受賞(候補) :
総合ランキング :
年度ランキング :
読始:2015.5.8~ 読終:2015.5.19
読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"前"
読んだ版 : 単行本 <2015年1月>
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真藤順丈は、『地図男』でダ・ヴィンチ文学賞(大賞)、『庵堂三兄弟の聖職』で日本ホラー小説大賞(大賞)、『東京ヴァンパイア・ファイナンス』で電撃小説大賞(銀賞)、『RANK』でポプラ社小説大賞(特別賞)と、新人賞を4つも受賞してデビュー。
その後も、ド派手なデビューと比べてしまうと少々霞んでしまうものの、インパクトあるキャラクターを共通項として様々なジャンルの作品を発表しています。
特に2012年に発売されたNo.632「墓頭」は、ノワール的なバイオレンスホラーとエンタメとが融合して化学反応を起こした傑作で、「このミス」でもランクインこそ逃したものの33位とあと一歩のところまで票を集めたので、今後の飛躍が期待できる作家の一人だと言えそうです。
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主人公は、日本一のヤクザ組織の長・早田征城を父に持つも、愛人の息子であることから組織と離れて生きてきた早田桂介。
しかし最愛の母が逝去したため、その母に辛い思いをさせて来た父に、そして(父が率いる)早田組に復讐するため、桂介は自ら申し出て組織に入ることに。
そこからはヤクザ(イメージ的にはマフィアに近いかも)の一員となった桂介の活躍が(大量の死人が出るほどの)バイオレンス度全開で描かれていくのですが、桂介は組織の仕事をこなす裏で綱渡り的に復讐を実行していきますし、その桂介は組員の多くから疎ましく思われていたりもするため、“抗争相手も身内も全て敵”といった感じの激しすぎるノワール的世界が繰り広げられていくのです。
しかも桂介には、男でも女でもない(精神的には男でも女でもある)“真性半陰陽”だという誰にも知られてはならない秘密もあるため、これが桂介の復讐劇にも大きく影響を与えて普通の極道ノワールとは一味違う読み応えを生み出していますし、桂介自身の人間ドラマにも刺激的なスパイスを振り掛けていくのですね。
なので、バイオレンス描写が苦手でなければ、単なるバイオレンスノワールに終わらず様々なエンタメ要素を凝縮してぶっ放したこの暗黒復讐譚を堪能できるのではないでしょうか。
ただ個人的には、(自身の中に潜む)男女の感情の間で揺れ動く主人公の葛藤や、(協力者との絡みにより)徐々に悪人キャラから離れていく主人公の変化など、主人公の(ドス黒さがない)感情的な部分は極力排して、(主人公も含む)悪人共が命とプライドと欲望を賭けて全力で暴れまくるバイオレンス復讐物語に徹してくれたほうが面白くなったのではないかな~と思ってしまいました。
> 個人的評価 : ★★★☆☆ ☆☆☆☆☆
本格ミステリ度 : ★★ 鬼畜グログロ度 : ★★★
ビックリ驚愕度 : ★★ おどろおどろ度 : ★★★
熱アクション度 : ★★★★ 主キャラ魅力度 : ★★★
恋愛ラブラブ度 : ★★ 人間味ドラマ度 : ★★
下ネタエッチ度 : ★★★★ 感涙ウルウル度 : ★★
衝撃バカミス度 : ★★★ 気軽に読める度 : ★★★
* 個人的評価は、減点方式ではなく加点方式となっています
<個人的評価&項目別評価>の詳しい説明・評価基準は
「このミス」完全読破 説明&読破本リストにてご確認ください
【 “真藤順丈”関連記事 】
> No.1037 「宝島」
> No.0815 「しるしなきもの」
> No.0738 「七日じゃ映画は撮れません」
> No.0632 「墓頭」
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