『さあ、地獄へ堕ちよう』 菅原和也 > 「このミス」完全読破 No.713
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.713
『さあ、地獄へ堕ちよう』 菅原和也
「このミス」2013年版 : 103位
受賞(候補) : 「横溝正史ミステリ大賞」受賞
総合ランキング :
年度ランキング :
読始:2013.12.30~ 読終:2014.1.2
読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"後"
読んだ版 : 単行本 <2012年9月>
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横溝正史ミステリ大賞を受賞した菅原和也のデビュー作です。
河合莞爾の『デッドマン』と同時受賞となったわけですが、史上最年少での受賞となったこと、ピアノバーのバーテンダーやキャバクラのボーイを務めた経歴、“『死にたい』が口癖です。1日に9回は呟きます”という受賞コメントなど、どちらかといえば作品よりも著者自身に注目が集まっていたように思います。
とはいえ、読んでみれば作品自体もインパクト絶大でしたし、翌年発売のデビュー2作目『CUT』が「このミス」で28位とランクインまでもう少しの所までいくなど、ミステリ作家としても今後の飛躍が期待できる存在であるのは間違いないのでは。
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SMバーで働くミチは、幼なじみのタミーと(タミーが高校を中退して以来)6年ぶりに再会。
すると、タミーのデジカメに死体写真が入っていて、その写真に写っているのは自分が殺した女の死体だと言うタミーから、人殺しサイト<<地獄へ堕ちよう>>を教えられて.....。
というわけで本作ですが、SM・薬物依存・身体改造などのキーワードが続出するゴス系アングラ世界が舞台となっていて、それらをたしなむイカレた変態的な人物が多く登場し、多少グロくて痛々しい描写があるなど、そっち系に対して抵抗感や嫌悪感を抱いているような人だと読み進めるのが辛いかもしれません。
それでも、人殺し闇サイトの存在や主人公が謎に迫っていく探偵的行動により、サスペンスとしてもミステリとしても先の展開が気になるような魅力が生み出されていたりと、著者のプロフィールやアングラ的舞台設定など物語を覆う外側の印象からすると意外にもサスペンス/ミステリ的に真っ当な読み応えがあるのです。
とはいえ(サスペンスとしてもミステリとしても)そこまでガッツリとした読み応えというわけではないので、その部分を大きく期待してしまうと満足できないかもしれないものの、そんなガッツリとしていない作風もむしろ薄気味悪さや空虚さが感じられる作品雰囲気と絶妙にマッチしているように思うので、著者や本作が少しでも気になるならばそこまで構えることなく読んでみてはいかがでしょうか。
> 個人的評価 : ★★★★☆ ☆☆☆☆☆
本格ミステリ度 : ★★★ 鬼畜グログロ度 : ★★★★
ビックリ驚愕度 : ★★ おどろおどろ度 : ★★★★
熱アクション度 : ★★★ 主キャラ魅力度 : ★★★
恋愛ラブラブ度 : ★★ 人間味ドラマ度 : ★★
下ネタエッチ度 : ★★★ 感涙ウルウル度 : ★
衝撃バカミス度 : ★★★★ 気軽に読める度 : ★★
* <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!
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