『デブを捨てに』 平山夢明 > 「このミス」完全読破 No.811
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.811
『デブを捨てに』 平山夢明
「このミス」2016年版 : 29位
受賞(候補) :
総合ランキング :
年度ランキング : 「Twitter文学賞」 9位
読始:2015.4.17~ 読終:2015.4.17
読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"前"
読んだ版 : 単行本 <2015年2月>
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平山夢明は、2006年に発表したグロテスクホラー短編集No.47「独白するユニバーサル横メルカトル」で驚きの「このミス」1位となりましたが、No.441「ダイナー」が2010年版15位、No.513「或るろくでなしの死」が2013年版18位にランクインするなど、その後も評価の高い作品を発表しています。
とはいえ、何年も前に予告されていた長編作品(『ボリビアの猿』『びきまん』『シエスターズ』『SALVAGE』など多数)がいつまで経っても発売されない状況が続いているので、かなり長い間ファンをやきもきさせている作家でもあるのですね。
それもあってかそんな未発表の長編作品群よりも先に『或るろくでなしの死』、No.651「暗くて静かでロックな娘」と短編集の発売が続いているのですが、本作もやはり短編集となっています。
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というわけで本作ですが、「いんちき小僧」「マミーボコボコ」「顔が不自由で素敵な売女」「デブを捨てに」の4編を収録。
平山作品らしく酷いタイトルの短編が並んでいて、内容の方もクズすぎる人間たちがドブまみれの世界でグチャグチャになりながら生きていくという平山作品らしさ全開となっています。
とはいえ、短編集が出る度に拷問虐殺系ホラー的なグロテスクさよりも人間の内側からほとばしる狂気的なグロテスクさの方に寄っているように感じるのですが、やはり本作も(あくまで平山作品内での比較では)思わず目を逸らしてしまいたくなる視覚的なグロさはそこまでではなかったので、(全体的なページ数の少なさもあって)エログロホラー的に物足りなさを覚えてしまうかもしれません。
ただ、大家族番組を醜くえげつなく揶揄したり、(同乗する)巨デブ女を捨てるのが目的のドライブ珍道中が描かれるなど、ブラックで不謹慎ながらコミカルさも感じられるシチュエーションが作られ、そこで単なる惨たらしいエログロでは終わらない(読み手に新たな感情の扉を開かせてしまうような)人間模様が繰り広げられていくことにより、酷過ぎる作品世界の中から不思議と愛おしさが感じられるという進化した魅力は確実に増していますし、平山作品でしか造り出すことの出来ない二日酔い必至の酩酊状態を味わえるのも間違いないと思います。
> 個人的評価 : ★★★★★ ☆☆☆☆☆
本格ミステリ度 : ★ 鬼畜グログロ度 : ★★★★
ビックリ驚愕度 : ★★ おどろおどろ度 : ★★★★
熱アクション度 : ★★★★ 主キャラ魅力度 : ★★★★
恋愛ラブラブ度 : ★★★★ 人間味ドラマ度 : ★★
下ネタエッチ度 : ★★★ 感涙ウルウル度 : ★★
衝撃バカミス度 : ★★★ 気軽に読める度 : ★★★
* 個人的評価は、減点方式ではなく加点方式となっています
<個人的評価&項目別評価>の詳しい説明・評価基準は
「このミス」完全読破 説明&読破本リストにてご確認ください
【 “平山夢明” 関連記事 】
> No.811 「デブを捨てに」
> No.651 「暗くて静かでロックな娘(チャンネー)」
> No.513 「或るろくでなしの死」
> No.441 「ダイナー」
> No.047 「独白するユニバーサル横メルカトル」
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