『火星に住むつもりかい?』 伊坂幸太郎 > 「このミス」完全読破 No.809
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.809
『火星に住むつもりかい?』 伊坂幸太郎
「このミス」2016年版 : 81位
受賞(候補) :
総合ランキング :
年度ランキング : 「ダ・ヴィンチ BOOK OF THE YEAR」
(小説ランキング) 9位
読始:2015.4.5~ 読終:2015.4.10
読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"前"
読んだ版 : 単行本 <2015年2月>
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舞台となるのは、年ごとに“安全地区”が交代制で選定され、そこに“平和警察”が配置されるという、近未来の(またはパラレルワールド的な)日本。
この制度が施行されてからは犯罪数が減るなど効果が出ているものの、(はっきりとした証拠のない)密告や噂などを基に危険人物として強制連行された者が暴力的な取り調べにより強引に自白させられ公開処刑されるという、まさに“魔女狩り”のような制度なので、“安全地区”の住民たちは“自分が捕まることはないだろう”と思いつつも不穏な空気を感じながら生活している状態に。
そして今年の“安全地区”に選ばれた仙台でも、平和警察により罪のない人々が次々と連行されていき、住民たちが成す術もなく不安を抱いていると、そこに“平和警察”に立ち向かう謎のヒーローが現れて.....。
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というわけで本作はSF作品っぽいタイトルではありますが、内容的にはSFというわけではありません。
テーマの一つが“魔女狩り”で、今の時代からすると現実味なく感じられますが、現代の日本を舞台にして“魔女狩り”が国家主体で行われている世界なので読んでいる自分も他人事ではないように思えてきますし、そんな(ホラー小説の如き)精神的恐怖を伴うようなエピソードが積み上げられていきます。
とはいえ物語が展開していくにつれて、ひょうひょうとしていて謎めいた魅力溢れるキャラクターが登場して場を滑稽に掻き乱したり、平和警察に対抗するグループの行動によりスリルあるサスペンスが繰り広げられたり、謎のヒーローによるアクション場面があるなど、エンタメ的な読み応えが増していきます。
それに、登場人物たちの小粋なやり取りや印象的な会話フレーズ、散りばめられた伏線を回収していくことで物語に驚きと味わい深さを生み出す演出など、伊坂作品ならではの面白さは本作でも健在です。
ただ、伊坂作品としては(魔女狩りや暴走国家など)少し重めの社会風刺的テーマ性が前に出ているタイプですし(著者本人によると社会風刺的な想いを込めて書いたわけではないそうですが)、特に重苦しいほどのダーク要素が多い第1部では読み薦め辛く思う人も多そうなことから、伊坂作品ファンの中でも好き嫌いははっきりと別れそうなので、意外と“陽系の伊坂作品”が苦手という人の方が(陽系の伊坂作品が好きな人よりも)楽しんで読めるタイプの作品なのかもしれませんね。
> 個人的評価 : ★★★★★ ☆☆☆☆☆
本格ミステリ度 : ★★ 鬼畜グログロ度 : ★★
ビックリ驚愕度 : ★★ おどろおどろ度 : ★★★★
熱アクション度 : ★★★ 主キャラ魅力度 : ★★
恋愛ラブラブ度 : ★ 人間味ドラマ度 : ★★★
下ネタエッチ度 : ★ 感涙ウルウル度 : ★★
衝撃バカミス度 : ★★ 気軽に読める度 : ★★★
* 個人的評価は、減点方式ではなく加点方式となっています
<個人的評価&項目別評価>の詳しい説明・評価基準は
「このミス」完全読破 説明&読破本リストにてご確認ください
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