『依頼人は死んだ』 若竹七海 > 「このミス」完全読破 No.808
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.808
『依頼人は死んだ』 若竹七海
「このミス」2001年版 : 16位
受賞(候補) :
総合ランキング :
年度ランキング :
読始:2015.4.2~ 読終:2015.4.4
読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"後"
読んだ版 : 文庫本 <2003年6月>
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『プレゼント』に続き、No.812「悪いうさぎ」、No.813「さよならの手口」へと続く(2015年5月現在)、“葉村晶シリーズ”の2作目です。
若竹作品の中でも特に人気の高いシリーズですが、日本ミステリ界を代表する“女探偵のハードボイルド作品”といった高い評価を受けているシリーズでもあります。
ただ2001年発売の3作目以降は長らく新作が発表されなかったのですが、ようやく13年ぶりにシリーズ最新作『さよならの手口』が発売されたので、まずは3作目までで唯一「このミス」にランクインしているこのシリーズ2作目を読んでみました。
なお、本作には1作目のネタバレがありますし、たぶん本作を読めば“シリーズを通して読みたい!”と(多くの人が)思いそうなので、1作目から順に読むことをお薦めします(自分も本作を読み終えた後で“本作でネタバレを見ずに1作目から読めばよかった.....”と後悔しました)。
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というわけで本作ですが、「濃紺の悪魔」「詩人の死」「たぶん、暑かったから」「鉄格子の女」「アヴェ・マリア」「依頼人は死んだ」「女探偵の夏休み」「わたしの調査に手加減はない」「都合のいい地獄」の9編を収録。
季節ごとに起きた事件や騒動が、春→夏→秋→冬 といった感じで時系列順に並んでいるので、1話目(春)から季節が二順して2年後の春でエンディングを迎える、という構成となっています。
主人公である葉村晶は、真面目で仕事熱心で調査には一切手を抜かない頑固で有能な探偵であるものの、なぜか不幸・不運を吸い寄せてしまうため酷い目に合ってばかりいるという、探偵的にも人間的にも魅力的なキャラクターです。
そんな探偵・葉村晶が依頼を受けたり関わることになった事件や騒動が描かれていくのですが、まあとにかく癖のある人物たちが登場して怪しげで謎めいた事件や騒動を形作っていきますし、そこに捻りの効いた仕掛けや苦い後味の残る展開など読む人の心をかき回すようなスパイスが加わることで、“短編ミステリの名手”っぷりが遺憾なく発揮された作品揃いとなっているのです。
そこにさらに葉村晶のキャラクターが乗っかることで、ホラー的な毒々しさがあるしかなり悲惨な展開になったりもするのにコミカルな面白さも持ち合わせているという、(この主人公でなければ生まれることはなかったであろう)この作品(シリーズ)ならではの魅力がページをめくるごとに溢れ出てくるので、読めば“日本を代表する女探偵ハードボイルド”という評価にも納得できるのではないでしょうか。
> 個人的評価 : ★★★★★ ☆☆☆☆☆
本格ミステリ度 : ★★★ 鬼畜グログロ度 : ★★
ビックリ驚愕度 : ★★ おどろおどろ度 : ★★★
熱アクション度 : ★★ 主キャラ魅力度 : ★★★★★
恋愛ラブラブ度 : ★★★ 人間味ドラマ度 : ★★
下ネタエッチ度 : ★ 感涙ウルウル度 : ★★
衝撃バカミス度 : ★★★ 気軽に読める度 : ★★★★
* 個人的評価は、減点方式ではなく加点方式となっています
<個人的評価&項目別評価>の詳しい説明・評価基準は
「このミス」完全読破 説明&読破本リストにてご確認ください
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> No.1029 「錆びた滑車」
> No.0920 「静かな炎天」
> No.0813 「さよならの手口」
> No.0812 「悪いうさぎ」
> No.0808 「依頼人は死んだ」
> No.0777 「ミステリマガジン700 【国内篇】」
> No.0752 「暗い越流」
> No.0431 「ポリス猫DCの事件簿」
> No.0205 「プラスマイナスゼロ」
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