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「このミステリーがすごい!」完全読破 No.797
『営繕かるかや怪異譚』 小野不由美
「このミス」2016年版 : 投票数0
受賞(候補) :
総合ランキング :
年度ランキング : 「ダ・ヴィンチ BOOK OF THE YEAR」
(小説ランキング) 17位
読始:2015.1.7~ 読終:2015.1.12
読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"
読んだ版 : 単行本 <2014年12月>
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小野不由美といえば、“悪霊シリーズ”や“十二国記シリーズ”、「東亰異聞」や「屍鬼」など、ホラー/ファンタジー系の作家として人気を博しています。
とはいえ、学生時代には他大学に通いながら京都大学推理小説研究会に所属(そしてミス研仲間であった綾辻行人と後に結婚)という経歴が表すように、ホラー/ファンタジー系の物語の中にミステリ的な味付けを施していて、「このミス」や「本ミス」に複数作がランクインするなどミステリ作家としても評価されているのです。
ただ、2003年の「くらのかみ」以降長く新作が発表されなかったのですが、2014年に9年ぶりの新作である「鬼談百景」とNo.576「残穢」を同時発売すると、「残穢」で「このミス」「文春」「早ミス」にランクインし山本周五郎賞を受賞。
そしてそれから約2年ぶりの新作となったのが本作なのですね。
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というわけで本作ですが、「奥庭より」「屋根裏に」「雨の鈴」「異形のひと」「潮満ちの井戸」「檻の外」の6編を収録。
中心となる人物は話ごとに異なるのですが、古民家に引っ越して来て、そこで怪異現象を体験するという共通点があります。
その怪異現象というのが背筋も凍るほどの恐ろしさなのですが、直接的な恐怖を迫力満点に演出して見せるエンタメ的なホラーというよりは、正体のわからぬものに怯え恐怖がじわじわと沁み入ってくるような、「残穢」と同様の怪談的な怖さなのです。
そしてそんな怪異的な謎を解いていくのが営繕屋の尾端でして、見事に怪異の正体を見抜くだけでなく、さすが営繕屋ともいうべき心憎い解決法を提示していきますし、怪異を巡る物語や怪異のきっかけとなった物語により感動に近い感情が湧きあがったりもするのですね。
そんな作品なので、ど派手なホラーやミステリを期待してしまうとあっさりとし過ぎているように感じてしまうかもしれませんが、期待の仕方さえ間違えなければ、ただ怖くて恐ろしいだけでは終わらない地味ながら深みと温かみのある物語という本作ならではの怪異譚を堪能できると思います。
> 個人的評価 : ★★★★★ ☆☆☆☆☆
本格ミステリ度 : ★★ 鬼畜グログロ度 : ★
ビックリ驚愕度 : ★★ おどろおどろ度 : ★★★★★
熱アクション度 : ★★ 主キャラ魅力度 : ★★★
恋愛ラブラブ度 : ★ 人間味ドラマ度 : ★★★
下ネタエッチ度 : ★ 感涙ウルウル度 : ★★★
衝撃バカミス度 : ★★ 気軽に読める度 : ★★★★
* 個人的評価は、減点方式ではなく加点方式となっています
<個人的評価&項目別評価>の詳しい説明・評価基準は
「このミス」完全読破 説明&読破本リストにてご確認ください
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> No.797 「営繕かるかや怪異譚」
> No.576 「残穢」
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