『キャプテンサンダーボルト』 阿部和重 伊坂幸太郎 > 「このミス」完全読破 No.794
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.794
『キャプテンサンダーボルト』 阿部和重 伊坂幸太郎
「このミス」2016年版 : 19位
受賞(候補) :
総合ランキング :
年度ランキング : 「ミステリが読みたい!」 8位
「本屋大賞」 8位
「ダ・ヴィンチ BOOK OF THE YEAR」
(小説ランキング) 8位
「週刊文春ミステリーベスト10」 9位
読始:2014.12.28~ 読終:2014.12.30
読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"前"
読んだ版 : 単行本 <2014年11月>
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伊坂幸太郎は、年末恒例のミステリランキングでは長年に渡り常連となっていて、「本屋大賞」でも第1回から6年連続でベスト10入りするなど、言わずと知れたミステリ系エンタメ界きっての人気作家の一人です。
一方で阿部和重は、群像新人文学賞・野間文芸新人賞・伊藤整文学賞・毎日出版文化賞・谷崎潤一郎賞など純文学作品を対象とした文学賞を数多く受賞していて、「このミス」ではランクインこそ逃したものの『ピストルズ』が38位となるなど純文学とエンタメの境界をまたいだ作品でも高い評価を受けています。
そんなエンタメ界と純文学界を代表する同世代の二人による共作というだけでも話題性充分なのですが、ストーリー構成と文章執筆を分けたり章ごとに担当を完全に変えるなど明確な分業制による共作ではなく、ストーリー・構成・文体・演出などお互いにアイデアを出し合い相手が担当した章にも修正を加えていくなど完全なる合作となっているため、そんな制作過程によって本作に対する注目度はより高まっているのですね。
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物語は、小学生時代の同級生が十数年ぶりに再会する場面から始まるのですが(厳密に言うとこの二人の再会前にいくつかのエピソードが描かれますが)、二人共に異なる理由で大金が必要な状況にあるため、偶然手にした一獲千金の危険なチャンスに突き進んでいくことになります。
するとそこからは、サスペンスあり、アクションあり、謀略あり、逃亡劇あり、友情物語あり、会話劇あり、伏線ミステリありのエンタメ全開の展開が待ち受けているのです。
なのでどちらかといえば伊坂作品寄りの作風に感じられますし、伊坂作品らしさが多くの場面で目立つ形で見られるものの、そこに阿部作品の要素が混ざり込んでいることで、いつもの伊坂作品とは物語上に塗られた基本色が明らかに違うような、本作ならではのエンタメ的読み味が生み出されていました。
そして、二人の特長が見事に融合されていたと捉えるのか、お互いの特長が相殺されてしまったと捉えるのかは人それぞれだと思いますが、合作ということを意識しなくとも単純に一つの高水準なエンタメ作品として楽しむことが出来るはずですし、トップレベルにいる作家二人がこういった形で合作するのもそうそうないことので、合作ならではの面白さも“楽しんだ者勝ち”なのではないでしょうか。
> 個人的評価 : ★★★★★ ☆☆☆☆☆
本格ミステリ度 : ★★ 鬼畜グログロ度 : ★★
ビックリ驚愕度 : ★★ おどろおどろ度 : ★★
熱アクション度 : ★★★ 主キャラ魅力度 : ★★★★
恋愛ラブラブ度 : ★ 人間味ドラマ度 : ★★★
下ネタエッチ度 : ★ 感涙ウルウル度 : ★★
衝撃バカミス度 : ★★ 気軽に読める度 : ★★★
* 個人的評価は、減点方式ではなく加点方式となっています
<個人的評価&項目別評価>の詳しい説明・評価基準は
「このミス」完全読破 説明&読破本リストにてご確認ください
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> No.618 「残り全部バケーション」
> No.612 「夜の国のクーパー」
> No.528 「PK」
> No.384 「マリアビートル」
> No.381 「グラスホッパー」
> No.367 「バイバイ、ブラックバード」
> No.312 「蝦蟇倉市事件 1」
> No.310 「オー! ファーザー」
> No.289 「SOSの猿」
> No.125 「ゴールデンスランバー」
> No.084 「アヒルと鴨のコインロッカー」
> No.021 「重力ピエロ」
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