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2015年2月12日 (木)

『化石少女』 麻耶雄嵩 > 「このミス」完全読破 No.793

「このミステリーがすごい!」完全読破 No.793

 『化石少女』 麻耶雄嵩

   「このミス」2016年版 : 42位

   受賞(候補) :

   総合ランキング :

   年度ランキング : 「本格ミステリ・ベスト10」 16位

   読始:2014.12.26~ 読終:2014.12.27

   読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"

   読んだ版 : 単行本 <2014年11月>

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麻耶 雄嵩

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 麻耶雄嵩は、王道ミステリに対するアンチテーゼや捻くれた刺激を込めた作品をデビュー以来常に発表してきた、異端な本格ミステリ作家です。

 2005年のNo.38「神様ゲーム」以降は新作の発売がばったりと止まってしまったため、寡作なミステリ作家の代表格(の一人)でもあったのですが、2010年に待望の新作が刊行されて以降は、年に1・2作のペースでコンスタントに新作が発表されています。

 そんな2010年の復活以降(2015年版まで)に発売された5作品は、全て「このミス」にランクインし(復活前も含めると7作連続ランクイン中)、「本格ミステリ・ベスト10(本ミス)」に至っては5作品全てがベスト10入り(復活前も含めると10作連続ランクイン中&7作連続ベスト10入り中)。

 しかも、「本ミス」では近年の5作中4作が2位以上、3作が1位で現在2連覇(2年連続1位)中と、もはや本格ミステリ界では対抗できる相手が存在しないかのような強さを見せているので、異端な作品を発表していながら評価的には王道中の王道となっているところが面白いですね。

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 というわけで本作ですが、「古生物部、推理する」「真実の壁」「移行突人」「自動車墓場」「幽霊クラブ」「赤と黒」の6編+「エピローグ」を収録した連作集です。

 舞台は高校ということで学園ミステリでして、美形お嬢さまながら変人バカで化石オタクな古生物部部長・神舞まりあが探偵役、互いの親の関係からそのまりあの世話焼き係と化している(まりあ以外では唯一の)古生物部部員・桑原彰はワトソン役。

 そんな二人がコミカルなやり取りを繰り広げ、個性豊かな学園関係者たちを巻き込んだり逆に巻き込まれたりしながら、学園内で起きた謎について推理し真相を暴いていくので、設定だけを見ると近年流行りのキャラクター重視でライトな学園ユーモアミステリ作品のようです。

 しかし作者が麻耶雄嵩となれば、そんなミステリ小説に疎い読者でも楽しめるようなお気軽ミステリに仕上がっているはずがなく、各話で起きる事件の謎や推理は捻りが効きまくりの本格派で、探偵役とワトソン役は王道を皮肉ったような歪な関係や役割となっています。

 それに、連作としての腹黒い刺激に満ちた仕掛けも強烈なので、唯一無二の麻耶ミステリの要素が遠慮なく詰め込まれた学園ミステリとなっているのですね。

 とはいえ、(主人公たちの掛け合いなど)学園ユーモアミステリとしての部分は、独特な文体や凝りに凝った謎&推理の影響もあってかあまり読みやすくはないですし、捻りの加えられた本格ミステリとしても(レベルが高すぎる)近年の作品と比べてしまうと、無条件で圧倒されてしまうようなわかりやすい刺激や衝撃はそこまで感じられなかったので、窓口が広そうな舞台・人物設定である割には(麻耶作品ファンであっても)好みが分かれそうな作風だったように思います。

 ただそれでも麻耶作品でしか味わうことが出来ないであろう本格ミステリの魅力や刺激を堪能出来る作品であることは間違いないので、麻耶雄嵩の新作を毎年楽しむことが出来ることに改めて感謝しつつ、病みつきになってしまうほどの麻耶流ミステリ毒を含んでみてはいかがでしょうか。


> 個人的評価 : ★★★★★ ☆☆☆☆☆


 本格ミステリ度  : ★★★★★  鬼畜グログロ度 : ★★
 ビックリ驚愕度  : ★★★     おどろおどろ度 : ★★★
 熱アクション度  : ★★      主キャラ魅力度 : ★★★★
 恋愛ラブラブ度 : ★★       人間味ドラマ度 : ★★
 下ネタエッチ度 : ★★      感涙ウルウル度 : ★★
 衝撃バカミス度 : ★★★★   気軽に読める度 : ★★

 * 個人的評価は、減点方式ではなく加点方式となっています
  <個人的評価&項目別評価>の詳しい説明・評価基準は
  「このミス」完全読破 説明&読破本リストにてご確認ください


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